フォスターファミリー体験記 – Beau (1)

Beau(1)

オレゴン州Burns市のバックヤードブリーダーから200匹近くの犬が差し押さえられた事件も記憶に新しいうち、今度はポートランドから北に40マイルほどのSt. Helens市で26匹の犬が保護されました。この飼い主の女性は26匹の犬を残して入院してしまい、犬達は丸二日間食事も与えられていなかったそうです。OFOSAの会長のCathyから電話でこの26匹のうちの一匹を預かってくれないかと尋ねられました。

新聞の記事と飼育現場の写真 を見て、私は少し心配になりました。

アニマルコントロールが訪ねた現場には攻撃された犬の死骸もあったそうです。こんな状況で飼育されていた犬達はきっとトラウマをもっており、普通の家庭犬として再出発するにはきっと長い時間と忍耐が必要でしょう。でもできることならその中の一匹でも救いたい。私は不安と期待が入り混じったまま、一旦地元のシェルターに保護されていた26匹の中から若いボーダーコリーのオス(去勢済み)を預かることを承諾しました。

そしておととい金曜日の夜8時半過ぎ、フォスター仲間のSandiの家にその仔を引き取りにいったのですが、この2〜3歳のスムースコート(毛の短い)のボーダーコリーはやはりとてもオドオドしていました。顔には他の犬達に噛まれた傷が沢山あり、下半身の3分の一は毛が抜けて地肌が見えています。そしてまあ、臭いこと!でもノミ取りのFrontlineの薬をつけたばかりなのでお風呂は翌日でないとダメと言われてしまいました。

とにかくこの仔を車に乗せ、家に向かいました。この仔は後部座席におとなしく伏せています。私はこの仔の名前をBeau(Bo)にすることに決めました。先日話題になったObama大統領の家の犬と同じ名前ですが、フランス語で「美しい」という意味のBeauにスペルを変えました。この仔は顔の傷が治ればきっとハンサムになること間違いなし。そしてその夜私はたまたまObama大統領の絵の付いたTシャツを着ていたのでなんとなくピッタリの名前のような気がしました。

その晩は本当に臭いBeau一匹だけを洗濯室に寝かせ、うちの3匹は廊下で寝ることになりました。Beauは初めての家で不安なのか、しばらくクンクン泣いていましたが、そのうち一日の疲れが出たのでしょう。静かに眠りにつきました。

翌土曜日は素晴らしい晴天に恵まれたので、早速Beauをシャンプーすることにし、その前にブラッシングをすると乾いた瘡蓋についた毛がまた相当抜けました。身体を洗ってみると、あばら骨が指にゴリゴリするほど痩せています。抜け毛ももしかしたら栄養失調のせいかもしれません。染み付いた匂いは一回のシャンプーでは取れ切れませんが、とりあえずこれで気兼ねなくBeauを抱きしめてあげられます。

Beauはとても臆病で、食事はもちろん他の犬達と一緒だと怯えて食べられません。ですから別の部屋で食べさせましたが、私がちょっと動くとすぐにビクついて食べるのをやめてしまいます。けれどこの二日でだいぶ安心して食べてくれるようになりました。今夜は初めてうちの3匹と一緒に洗濯室で食べさせました。もちろん私が食器を持ってあげていればの話ですけれど(笑)。

散歩は昨日今日とも2回ずつ、それぞれパートナーを変えて連れていっています。怖いからかもしれませんが、私の横にピッタリ付いて歩いてくれます。まるでヒールウォークのようです。でも徐々にオドオドせずに歩けるようになってきているのが嬉しいです。今日は途中で出会った犬連れの人3人に頭を撫でてもらえるまでになりました。もちろん初めは後ずさりして私の陰に隠れますが、しゃがんでもらうように頼むと自分からだんだんに近づいて行きました。この分なら思ったより早く社会化が進みそうです。

Beauは毎日どんなふうに暮していたのでしょう。ボールにもおもちゃにも興味を示さず、またうちの犬達のことも怖がっているようです。散歩で出会った猫にもまるで関心がなく、唯一の関心事は食べ物のようです。もちろん空腹に耐えながらの生存競争を経験してきているのでしょうから、当然のこととは思いますが。昨日は私が短時間外出して帰宅した際、カウンター上にあったはずの鋳鉄製のフライパンが床に落ちていました。落ちたときにはかなり大きな音がしたことでしょう。これに懲りて盗み食いはしないでくれるといいのですが。

昨夜はクンとも泣かずにうちの3匹と一緒に洗濯室で寝てくれました。今晩もそろそろベッドタイムです。「おやすみ、Beau。明日からはママは会社だけどHollyとNoahとDaisyと一緒にいい仔でお留守番できるよね?」(2009/5/8)

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