盲導犬は長生き出来ない?

盲導犬は長生き出来ない?

LIVING-WITH-DOGSで過去に「盲導犬の疑問」というディスカッションを掲載しています。
その中に、盲導犬は長生きできないと言うような発言がありまし た。実際はそんなことはありませんが、具体的にどうなのでしょうか? では、ほんとの寿命はどれくらいなのでしょうか?


日本における純血種の平均寿命と言うようなデータは実際にはありません。
日本での畜犬登録はJKC他で行っておりますが、人のようにすべての犬に戸籍があるわけではありませんから、その登録からはかれるか? というと犬が亡くなっても、抹消手続きなど行いません。登録犬だけのデータも作ることは出来ません。
また、獣医師の患者犬だけでみても統計的なデータはないでしょう。
長寿記録はあくまでも飼い主の自己申告によるものでしかあり得ないのが現状です。
そこで、北海道盲導犬協会の老犬ホームの場合、12歳でリタイアとなり、その後も何年か暮らしている事実があります。

また、関西盲導犬協会のリタイア犬、HOLLY 13歳9ヶ月(ラブラドールレトリーバー)は元気に存命しております。
リタイア犬との暮らし

アイメイト協会では、約80%の 「アイメイト」が12歳の誕生日まで仕事を全うするとわかりました。
Ext_linkアイメイトWebサイト
盲導犬で多い犬種としてシェパードもありますが、やはりこの犬種も10歳を超えるのが大変難しい犬種です。
盲導犬ではありませんが、日本では「シータとのエチュード」の シータは11才7ヶ月で亡くなっています。
アメリカの障害犬のシーバは10 才7ヶ月で亡くなりました。愛するシバへ

中には長生きする犬もおりますが、良く生きて13〜14歳くらいでしょう。

では家庭犬でのラブラドールの寿命はどうでしょうか。
アメリカで16才のラブラドールの記録がありますが、日本では まだまだ少なく、記録は先のHOLLY が最長寿です。
また、これまでラブラドールの飼い主さん達の話から、10歳を超え て元気にしているラブラドールは非常に少ない現状です。おそらく、10頭いたら半分は10歳未満に病気で、または事故で亡くなっています。

ゴールデンでは日本では15才1ヶ月のJUNE がいます。
しかし、我が家の周辺では10才を超えているゴールデンは僅かしかおりません。

盲導犬の場合、むしろ、健康管理をしっかり協会が行っていますので、一般の家庭犬よりも長生き出来るのでは? と近ごろは感 じています。

大型犬の寿命は、15 歳くらいと言われています。
しかし、10 歳を超えられる犬がとても少ないのが現状なのです。 長寿の犬が増え、老犬介護の必要がでてきて、確かに老犬は増えてはいますが、すべての犬が10 歳を超えるわけではないんですね。

そんな状況を考慮しても、盲導犬が長生きできないというのは根拠のないものです。

愛犬家の中には、盲導犬は、使役をするために神経を使いある意味で虐待では? と極端に可哀想と表現をする方々もおります。そのような人の言葉が一人歩きしたものでしょう。

「盲導犬の疑問」を意見交換した97 年頃は、まだそのような認識 の方が多い状況でした。現在はインターネットによる情報収集も進みました。そのような真実とは異なる情報を信じる方はもういないでしょう。

あくまでもデータの取れない犬の寿命です。
現在、 「老犬がんばれ台帳」として、 愛知県のI さんが取り組んでいらっしゃる長寿犬のデータベース化と運用があります。
Ext_link 老犬がんばれ台帳

盲導犬の80% が、12才まで現役でいられるのは、素晴らしいことです。
仕事を持つ犬は、一般の家庭犬よりもむしろ生き甲斐をもって暮らしているのではと思えるこの頃です。

我々、一般の家庭犬の飼い主は、愛犬の健康を考え、元気な老犬で長生きして欲しいと願っていますが、愛犬に何か仕事を持たせることで励みになるのかも知れませんね。

(2002/07/20)(LIVING WITH DOGS)

 

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