犬通プログラム第2回(DINGOセミナー)

ラーニングセオリー 犬はどう学習するか

第1回の「犬の起源/歴史/本能/進化」に引き続いて休息をはさんでの同じ日のセミナー。頭の中はかなりいっぱいいっぱいです。

脳を使うと体を使うより、数倍も疲れがたまるのだとか。脳の栄養素、糖分(甘いお菓子ですが)をとりながらの受講です。

さて、ほとんどの飼い主さんは、犬を飼うとなんらかのしつけやトレーニングをすると思います。
そんな、しつけやトレーニングをはじめる前に知っておくと必ずなにかで役立つ、科学的な観点から「犬の学習」についての話です。

・犬は、生まれた瞬間からその寿命がつきるときまで、常に学習している。
・3つの本能(捕食・繁殖・危機回避)がすべての行動の原点。
・犬は得な方しか選ばない。
・よい飼い主は犬のストレスを管理する。
・外的報酬(おやつ等)と内的報酬(ドーパミンの分泌)
・犬とのコミニュケーションは相互通行。
・犬自身に考えさせることの重要さ。

等々、今回も多くのことを学べました。

基本的なこととして、犬には3つの本能があるということ。

1.食べ物を得るための「捕食本能」
2.子孫を残すための「繁殖本能」
3.自分の身を守るための「危機回避本能」

そして、この3つの本能に基づく行動は、すべて“例外なく”4つの法則で成り立っているとのこと。

1.「正の強化」
何かした後のあとにいいことがあると、それを学習して繰り返す。例えば、お座りと言われて座ったらおやつがもらえたという人間にとって都合のいいこともあれば、人間の食事中わんわん吠えたらおすそ分けがもらえた、という人間にとっては少し困った行動も「正の強化」で学習するということ。

2.「負の強化」
何かした後に嫌なことがなくなると、それを学習して繰り返す。例えば、つめ切りが嫌で、噛みついたらつめ切りをされずにすんだ、等。

3.「正の弱化」
何かした後に、嫌なことが現れるとその行動をしなくなる。例えば、チャイムがなって吠えたら、ものが飛んできて驚いた、等。

4.「負の弱化」
何かした後に好きなものが消えると、その行動をしなくなる。ごはんが出てきて吠えたら、そのごはんが消えてしまったとか、くわえていたおもちゃを出せと言われて離したらおもちゃを取り上げられてしまった、等。

なるほど、確かに犬の行動はこの4つのどれかにあてはまるようです。我が家の犬が、人間の食事中じーっと飼い主を見つめてよだれをたらしているのも、そうしているとちょっとのおすそ分けが貰えるのを繰り返し学習てしまったからでしょう。
また、おもちゃを出せと言われれば素直に離すのも、離すともう一度投げてもらえるからを繰り返し学習したからでしょう。

この4つの法則をきちんと理解できれば、ドッグランで遊んでいて「おいで」で呼んで、そのままリードを付けて楽しい遊びを中断して帰ってしまうということもしなくなるでしょうし、おもちゃを取り上げようとして、唸られたから手を引っ込めるということもしなくなるに違いません。

この4つの法則、じっくり考えれば見えてくるのですが、トレーニングにおいては「正の強化」と「負の弱化」をメインに使って「正の弱化」と「負の強化」はあまり使わない方がよりというのが基本とのこと。

覚えてほしいことは「正の強化」で、やめてほしいことは「負の弱化」で、上手くトレーニングしていければ、お互いにストレスも少なくて済み幸せだと思います。とは言っても、現実はそうそう理想通りにいかないものなのですが…。

ストレスと言えば、今回のセミナーで新鮮だったことの一つがこの「ストレス」についての考え方でした。

ストレスと言えば貯まると悪いもので、なにかで発散してストレス解消!などとよく言うのですが、ストレスには悪い部分だけでなくよい部分もあって、さらに好きな遊びでもストレスは貯まるそうです。
犬にとって一番ストレスがない状態というのは、平和にのんびりとごろごろしているときで、楽しいことをして遊んであげてストレス解消!と思っていても、実はそれが逆にストレスを貯めることになっていると聞きました。
ですが、ストレスというのは一概にすべて悪いものという考えではなく「貯めすぎない」ことが大切なようです。
楽しく遊ぶことももちろん大切な時間ですが、なにごともやりすぎは禁物ということでしょうか。
ストレスが貯まった状態では、学習能力も下がり持っている実力も十分に発揮できません。
よくある例では、競技会などの前日までがんばって練習をしていざ本番といどむのですが、練習のやりすぎでストレスが貯まっていて本番で実力が発揮できない、ということがよくあるそうです。
競技会の前などは、数日リラックスしてなにもせずに望むと案外よい結果が出るんだとか。
このストレスについては、次回の第3回のセミナーで、もう少し詳しく、話が出ました。ストレスコントロールはとても大切なことのようです。

犬の行動学はどんどん進歩していっています。しつけ、トレーニングにもやはり科学的根拠は必要ではないかと思えました。

そして、大切なのは常に新しい情報を取り入れるよう事を心がける事と再認識しました。ほんの10年足らず前に主流だったトレーニング方法も今では間違った古い方法ということがたくさんあります。
もしかしたら、今主流のトレーニング方法も10年後には失笑されるような古い方法になっているかもしれません。
それでも、今できる最良の方法は何かを、常に探っていきたいものです。
(2010/9/7)(東京都 Y.Mさん)

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