フォスターファミリー体験記 – Angel(1)

フォスターファミリー体験記 – Angel(1)

9月5日の日曜日とっても嬉しいことがありました。

私が以前フォスターしていたBeauと、二ヶ月ぶりに会うことができたのです。
Beauは私を見つけるやいなや、身体を低くしながらのポーズで走り寄ってきて顔をペロペロと舐めてくれました。里親さん達も、尻尾を振りながらそんなに喜んでいるBeauを見たのは初めてだそうで、「やっぱり覚えていたんだね!」と感激していました。Beauは毛がはえ揃い、その名の通り美男子になっていました。そして昔のオドオドした様子はなくとても立派な犬に変身していました。これも素晴らしい家族のおかげでしょう。Beauのかわいい写真が4枚入った額をプレゼントしてくれました。

さてその晩、私はフォスター仲間の家にAngelを迎えに行きました。Angelは私のフォスター犬として10日前にシェルターから引き取られてきましたが、私が仕事の都合で犬の世話ができないので預かってもらっていました。犬のフォスターはできなくても赤ちゃん猫なら世話が簡単なので、この2週間生後数週間の2匹の子猫のフォスターしました。名前は男の仔がLiam Kiki、女の仔のほうがJaney Lala。家族みんなで子猫のかわいさにすっかり魅了されました。

ところでAngelは、1歳半ほどでテリアとオゥシーのMixで、体重は35から40ポンドぐらいです。犬にも猫にも、もちろん人間にもフレンドリーで歳の割には落ち着いたいい仔です。
性格的にはなんの問題もなくトイレトレーニングもできています。交通事故で左後脚が折れていて、引き取り後、切除されることになっています。
Angelは悪い脚を使わずに3本脚でも上手に駆け回っています。階段だってなんのその。その脚で首の辺りを掻いたり、うんちの時にもちゃんと脚に体重をかけているのです。
できることなら切除せずに、この状態で暮していけないものかとOFOSAの会長にたずねました。獣医師の話では、いずれこの脚は関節炎を起こしたり、また引き摺るために皮がむけて感染症になる恐れもあるとのこと。痛みがないのは神経が通っていないからでしょう。いずれにしても左脚の成長が止まってしまっており、肉球の大きさも右足に比べると明らかに小さいのです。レントゲンなどを見て説明を受けたのならまだしも話だけでは納得がいかず、一週間だけ手術を延期してもらいました。

Angelは散歩が大好きです。4本脚でトコトコ歩いて、3本でタッタッタッと走って、うちの仔たちと同じスピードで散歩ができます。先日1マイルの散歩後は少し疲れた様子だったので、それからは距離は短めにしていますが。あっちの草の匂いを嗅ぎ、こっちのリスを見て興奮し、脚が悪くても犬生をエンジョイしているAngelの姿に心を打たれます。犬は3本脚になってもすぐにバランスを取ることを覚え、なんら不便なく生きていけると聞いています。あと数日でなくなるこの脚を摩りながら、Angelがいとおしくてたまらなくなってしまいます。

Angelは乳首の大きさからおそらく一度出産していると思われます。それを裏付けるように、子猫達を近づけても、興奮することもなく、彼らがAngelの鼻面を引っ掻いても恐れることもなく、ただなすがままにさせて、時々ペロペロと舐めてあげているのです。この仔は本当に性格のいい仔で、脚の問題さえなければすぐにでも貰い手がつきそうな気がします。

いつものようにAngelをPetfinderに載せたので4組からメールが入ってきました。まず最初の問い合わせは、熟年夫妻と3歳の孫に加え、猫2匹、犬一匹の家族です。この奥さんのPennyはペットクリニックで働いています。次の家族は14歳と10歳の女の子がいて、猫を4匹飼っています。長年一緒に暮した愛犬を6月に亡くし、やはり犬のいない生活に耐えられないと言っています。あとの二組もとても動物好きの家族のようです。いずれの家族もAngelが3本足になってしまうことを承知の上で彼女を家族に迎えたいと言ってくれているのには、本当に感激しました。

私は引き取り手を決めるにあたり早い者勝ちということはせず、それぞれの家族のライフスタイルや家族構成、犬を飼った経歴などを吟味してそれぞれの犬にもっともふさわしいと思える家族に譲ることにしています。初めの家族、PennyとMarkはかなり有力候補でしたが今週末は旅行で都合がつかないので来週Angelと会ってもらうことにしました。Angelは避妊手術が済んでいないのでいずれにしても今週末はPetcoには連れていけません。私は内心この夫婦にAngelを貰って欲しいと思っていました。

ところが(土)の午後、同じフォスター仲間のSueから電話で彼女の孫娘がコンパニオンドッグを探しており、今日も一緒にシェルターを転々としてきたが見つからず、OFOSAのCathyにAngelのことを聞いたので今から孫娘と一緒に見に来てもいいかというとこでした。二人はAngelをとても気に入ってくれた様子ですが、この娘さんの両親と相談するので待って欲しいと言われました。そして翌日一家揃って再びAngelに会いにやってきて、Angelを散歩に連れて行ってもらいました。お父さんはどうやらAngelが3本脚になってしまうことを心配しているようです。必ず今夜結論を出すのでもう一晩時間をくださいと頼まれました。

私の正直な気持ちはAngelにMarkとPennyのところに行って欲しかったのですが、アダプションの書類などを提出していない限りフォスターファミリーには優先権があるのです。そうこうしているうちに、今度はMarkとPennyからの電話で、今旅行先からの帰りだがもしうちの都合がよければ今からAngelに会いに来たいとのことでした。私はSueのお孫さん家族がすでにAngelに会っており、彼らに優先権があることを納得してくれれば是非会いにきて欲しいと答えました。Pennyは少しがっかりした様子ですが、「この仔にとって一番よいようにしてください」と言ってくれました。そして一時間後、MarkとPennyはこれまたレスキューした彼らの愛犬Emmaと孫のSabianを伴って我が家にやってきました。

Angelはうちへ来て一週間ちょっと経ちますが、うちの仔たちと戯れたことは一度もありませんでした。ところがどうでしょう!EmmaとAngelを庭に放すと二匹でレスリングを始めたではありませんか!EmmaはAngelより一回り大きく背が高いけれど、Angelは悪い脚でも負けてはいません。二匹は同じくテリアのような顔立ちで相性も外見もぴったりです。MarkとPennyもAngelをとっても気に入ってくれて、是非家族に迎えたいと言ってくれました。もちろんSueのお孫さんのほうが引き取らないと決めた場合のことですが。Sueは長いことOFOSAのために尽力してきたフォスターで、彼女の親戚ならきっときちんとAngelの世話をしてかわいがってくれると信じています。でもMarkとPenny、そしてEmmaに会ってしまった私は、心の中でSueの息子さんの結論がどうぞ「やっぱりAngelを引き取らない」であって欲しいと祈りながら、明日の連絡を待つことになりました。

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