老犬との暮らしMax(15)寂しいよMax

15.寂しいよMax

私達はMaxには、いわゆる服従訓練を一切受けさせませんでした。毎日一緒に暮らしていくうちに必要な躾けは身についてくると思っていました。なので、散歩はいつも引っ張られっぱなし。近所に人には“どっちが散歩に連れて行ってもらってるかわからないね”と笑われていました。少し歳がいって落ち着いてきてからは、さほど引っ張りはしませんでしたが、今度は忙しそうに前をジグザクに歩くので私達人間の歩く距離の2倍はいつも歩いていたことになります。

ジャーマンショートヘヤーポインターは大人になるのに時間のかかる犬種です。つまりいつまでも自分はパピーと思っているわけです。75ポンドにもなる身体で、いつも私の膝の上に乗ろうとしていました。Maxは大きな身体の割にとりわけ甘えん坊で、雷や掃除機が鳴ると私の足の間に逃げ込み、ゴードンがちょっと大声をあげるとのそのそと部屋から出て行くような繊細な仔でした。

そんなMaxが歳を重ね、子供達が成長するにつれて、うちからは64色のクレヨンが消え、脱ぎっぱなしのソックスを食べることもなくなり、ドアも家具も靴も齧られなくなり、ゲートから飛び出すこともなくなり、雷の音に驚くこともなくなり、やがて散歩もゆっくりゆっくりしか歩けなくなりました。そんなMaxを私達は心から愛していました。考えてみたら、この家に住み始めてからずうっとMaxが私達のそばにいてくれたのです。子供たちと共に成長し、今では孫の涼一にも好かれていたMax。15年と4ヶ月、その長い長い年月に今ピリオドが打たれました。いずれはくると分かっていたお別れの時、でもなぜこんなに急に逝ってしまったのでしょう。

振り返ればいつもそこにいたMax。今は彼のいないこの家の空気に馴染めない私です。でもなんとか頑張って乗り越えていかなければ。あなたが身をもって私達に見せてくれた“老い”というものに向かって、あなたのように自然に逆らわずに受け入れていけるのでしょうか。あなたのように飄々として、最期まで尊厳を失わずに生を全うできたら素晴らしいと思います。

Max、うちの仔でいてくれて本当にありがとう。長い間ご苦労様。We miss you, Max.
(2007/11/9)(MaxHolly&Noahのママ)

サブコンテンツ

カテゴリー

このページの先頭へ