フォスターファミリー体験記 – 出戻り犬Rosie

出戻り犬Rosie

Rosieは出戻りフォスター犬です。昨年の11月に一旦貰われていきましたが、その夫婦が半年後に離婚し、奥さんのChrityがアパートに引っ越したあとも飼い続けていたのですが、数週間前になんと彼女が乳がんの診断を受けてしまいました。今後の治療のことや、経済的なことなどを考えRosieを手放すことにし、Rosieは10ヶ月ぶりに我が家に戻ってきました。

ところが飼い主の離婚騒動や健康面での不安などからRosieは充分な運動や世話をされていなかったらしく、体重は以前よりさらに増えて63ポンド。手足の爪は4-5センチほども伸び放題です。一度に切ると爪が割れてしまうので、毎日少しずつ切っています。Rosieは私やうちの犬達を覚えていたのでしょう、すっかり自然に溶け込んでいます。

Rosieはトイレトレーニングはばっちり。ものを齧ったりすることも、カウンターやテーブルの上のものの盗み食いも一切ありません。ひとつ気になるのは、以前うちにいたときにも気づいたことですが、私の持ち物や私に対して守備本能が強く、自分より弱いと見ているもの(人)に対してSnapしてしまうのです。幸いフードには全く執着はないのですが、骨やローハイドを取り上げようとすると唸り声をあげます。私が散歩のときに持っていくバッグは彼女にとって格別価値のあるものらしく床においてあるときはそのそばを決してはなれません。
ですからRosieは、きっちり躾けられる人にしか譲ることはできません。まして小さい子供のいる家庭は絶対に避けなければなりません。

もうひとつ困っているのが引っ張り癖です。これも以前から問題でしたがChristyと息子のSeanが矯正してくれたものと思っていました。体重があの時以上に増えたのでRosieの引っ張る力もより強くなっていました。このためにお年寄りには譲れません。ジェントルリーダーを使うことも考えましたが、どうにかして躾けで直してみたいというのが私の本音です。また体重を15ポンド減らせば少しは楽になると思っています。

Rosieと一緒にPetcoのアダプションに週末ごとに通ううちに、彼女は私にすっかり懐いてしまいましたosieにはうちの3匹なしで私を独り占めできる時間が嬉しい様子です。そして2週末目の(日)に、Rosieを引き取りたいいう申し出が2件ありました。MarkとJulieというカップルと、一人暮らしの看護士Teresaという女性です。その日どちらにRosieを譲るべきかを悩んでいる私に看護士さんのほうが最高の提案をしてくれました。それは「カップルのほうが先にRosieに関心を示していたので、彼らにRosieをアダプトしてもらい、もし万が一うまくいかないときには自分が引き取ったらどうか」というありがたい申し出でした。

私はこの提案を心から感謝しました。というのはこのカップルの男性のほうには以前の結婚からの6歳の息子がいて、アメリカではごく当たり前なのですがこの子は母親のところと父親のところを一週間ごとに行ったりきたりしているのです。Rosieは小さい子供のいる家庭には譲らないつもりでしたが、6歳ということでまあ様子をみてもいいかなと思ったのです。そして来週の水曜日から日曜日までMarkの息子Nickが一緒に過ごすことになっていました。

それまでの間にRosieにはこのカップルとある程度の信頼関係を築いてもらい、同時に飼い主たちにはこの新しい家庭でのルールをしっかり示してもらうように頼みました。息子を紹介するときにも、彼も大切な家族だということと彼のほうがRosieよりも上位にいることをきちんと分からせないとRosieが猫のOliverにしたようにNipしてしまう可能性があるからです。

さて、Rosieを里仔に迎えたMarkからは毎日のように状況報告が入ってきました。なんとあのRosieが引っ張らずにヒールウォークしているとのこと!最初の晩から自分達の寝室で寝かせ、朝の4時に目が覚めたので少し遊んであげてまた6時まで寝たなどという甘やかし様。そしてなんと次の(日)にはグルーミングとシャンプーの予約まで入れたというのですから。

ところがMarkの息子のNickが水曜日にやってきたときに、RosieはNickに吠えてしまい、撫でようとする手をNipしてしまったというちょっとショックな連絡が入りました。しかしMarkは犬 (特にボーダーコリー) のことをよく勉強していて、4日間朝から晩まで一緒に暮らすうちにきっとRosieとNickは仲良しになれると信じているので、見ていて欲しいと言ってきました。

そして(月)の朝、次のようなメールが入ってきました。
「連絡が遅れてごめんなさい。Rosieは素晴らしくいい仔にしてるよ。日曜日にはグルーミングに連れていったけど、JulieったらグルーミングだけでなくSpa?までつけてあげちゃったりして、Rosieはすごくかわいがられているよ。Julieは昼休みにも家に帰ってくるしね。オフリードのトレーニングも続けてやってるよ。Nickとは大の仲良しになって、毎晩ベッドタイムには彼のところにやってきておやすみのキスをしてくれたし、二人の間にはもう何も問題なし。
ドッグパークにも3回行ったけどRosieは他の犬達と遊ぶよりは僕らのそばにいるときのほうが多かった。君のうちの犬なら良く知っているからRosieは遊ぶかも知れないね。いつか都合のいい日があったら合流したいな。
とにかく、Rosieはここでめちゃくちゃ甘やかされているよ(笑)。でもちゃんと毎日朝か晩には僕とジョギングにいってるから安心して。お互い体重を減らさなくちゃ。僕は食事の量さえもっと自制できればいいんだけど。じゃあ、みんな元気で、そのうち犬達を遊ばせようね!」

MarkとJulieはRosieのことを「僕らの新しいベービー」と呼んでかわいがっている様子が目に見えます。そしてしつけ、運動、食事制限のほうもきちんとやってくれている様子が伝わり、この家族なら3度目の正直で幸せになれると確信しました。よかったね、Rosie!

後記:Rosieがアダプトされてから3週間経った昨日のことです。私がこの2週間フォスターしている子猫たちと一緒にPetcoのアダプション会に行った時に、なんとMarkとJulieと息子のNickがRosieを連れてやってきてくれました!Rosieは私を見つけると一目散に飛んできて体中で喜んでくれました。そして「ママ、会いたかったよぉ!」とばかりに顔をペロペロ。RosieはグルーミングとSpa?のおかげでとってもきれいになり、体重も心なしか減った様子。Markの家族にすっかり溶け込んで、とても幸せそうに見えました。フォスターをしていて本当に嬉しいのはこういうときですね。

写真は6月にアダプトされたBeauがTexas州に引っ越してしまうので最後に会いに来てくれました。Rosieと一緒にドッグパークに行ったときのものです。

さて、長い間フォスターファミリー体験記をご愛読くださりありがとうございました。これからも犬と子猫のフォスターは続けていきますが、体験記は今回をもって一旦終了させていただきます。

私達のようなボランティアのフォスターが救える命はほんの氷山に一角に過ぎません。
でも私達がシェルターから1頭づつ引き取ることで確実にその命が生き延びられるのです。そして今このときもシェルターの暗いケージの中でもう一度あたたかな手を待ち望んでいる仔達が、死と隣り合わせで震えている命が、数え切れないほどいるのです。
皆さんのおうちに少しだけスペースがあったら、どうぞその中の一匹にもう一度人間から愛されるチャンスを与えてあげてください。ありがとうございました。(2009/11/10)(アメリカ、Y.Mさん)

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