微笑みの国の路上犬 (16)洪水 – 皆が被災者

洪水 – 皆が被災者

微笑みの国の国民も、1ヶ月以上も続く大洪水に微笑みを怒り顔に変えてもおかしくないと思うのですが、国民性なのでしょうか、大変な状況の中でも住民同士、助け合ってどうにかなるさと暮らしているようです。ただ逃げたワニが人を咬んだという事故が2回あったそうです。野良犬がワニに襲われないように、水に囲まれて餓死しないようにと動物愛護団体の人達がレスキューをしているそうです。N.Oさんはどうにか会社まで通勤が可能になったそうですが、水のために大渋滞となっているため普段の倍の片道3時間もかけているそうです。あと2週間ほどのがんばりとか。ほんとうになかなか引かない水ですが、引いたら今度は衛生面での問題があります。飲み水や食品の衛生面に気をつけてくださいね。(2011/11/14)(LIVING WITH DOGS)


大洪水に悩まされているタイの首都バンコクでは、11月9日の時点で、バンコクの全50区中、ドンムアン、サーイマイ、ラクシー、バンケン、バンパラッド、タリンチャン、タウィーワタナー、バンケー、パーシージャルーン、ノーンケム、ジャトゥジャク、クロンサームワーの12区全域と、ノーンジョーク、ラープラーオ、バンコクヤイ、ミンブリ、ブンクム、カンナーヤーオの6区の一部に避難勧告が出た。

タイ当局によると、11月9日時点でタイ国内で洪水が発生しているのはバンコク、アユタヤなど24都県で、被災者は約290万人。7月29日〜11月8日の水害による死者は529人で、2人が行方不明になっているとのことだ。

バンコクへの浸水を必死で回避すべく、いろいろな方針で手を打ったようだが、どうも政府とバンコク都知事(全首相派)のギクシャクした関係からも、区、軍、警察、政府の横の連携がうまくとれていない、後手後手の感がある。水はその隙をつくように思いがけない方向にも南下してきた。たとえば、ドンムアン−ソンプラパ通りが深刻な洪水になったが、運河にせっかく積んだ水防壁を、そのせいで自分の地域に水がたまると怒った住民がまたもや決壊させてしまい、水が流れ出て南西に広域の水害を起こしはじめた。
まったく、タイらしい騒動なのである。その影響で11月10日までに、バンコクの北西、旧ドンムアン空港、ウィパワディーランシット通り、観光客にも有名なチャトチャックマーケットのあるバンスー、さらに西側の住宅街を50cm以上、ひどいところで1m以上もの浸水の結果になった。現在、ビックバックとよばれる1トン以上の砂をいれる巨大な土嚢作戦で、何キロもの水防壁作戦で対応している。これは水のスピードを鈍化させるためだが、北側にさらな深刻な水の滞留域を生み出して賛否両論である。

その後も、クロンサームワー地区では、深刻な水深になった北側洪水地域への住民への迅速な支援を先手で打ち出さなかったため、住民がしびれをきらし、南側に水を流せ!と水門を破壊されるという事態も起こってしまった。その影響で、南にある我が家のミンブリーノンチョック地区に大量の水が流れ出て、三菱モーターなどが入居するバンチャン工業団地の周りも洪水にしはじめた。我が家の周りの洪水が、さらに南下すればラカバン工業団地、スワンナプープ国際空港のエリアへ到達する。1ヶ月前の大雨による我が家の住宅地内の洪水が、吸水ポンプの効果がでてやっと水位がさがりはじめた矢先のことである。
家から乗用車でも運転が可能になったので、『土日どこにも出かけず篭城していたし、さ〜て、買いだしに行こう。』と出かけたところびっくり、ムムム.... なんと、大通り(スウィンタウォン)が海のようになっているではないか〜。(もちろん引き返えす羽目に)スウィンタウォン通りは、北側の水が到達して2日間で洪水になってしまった。

水深が深い部分の車線が通行止めになるので、迂回が必要で、大渋滞を引き起こす。これはまた長い忍耐が必要なのである、トホホ。案の定、次の日から会社への往復に6時間もの時間をついやす生活が始まった。
 
中心部から北5kmに官庁街の ラチャダーピセーク通りがあるが、ラプラオ通りから南下した洪水と地下排水路からの水が吹き上がり、まさかまさか。。。と思ううちに浸水がはじまった。ハナたちを預けている、タリニーさんのアユタヤやノンタブリーの洪水からレスキューされた犬猫の保護場所はラチャダーなのだ。10月の末までに、アユタヤからの約100匹以上の犬たちが入れ替わり一時保護されていた。私も週末に掃除などのボランティアで週末に通っていた。
タリニーから夜遅く電話があり、『水がきたら大変なので、お宅も洪水で大変だけど車が通れるうちに2匹を迎えにきたほうがいいわね』、とアドバイスされた。急遽、ハナとソムを迎えにいくことになった。

その後、アユタヤからの犬たちが心配だったが、洪水の拡大がタリニー家まで達するのが時間の問題となり、オーストラリア人の獣医師と協力して、ペッチャブリ県(ホワヒンーチャアムなどリゾートのある県)の動物のサンクチュアリWildlife Friends of Thailand(www.wfft.org)に無事移送された。

移送後に保護場所の広い庭は10cmの水位になったそうだ。さて、ペッチャブリ県のWFFTには、数々のレスキュー団体からの犬猫を含む動物が洪水から救助されて、仮の保護施設として収容されているとのこと。去勢手術など海外からの獣医師資格者が協力してフル稼働している。
タリニーのラチャダーの空家を無償提供され、レスキュー専用のクリニックも準備中のこの獣医師によると、WFFTは、今想像もできないほどの状況で、犬猫の世話に大勢の飼育員ボランティアが必要だが現地では人材が不足、バンコクから人を募集するように、タリニーさんを通してお願いしているとのこと。1〜2ヶ月ほどのスパンでボランティアできる方なら外国人でももちろんOKだが、ここは狂犬病もあるタイなので、まず、野犬の取り扱いに慣れた人でないと無理。シェルターのボランティアは、臭い汚い、ノミがたくさん、ちょっと危険?を前提とする大変な作業である。野良には、噛み付く犬や唸る犬もいるし、世話するには、ワンコへの愛だけではなく、テクニックも必要である。もちろん狂犬病予防のワクチンを受けてからボランティアするべきである。とにかく多くのアニマルラバーの協力でこの困難を乗り越えるしかない。
  
タリニーから、写真つきでメールが届いた。『Anuone would you like join? – わが家とドッグハウスの前はまるで川です。レスキュー用の車のパイプを改造して洪水仕様にしました。それと4匹の障害犬を救助しました。』

タリニーさんの自宅のワンコたちはとくに避難させず、門に土嚢をつんで、敷地内に一緒に篭城するそう。大丈夫かな。でも写真をみるとそれなりに楽しんでいるようにも見える。タイ人の水に対するおおらかさなのか。

バンコク都は10日以内に水が引くと発表していますが、実際にはこれから、大通りの水でまた水位があがるのかも、とちょっと不安。北に住んでいるので洪水の動きがよくわかる。こうして、じわじわとそして確実にやってくるタイの洪水。津波や鉄砲水のような怖さとは違うストレスがある。また土地が平らなため、水が通り過ぎずに溜まったままになると、衛生環境が悪化し、感染症の恐れがあるので、日本人駐在員の家族の多くがばたばたと会社命令で強制帰国。洪水地域では、すでに品薄でペットシートが買えない。遠出して日本人居住区(スクンビット)まで行く、あるある〜、買占めました(恥)、都心はまだいろいろな品が洪水地域にくらべ入手可能。

あれれ、斜め前お宅は、立体駐車場のように金物で車用のレールを組みはじめている。それが1mの高さ、ということはそれくらい水があがる、って予想しているということ?まったく誰の情報を信用してよいのやら。 

11月10日は満月。タイのロイクラト−ン(*)は、バンコクも含み洪水地域ではイベントが中止されたところも多いと聞く。灯篭が運河に流されるとごみになり洪水を悪化させるとの意見が多いが、洪水にもめげず、我が家のまわりでもンバンと花火があがり、灯篭を流す親子や恋人たちの姿が。ロマンチックな満月が洪水に覆われて湖になった水面を明るく照らす。
「ロイクラト−ン」13世紀のタイ・スコータイ王朝時代、川の女神へ感謝をささげるため、バナナの葉で蓮の花をかたどった灯篭(クラト−ン)をつくり、川に流したことから始まったとされる、タイ伝統のお祭り。毎年陰暦12月の満月の夜にタイ全国各地で催され、人々はロウソク、線香、花などで美しく飾ったクラトンを、満月の映える水面に流す恋人同士が二人で一緒に流すと、次の年もずっと一緒に過ごせるという。

さらに11月中に海の潮位があがるので、洪水地域では緊張が続き、全国的にタイはちょっとお疲れモードなのである。(2011/11/14)(タイ、N.Oさん)

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