写真展 Together Forever 『ペットは家族 一生一緒』

写真展 Together Forever 『ペットは家族 一生一緒』

渋谷のNHKふれあいホールギャラリーで開催されている、写真展、Together Forever「ペットは家族 一生一緒」 “ありがとう” を見に行ってきました。
主催は、「陽の会」と「しっぽのなかま」というNPO法人です。

桜の咲きかけた代々木公園のそばにある、静かな会場の中には隅々にまでパネル写真が並んでいます。

会場に入ってすぐのところには、1章として「No Kill Countryをめざして 」をテーマに、写真絵本のように綴られた、生まれて間もない犬・猫たちが希望もなく処分場へと送り込まれ、その短すぎる一生を終えるまでの物語になっています。
犬や猫を家族として大切にし、共に暮らしている人であれば、じっくりと一枚一枚の写真をまともに見ていることには耐えがたい内容です。
最期の1枚、ガス室へ向かう仔犬が、もう一度見たかったという澄みきった高い空の写真が心に突き刺さります。

この国、日本で一年間に“処分”される犬・猫は30数万頭。
ぴんとこない数字のような気がしますが、一日にすると1000頭近く。
日本のいたるところで、日々数多くの命が消されているという現実を、少なくとも今までよりは身近に感じることができました。

しかも、その“処分”の方法はガス室の中での酸欠による死であり、決して安楽死などとは呼べない、最期まで苦しみ抜く死を強制されるものなのです。
せめて、もっと楽な死を迎えさせてやることができないのか、という声もあがっているそうですが、なかなか現実は難しい課題のようです。

足早に通り過ぎてしまった1章の後には、2章、3章として新しい家族に無事引き取られた幸せな子たちと、その家族の写真が並んでいます。
犬種も様々、保護されたときの状況も、過去も様々ですが、どの子も目が生き生きとしているの印象的でした。
会場には、今現在新しい家族を待っている子たちの写真も展示されているのですが、やはりその子たちの目は、まだ希望を感じられない子がほとんどでした。
最悪の場所からは救い出されたとはいえ、きっとまだ不安がいっぱいなのでしょう。
目というものは、実に正直なものだと改めて思えました。

そんな中、丁寧に一枚、一枚幸せそうな家族のポートレート見て、そこに添えられた感謝のメッセージを読んでいくと、とても長生きな子が多いことに気がつきました。
12歳、15歳、17歳、なんと最高は20歳の子も!
この素敵なことに、年齢を確かめるたびに嬉しくなってしまいました。
20歳の子の飼い主さんのメッセージにあった、
『いつかあたなたが眠りについたまま、二度と目を覚まさない日がきても私は幸せです』という意味の言葉が、一緒に過ごしてきた時間の穏やかさを感じさせてくれ、羨ましくなりました。

海外ではシェルターから犬・猫を引き取って迎えることが、特別なことではないようですが、日本では保護された犬・猫を引き取るというのは、まだちょっと特別なことのように感じます。
現実に、ブリーダーやペットショップから迎えた子がはるかに多いわけですから。

日本では、まだまだ躊躇する人が多い保護犬・猫ですが、以前この保護犬・猫が脚光を浴びた事件がありました。
2006年に閉鎖され、300頭以上もの犬が劣悪な環境で飼育されていることが明るみになった、広島ドッグぱーくの事件と、同じ年に徳島県の崖で身動きできなくなっているところを保護された、通称崖っぷち犬。

このふたつの事件はマスコミに大々的に取り上げられ、ぜひ里親になりたいという人たちが日本全国から押し寄せ、崖っぷち犬の方は抽選になり、広島ドッグぱーくでは遠路はるばるやって来たものの、保護団体が提示した里親になる条件に当てはまらず、涙しながら帰宅した人もいたようです。
崖っぷち犬の事件では、同時期に近くで保護された姉妹犬とみられる犬には、当初里親希望者がひとりもいなかったこともニュースになりました。

広島ドッグぱーくの犬も崖っぷち犬も、ある意味マスコミが作り出したブランド犬だったのかもしれません。

マスコミに踊らされた感のややある両事件でしたが、そのおかげで一気に300頭以上という通常ではかなりの困難だと思われる数の犬たちが救われたことも事実です。

今回の写真展の主催者のような小さなNPO法人の活動も、草の根での広まりとともにマスコミにも正しく伝えてもらえないものかと思いました。

都会の公園の近くとはいえ、今回の会場は人通りの多いところではなく、交通の便も決してよいとはいえない場所での展示会で、残念ながら、なにかのついでにふらっと立ち寄るというような立地にはありません。
テーマとしても、正直気軽に見に行ってみようかなと思えるものでもないとは思います。
ですが、避けて通りがちなテーマにこそ、ひとりでも大勢の人たちに見てもらう価値があるのではないでしょうか。

たとえ1頭でも救える命が増えることを願わずにはいられませんでした。 (2010/4/2)(東京都 Y.Yさん)

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