【犬と暮らす家(19)】現在建築中〜造作家具と電気配線の施工

【犬と暮らす家(19)】現在建築中〜造作家具と電気配線の施工


我がまわる家も、躯体部分の施工はほぼ終了し、残すは造作家具や電気配線、トイレや蓄熱暖房機、エコキュート、エアコンなどの設備の作業に移り、追い込みに入りました。

今回のテーマのひとつに「全館軟水化」というものがありました。妻が生活する上で中性洗剤や合成洗剤を可能な限り使わず、基本的に食器洗いから洗濯、風呂や洗面台において無添加の石けんを使っているため、マンションでもペットボトルを利用した簡易軟水機をいろいろと試し、浴槽に時間をかけて軟水を溜め、石けんを泡立てて使っていました。

確かに私は手荒れがひどく、冬などはあかぎれで流血するのはいつもの事でしたが、石けんと軟水で使うようになってから随分ましになった感じがしていました。同時に髪の毛を洗う時も保湿成分もそこそこあって、ポンプ式の一般的なリンスインシャンプーを使って抜け毛の気になる歳になった私は、今ではすっかり石けんと軟水の組み合わせ派になってしまいました。

またくーの体を洗う時も、適度なしっとり感が冬場の静電気も防ぎ、いい感じに仕上がりました。高価なペット用シャンプーにはいろいろな添加物が入っているものも多く、何より高価です。そんな経験からも早いうちから今度の新居はちゃんとした軟水機を入れるつもりでした。

家庭用軟水機はほとんど1社に限られていて、東京地区には事務所しかありません。しかし前年にガス機器大手がこの分野に乗り出して来た事から競合を期待し、実物をショールームに見にいく事にしました。そこでは実物と軟水を実感できたのですが、半年前に発売されたにもかかわらず説明員は軟水の説明しかできず、実際に導入後の保守コースなどもわからず、お話になりませんでした。

軟水化は基本的に塩によるイオン交換樹脂の再生が定期的に必要になる事から、長い目でみて保守性と信頼性とランニングコストが決め手です。最終的には老舗の軟水機を選択。しかし建築家の米村さんも工務店の栗原さんも一般住宅では初めての事なので、妻が知りうる軟水ノウハウをまとめて資料で渡したり、直接業者にアサインしたのですが、最初は契約業者以外は卸せないという一辺倒の回答で困りました。しかし業者側の担当者が変わった途端、話はスムーズに進み、無事工事見積の中に含める事ができたのでした。

この地区の硬度は75%前後。軟水機を入れるとほぼこれが0になります。軟水化でのメリットは具体的に言えば、ステンレスのシンクの壁に付着する白い水垢や、電気ポット内側に付くザラザラした物質、風呂桶や浴槽の内側に水の位置に付着する石けんカスが激減、給湯器や水道管内部のカルシウム分が付着しにくくなり、結果配管や機器の耐久性も格段に伸びるというメリットもあります。

深夜電力を使ってヒートポンプ構造でお湯を沸かすエコキュートにも、追い焚き機能のあるものと、お湯を排出するだけのものがあるのも初めて知りました。前者をフルオートと言い、後者をセミオートと言うのですが、エコキュートのメリットは余剰電力である深夜電力を大幅に安くした「電化上手」という料金形態にあわせて、23時から7時までの間にお湯を沸かし、翌日まる1日保温タンクに貯蔵し、サーモスタットにより適温のお湯を家の中に提供するものです。

フルオートの場合は、大抵23時までには風呂に入る我が家にとって、深夜電力時間より前に追い焚きを行う事になります。せっかく安い電気料金で沸かしたお湯がまだたくさんタンクにあるにもかかわらずです。反面セミオートは追い焚き用として浴槽からヒートポンプ経由でお湯を戻すという配管を含めた機能自体が不要になるだけでなく、その部分は汚れたお湯が循環追い焚きされ、清潔とは言い切れません。利便性だけを求めたら追い焚きができるフルオートなのでしょうが、冷静に見てみると電化上手という契約コース+軟水化+セミオートの組み合わせのメリットにはかなわないのではないかと思えたのでした。

ただしセミオートの場合は、お湯は毎回捨てなければなりません。デメリットとして強いて言えば水道代が余計にかかる事ですが、電気代と水道代とのバランスや、使ったお湯を洗濯や掃除に回す事でそれほどデメリットではなくなると感じるのでした。

通常の給湯システムに比べて、エコキュートには大きなメリットがまだあります。災害時にタンクのお湯は手動で排出可能だという事です。保温される期間には限りありますが、常に水が200L以上タンクに保存されているという事は、とても心強いものです。オール電化のメリットは計り知れず、ガスの気体であるがゆえの災害時の弱さや保険の割引特約など、恩恵は多いと感じざるを得ないものでした。

家ができあがってから震災や原発問題もありましたが、オール電化は余剰電力として捨てている深夜の電気を利用する事を大きなメリットとしている事から、日中の電気代への影響はわずかです。オール電化が最高のエネルギーインフラではないという事は私も思っていますが、ガス併用や灯油併用の生活でも、電気なくしては生きていく事はできないのも現実です。今の時代、電子レンジやトースター、コタツや電気ストーブ、テレビやパソコンがない家はほとんどないでしょう。

災害時の復旧は電気が圧倒的に早いのは事実です。現実にはいかに日中のピーク時間に電気を使わないようにするよう工夫する事で、光熱費を抑え燃焼により発生する二酸化炭素の削減という自然環境へのインパクトを減らす事、災害にも強い生活が送れるように考えるべきであり、最新の電化設備をうまく導入する事で、最も節電が必要な夏場の日中の電気は10年以上前のガス併用住宅よりも抑える事ができているという事実を見逃す事はできません。


とはいっても原子力発電を肯定する気はさらさらありません。今は自然エネルギーの活用と蓄電技術の発展、スマートグリッド技術が発展を期待しつつ、それぞれが正しいと思える事を流されずに真剣に考える必要を感じます。


話はそれましたが、また洗濯機についても節水というテーマで最も今シェアを延ばしているななめドラム式がありますが、基本的に石けんを泡立てて洗う方式にはまったく向いていません。おまけにななめドラム式は洗濯の仕組み上、糸くずが原則でないという事から、犬の毛が衣類に付着する我が家では使えないという事になります。事実ななめドラム式洗濯機の取扱説明書には、ペットの毛は厳禁という旨がしっかり書かれているものが多いようです。犬と暮らす人には見逃せない重大な仕様制限です。

もう一つななめドラム式のメリットは乾燥機能がついており、洗濯から乾燥まで手を触れず効果的に自動化できるという事です。一人暮らしの人が少量の洗濯物を夜入れて動かし、朝にはその乾いたシャツを着てでかける、という生活パターンでは威力を発揮しますが、洗濯物は太陽にあてて干すのが基本なので、オーソドックスな水を溜め泡立てて洗う縦型でかつ、乾燥機能不要の全自動洗濯機がベストな選択となるのでした。それに追い焚きしない比較的きれいな浴槽の残り湯も活用できます。

便器についても、震災経験者の妻からすれば、タンク式でなければという認識です。タンクレスは初期段階では候補にあがりましたが、あまりにコストの差がありました。最近のタンク式も節水型になっており、風呂の残り湯を使う事も可能です。1Fと2Fに配置されるものは、タンク上に簡易手洗いスペースのない、蓋で密閉されるタイプを指定しました。これは実際にそこで手を洗う事は不潔である事や、ほこりが溜まる理由からです。1Fは洗面台が横にありますが、2Fには小型の手洗いをつける事にしました。

エアコンは予算的に施主支給としました。圧倒的に量販店の方が安いのと、長期保証を付与できるからです。ここはお世話になっている電気工事を実担当されている安藤さんと中村社長に設置工事分だけを含めていただき、機器は別途ネット購入する事にしました。メーカーは業務用としても評価の高いダイキン製です。

最新型のエアコンは省電力・高効率に加えていろいろな新機能が付き過ぎています。コストアップに繋がる自動掃除や換気は不要とし、最も重要でダイキンの売りでもある優れた除湿機能だけがついたものを選びました。

「まわる家」は構造上ほとんど吹き抜けでワンルーム状態です。最近の米村さんの物件には全て付いている換気機能である、グローファンで天井付近から床下までを常時強制循環させる仕組みにより、室温が極力均等になるようになっています。そのためにもエアコンの性能には余裕が必要でした。


電気通信系はそれなりにこだわる部分で、情報基盤は光ケーブル接続と情報インフラの整備がテーマでした。引き込まれる光回線から2Fワークスペースに情報コンセントに集中し、そこから2Fリビング、1F寝室、地階既設ガレージの3ヶ所へ有線LANが伸びるようになっています。


ワークスペースではPCやプリンタ、光電話などが全て集中でギガビットイーサネットで接続されます。ルータで普段持ち歩くノート用にはステルスのWPA2-PSKによる無線LANを使い、有線で繋げないキッチンや寝室、スマホ用として家の中でのネットワーク空白エリアを補完します。無線はあくまで補完の位置付けとして、基幹ネットワークは有線でと考えていました。日中ランニングさせる電気代もできるだけ抑えたかったというのもあります。


2FリビングのLANは最近の薄型テレビやHDDレコーダー用として、1F寝室はいずれ置く予定の小型液晶テレビ用やネットワーク端末用、地階のガレージはWebカメラによる監視カメラが繋がれます。あとはアンテナ類も利用機器にあわせて配置を検討しました。


照明はタイマーにより防犯上とものぐさも兼ねて定刻に点灯・消灯できるもの、寝室用にはリモコンスイッチを配置し、3又スイッチにより階段周辺やロフトなど実際の利用イメージをシュミレーションし、複数の操作を可能とさせました。ただこのあたりは私もイメージが沸きにくく、米村さんや中村さんのアドバイスをいただきつつ決めていきました。


しかしコンセントの場所は相当考えました。それでも結果的にここにあったらよかった、と思える所が2ヶ所ほど出てきてしまいました。難しいものです。


造り付けの家具も各所に設置されていきます。近所にある「家具工房草間」の草間さんがまめに現場に来てくださり、2Fリビングのテレビ設置部分のローボードや、ワークスペースの巨大な天板、造作キッチンまわり、そしてアイランド部分に配置する大物の配膳台、1F洗面台周辺や棚などが順にできあがっていきました。棚については一部大工さんの担当部分もあり、このあたりは全て工務店の栗原さんがコストバランスを考えていただきました。素材は水まわり以外はすべて素地のままとして、自らワックス仕上げをしていきます。


ワークスペースは低座椅子を使う前提で検討の結果、天板の高さを47cmに指定しました。くーは短足犬です。ダイニング・リビングにおいても全て座卓にした理由はそこにあります。食事をしていても、パソコンをしていても、ミシンをかけていても、手が届かない足元ではなく、体を寄り添わせ撫でてやる事ができるポジション、というのがコンセプトです。


天板の下には私が数値をシビアに提示させていただき、キーボードとマウスを載せるドロワーが着きました。強度も確保しパソコンを使う時だけ引き出し、普段は収納できるので邪魔になりません。


そして椅子は、昔工業デザインをしていて今は家具職人となった友人に、きっちりとあうハンドメイドの美しいデザインな低座椅子をオーダーで作ってもらいました。これがなかなかの出来でした。


きりん舎


キッチンではIHクッキングヒーターは、IH3口のタイプを指定しました。引っ越しを機に鍋類は全て買い換えるつもりだったので、別に未練はありません。平行して下ごしらえ、メイン、スープが同時進行できるようにと思っての事でした。しかし実際はできるだけ電気を使わないように、余熱をうまく利用しつつ工夫するつもりです。IHはキャンプ用のダッチオーブンや普段の料理用に使っていたコンボクッカーやサービングポットも使えるのも嬉しい点でした。


キッチンのステンレスの天板は、コストパフォーマンスでステンレス製にしました。位置関係や幅、両サイドのクリアランスや高さは主に妻ではなく私がオーダー。唯一キッチンまわりで妻が求めたのは、壁の部分に磁石がつけられる素材にして欲しいという事でした。現在の住まいがタカラのシステムキッチンだったため、ホーロー製でマグネットにより調味料やラップなどの調理用品を貼り付けておけて便利だったからです。


しかしあらためて探してみるとマグネットがつけられる素材のキッチンボードがなく、難航しました。最終的にはコストアップしますが外壁施工の板金業者の方に、コストを抑えた上でステンレスを張っていただく事に。できればヘアラインで仕上げて欲しかったのですが、コスト面で選べませんでした。しかしこれでキッチンタイマーやハーブティーのティーバックなどのケースなども貼り付けられるようになりました。


パウダーやトイレ、寝室にも引き戸がつけられ、何かのきっかけでくーが閉じ込められてしまっても脱出できるように、くー用のゲートもそれぞれに取り付けられました。基本的にオール開放なのですが、夏場など涼しい所に移動したり、自分でトイレに行く時に何かの理由で閉められていても通れるようにという考えでした。


ダウンライトもついて、手すりもペンキが塗られ、最後に食器棚兼配膳台カウンターが運び込まれ、いよいよ完成に近づいてきました。

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