フォスターファミリー体験記 – Dundee(2)

Dundee(2)

Dundeeは家の中の生活に興味を示し始めました。うちの3匹が私に甘えたりトリートをもらったりしているのをガラス戸越しに見ているのです。それまではデッキに上がってくることもなかったのに。そしてご飯は私が2メートルほど離れたところで立っていても食べるようになりました。私が少しでも身体を動かすとサッと逃げてしまいますが。
そして彼がやってきた10日が過ぎたころ、我が家に主人の母とその友達4人のお客さんが二晩泊まりでやってきました。これがDundeeが人間への信頼を回復する大きなきっかけとなりました。
晩夏の素晴らしい夕べに私達はデッキでワインを飲みながら談笑していました。もちろんうちの3匹も一緒です。仔猫たちもハーネスをつけてデッキに出してあげました。DundeeはHollyとNoahとDaisyがごく自然に人間と和んでいる姿を目の当たりに見て、だいぶ安心したのでしょう。自分から私たちに近づいてきました。私は事前にゲストたちに、Dundeeが近づいても決して撫でようとしたりせずにただ無視していて欲しいとお願いしてあったので、Dundeeは徐々に警戒心を解いてくれたのです。
2泊が終わって彼らがOlympiaに戻るころには、私はDundeeの頭を撫でることができるようになっていました。でも家の中にはまだまだ入ってこれるほどではありませんでした。トリートを見せると捕まえられると警戒してしまうDundeeですから、私はトリートを使わずに胸を右手で押さえるというハンドシグナルで“Sit”を教え、彼は見事にSitできるようになりました。

それから先は、かなり順調に家の中での生活へと移行していきました。まず3日ほどかけて洗濯室
内でうちの仔達と一緒に食事ができるようになりました。次に夜は洗濯室で眠るようになりましたが、まだ部屋の中には入れません。彼が仔猫たちとどのように接するのか確信がもてなかったのです。ですから洗濯室から居住空間にDundeeを連れ出す時には、彼をリードで私に繋いでいました。
私はこれを「へその緒」と呼んでいました(笑)。こうするにはもう一つ訳がありました。例のマーキングです。この時点ではDundeeはまだ去勢手術も済んでいなかったのです。

なるべくDundeeがパニックに陥らないように、彼の去勢手術は我が家にやってきて4週間近く経った9月29日まで待ってもらいました。その際後ろ足の狼爪も切除してもらうことになっていました。私が所属するフォスター組織では費用を抑えるためボランティアの獣医師に来てもらい毎週(水)と(木)に犬や猫の手術をしてもらっています。私は仕事に出かける前にDundeeを事務所兼クリニックに連れていき、夕方早目に引き取りに行く予定でした。お昼ごろ会社から電話で様子を聞くと、Dundeeは麻酔からさめるとケージの中で泣き喚き大暴れしてエリザベスカラーを噛み砕いてしまったとのこと。知らない人たちに囲まれ、狭いケージの中から逃げ出そうと必死でもがいたのでしょう。私が迎えに行ったときは、一匹だけ手術室の床の毛布の上で大人しく寝ていました。あまりのパニック状態に獣医師が術後の安定剤を投与したとのことでした。Dundeeは私を見ると短い尻尾を少しだけ振ってくれました。

家へ連れ帰ってからのDundeeはとてもいい仔で、エリザベスカラーの着脱も大人しくさせてくれました。トイレのために庭に出すときや食事のときにはカラーを外してあげました。手術直後のDundeeしか見ていない人たちには信じられないかもしれませんが、私の知っているDundeeはこんなふうに聞き分けのとてもいい仔なのです。

家族以外の人たちにもフレンドリーになってもらうように、私はDundeeをペットショップによく連れ出し、いろいろな人や犬に会わせました。初めのうちは車に乗るのを嫌がりましたが、ペットショップやドッグパークに何度も連れていくうちに、ドライブ大好きの仔に変わっていきました。ドッグパークへのデビューは10月6日、うちへ来て一ヶ月ちょっと経ったころでした。うちの3匹の中でDundeeが一番好きなHollyと一緒に、一番小さめでひと目で見渡せるドッグパークに連れていきました。パークに放した後Dundeeがちゃんと私のところに戻ってくるか100%の自信がなかったからです。パークには様々な犬種の犬達がいて、Dundeeはすぐに彼らに囲まれ、一瞬立ちすくみましたがすぐに犬達と駆け回ってとても楽しそうでした。私が呼んでも案の定反応なし。楽しくて興奮していて私の声など聞こえないのでしょう。私のほうから近づいて行き、Dundeeに例の“Sit”のハンドシグナルをすると彼はちゃんと座りました。一旦赤いリードを掴んでから、また遊んでおいでと放してあげました。私から逃げようとしないことで安心しました。2回目からは、呼ばなくてもときどき私のところへやってきて、私がいることを確認し、また遊んでおいでというと走り去るようになりました。私は彼の進歩に大満足でした。
(2010/12/31)

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