フォスターファミリー体験記 – Dundee(3)

Dundee(3)

10月13日から23日まで私が日本に行って留守にするのでフォスター仲間でドッグトレーナーでもあるJenにDundeeを預かってもらうことにしました。彼女はアパート住いなので、トイレは必ずリードで外に連れ出し、留守にするときや手が放せないときはDundeeをクレートに入れなければなりません。でもこの10日間のおかげでDundeeはすっかりクレートがお気に入りになってくれたので大変助かりました。
それからの一ヶ月Dundeeはうちの3匹の犬や猫たちと一緒に室内での生活を経験するにつれ、彼らのパックの一員として自然に溶け込んでいきました。
仔猫たちに対しても当初の心配はなくなりました。Dundeeは以前はおもちゃやボールに興味がまったくなかったのですが、この頃から一人でボール遊びをするようになり、Hollyともガウガウとレスリングをしかけるようになりました。

犬達の食事の用意のときには洗濯室の入り口のところで“Stay(待て)”ができるようになり、また私達の食事が終わるまで“Down(伏せ)”をして待っていられるようになりました。家の中でのルールもうちの犬達をお手本にしてちゃんと覚えてくれました。
こうなってくると友人たちからは、「Dundeeはこんなにあなたの家庭に溶け込んでいるのだからいっそのこと引き取ってあなたのうちの仔にしてあげれば?」と言われましたが、まだまだ課題は残っていました。
それはリスに対して異常なほどの執着があることです。散歩でリスを見かけるとグイグイと引っ張り、飛び跳ね、吠えまくり、手に負えなくなってしまうのです。まるで全く別の犬のようです。もしかしたら放浪していた時期にリスを捕まえて食べていたか、あるいはリスを追いかけることが彼にとって唯一の楽しみだったのかもしれません。一度あまりに急に飛び出したためリードでストップがかかったDundeeは空中で一回転し背中から着陸ということもありました。またあるときは、私が油断していた隙に引っ張られ転んで膝を擦りむいてしまいました。ですからDundeeの散歩は他の犬と一緒では連れて行けません。どうにかリードだけで躾けようとしましたが無理でした。半マイルも行かないうちにもうクタクタになり、ここにDundeeを置いて帰りたいと何度思ったことか。
そしてとうとうジェントルリーダーを使うことに決め、Dundeeにつけてみました。もちろん嫌がって両手で取ろうともがきます。それからの一週間はDVDでみたジェントルリーダーを使ったトレーニングを実践しました。彼のリスへの執着は相変わらずでしたが、ジェントルリーダーのおかげでリスがいないところ(特に夜間)での歩き方は向上したようです。
11月29日の感謝祭の日はOlympiaのグランマのうちへDundeeも一緒に連れて一晩泊まりで行きました。Dundeeは2時間のドライブの間もとてもいい仔でいられました。ディナーには20人もの人が集まりました。Dundeeは初め少し警戒しましたが、逃げ回るわけでも吠えたりするわけでもなく、これ以上は望めないほどいい結果でした。
グランマをはじめ2ヶ月前のDundeeを知っている人達は、彼がここまで人間に対して心を開いたことにびっくりしてとても喜んでくれました。この経験もDundeeにとっては大きなステップアップになり、彼の自信回復に寄与したことは間違いありません。

こうして私たちと3ヶ月暮らすうちにDundeeは見事に変身し、放浪犬から、我が家の裏庭での生活を経て、素晴らしい室内犬へと成長しました。

そしてとうとうクリスマスを前にDundeeも新しい家族を見つけることができました!
Sandra と Sean夫妻、Eian と Declan という8歳と6歳の息子たち、そして彼らの飼い犬 CheyenneがDundeeを暖かく迎えてくれたのです。

息子さんたちはDundee の大ファンになり、元気があり過ぎて困っていたCheyenneもDundeeがやってきてから目に見えて落ち着きがでてきたそうです。この2匹は一緒によく遊ぶのです。Dundeeを連れていった翌日に入ったSandraからのメールにはこう書かれていました。
Dundeeはもうすでに私達からすごくかわいがられていますよ。私の願いがこんなに早くかなえられたなんて信じられません。本当にDundeeをここまで人間に慣れさせてくれて感謝しています。彼はきっとここでの生活を気に入ってくれると約束します!

そして一週間後のメッセージには、Dundeeは毎晩よく寝て、昼間私達が仕事に行っている間はCheyenneと一緒にリビングルームにいます。粗相は一度もありません。Dundeeは息子たちに対してとてもいい仔でいてくれてます。夜はあなたが貸してくれたクレートの中で寝ていますが、ときどき息子のDeclanも一緒に入っているんですよ。もちろんただ横になっているだけでそこで寝るわけではないですけど。

本当にこんなに素晴らしいDundeeを家族に迎えさせてくれてありがとう。主人にもべったりなのよ。Dundeeは彼のそばから離れないの!

後日Sandraが話してくれたことですが、長男のEianはADHD(注意欠陥多動性障害)をもっており、触覚感度がするどくある物質を触ることを拒むそうです。いままではCheyenneを撫でてごらんと言っても、一瞬手を当てるぐらいしかできなかったのですが、なんとDundeeが来てからは、おなかを見せてひっくり返っているDundeeのおなかを撫でて「ママ、見て。Dundeeはおなかを撫でさせてくれるんだよ!」と自慢げに言ったそうなのです。Dundeeにこんなにピッタリな家族を見つけることができて本当に嬉しく、そして、彼が放浪犬からここまで頑張って素晴らしい家庭犬になったことを誇りに思います。

そして今回は私はDundeeから多くのことを学びました。その中で一番の教訓は、「あせらずにその仔のペースに合わせて信頼を得、心を通わせるところからすべてが始まる」というごく当たり前のことですが、ともすると忘れがちなことでした。

年が明けたらDundeeに会いに行くつもりです。(2010/12/31)

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