犬通プログラム第1回(DINGOセミナー)

犬通プログラム第1回

横浜のD.I.N.G.O.で行われた「犬通プログラム」に参加してきました。

犬の起源からトレーニング理論まで、犬についてを幅広く学ぼうという趣旨のセミナーで、犬と一緒ではなく飼い主だけでの参加の完全座学です。

全4回、各回3時間、全12時間のセミナーを2日間にわたっての受講となりました。

初日、住宅地の真ん中にある会場「クラブ・ペロ」に迷いながら到着したら、参加者は私を入れてたったの二人だけ。
完全座学のセミナーを全12時間も受講しようという人は、そうそういないらしく、講師の方も「毎回参加者は少ないんですけどぜひ知っておいて欲しい内容なので、人数が少なくても開催してるんですよ。参加してくれるのは変わった人が多いですね。」と。

そんなのんびりした雰囲気のセミナーですが、内容はのんびりとはせず、盛りだくさんでかなり充実していて驚くほどでした。

全4回、各回のテーマがこちら。

第1回・・・エヴォリューション (犬の起源/歴史/本能/進化)
第2回・・・ラーニングセオリー (犬はどう学習するか)
第3回・・・シグナル (犬の使うシグナルの読み方や応用)
第4回・・・クリッカー (犬に効率的に行動を教える時に有効なツール)
レポートもテーマにそって4回にわけてレポートしたいと思います。


 第1回・・・「エヴォリューション (犬の起源/歴史/本能/進化)」

以下のような内容について、3時間でも足りないほどしっかり話を聞かせて貰いました。
・犬の祖先
・犬と狼の関係
・犬と人間との関係の歴史
・犬の身体的特徴
・犬の社会化
・犬の本能
・犬の犬種について

個人的にとても、興味深い話が聞けて満足しています。

実はこのセミナーを受講しようと思ったきっかけが、この第1回のテーマでした。

ちょうど犬の起源に興味を持ち、あれこれ調べてはいたのですが、情報がまとまっていないのと本などでは情報が古すぎるのもあって上手く調べきれないでいたときに、このセミナーを偶然目にして飛びついたわけです。

犬の起源については、一般的に狼であると言われていて、これは現在の遺伝子学でも証明されています。
が、あくまでも「狼“も”犬の祖先である。」との認識が正確とのこと。
狼も犬の祖先であることには間違いないけれど、その他のイヌ科の生き物とも交雑しながら進化してきたという考えが今では自然ということでした。

犬と狼の類似点がよくあげられますが、逆に違いも繁殖サイクルや身体的特徴などにかなりあるようです。

よく、狼は縦社会であってアルファ(ボス)に従って暮らしているというように言われ、それを犬にもあてはめ、数年前までは飼い犬をアルファ症候群(権威症候群)にしないための訓練などということを度々耳にしました。
が、最近ではこの考えに疑問を持つ人も多くなっているようです。
狼だけが犬の祖先ではないこと以上に、実は狼が縦社会を構築しているということそのものに対する否定の研究も出てきているそうです。

個人的にもアルファ症候群については以前から常々疑問に思っていました。
客観的に見ても、犬が人間を自分の群れの一員とみなし、その群れのアルファになろうとしているとはどうしても思えなかったのです。少なくとも、犬は人間と犬の区別はついているはずです。
彼らにとって人間はあくまでも人間であり、犬は犬であるということぐらいの認識はできていると考えるのが自然なような気がします。
人間(飼い主)の言うことを聞かない>>アルファになろうとしている>>人間が犬のアルファでないといけない、という考えは今では古い情報に基づいた考えと言ってもいいのではないのでしょうか。

そして、今回のセミナーの中で印象に残った言葉のひとつが「犬は勝ち組」という言葉でした。
現在世界中にいる犬の数は、正確には把握されていないにしろ、間違いなくイヌ科の生き物の中ではトップです。
同じイヌ科の狼やコヨーテ、ジャッカルなどより遥かに多く世界中のどこにでも犬は暮らしています。

生物学的にいえば、その種の遺伝子をより多く残すことが生物界での「勝ち組」になるわけですから、そういう意味でも間違いなく犬は「勝って」います。

なぜ、犬はここまで繁栄することができたのかというと、どうやらそれは種としての犬の賢さにあったようです。

元々犬が人間と暮らし始めたきっかけは、人間の食べ物の残り(人間の排泄物も犬にとっての貴重な栄養であったという説もあるそうです。)をねらって犬の方から人間に近寄ってきたということだそうですが、その後犬は上手く「人間に寄生」することを学習していったとのことです。

人間側が犬に狩りの手伝いや家畜を危険から守ることを教えていったと言えばそうなのかもしれませんが、それを受け入れて人間のために働き、報酬として食事を得るということを選択したのは、犬の方と言えるとのこと。

考えてみれば、地球上に数多くの生き物がいる中で、犬ほど人間の生活の中にとけこんで協力関係を築いている生き物は他にいないような気がします。

「犬は人間に寄生することによって、生物界の勝ち組になった。」と言われれば、なんとなくドライな感じがしてしまいますが、上手く人間社会にとけこんで、遺伝子(子孫)を世界中に残してきた犬たちの賢い進化の仕方が見えました。

毎日犬と一緒に暮らしていながら、なかなか考えることのない「犬という生き物」について改めて考えさせられる話しを聞かせて貰いました。
家に帰って見るうちの子のしぐさや行動が、ちょっと今までと違った目で見えるような気がしました。


不定期ですがときどき開催されるそうですので、犬そのものについて興味のある方は、聞きに言ってはいかがでしょうか。お勧めします。

最期にひとつ、我が家のコーギーにあてはめておもしろかった犬の本能の話しをひとつ。

犬には、狩りの本能パターンがあるそうですが、それがこちら。

注意を向ける>>目をつける>>忍び寄る>>追いかける>>つかんで噛む>>殺す

このパターンは犬種ごとに、どこの部分がより強く表に現れるかが、異なるそうです。

ヒーラー系と言われるコーギーに強く出る部分は、注意を向ける・追いかける・つかんで噛む。
まさに、フリスビーやボール投げが3度のごはんより大好きなうちの子にぴったり当てはまります。
飼い主のかかとに噛みつく、自転車を見たら追いかけしまうと悩むコーギーの飼い主は結構います。
追いかけて、噛む、まさに、コーギーの本能です。

ここで、最期の「殺す」という部分があまり強くでてこないのが、ヒーラーたち。
確かに、つかまえたフリスビーやボールにとどめをさそうという行為はあまり見られません。

ところが、ハウンド系と言われるテリアなどはこの最期の殺すという部分か強く出てくる犬種だそうです。
テリア系の飼い主さんで、おもちゃの破壊に悩む人は多いそうですが、これもまた犬種の本能だとか。
本能を上手くいい方向に引き出して利用するのも、大切とのことでした。
(2010/9/1)(東京都 Y.Mさん)

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