オランダから見た日本の動物愛護 (6)オランダの動物保護施設

オランダから見た日本の動物愛護 (6)オランダの動物保護施設

週末、自宅から車で約30分のところにある動物保護施設を見学に行ってきました。オランダの動物保護施設がどんな風になっているかを、日本に住む日本人に知って欲しかったからです。

日本でいう「殺処分をするところ」動物愛護センターは、オランダでは「新しい飼い主が現れるまでずっといられるお家」です。

プレゼントには、バスタオルや敷き布団、フードを持って行きました。

この動物保護施設は都心部に比べると規模は小さめですが、それでも広い敷地にあります。

施設内に入り、まずはご挨拶です。プレゼントを渡して、訪問の目的を説明しました。
スタッフの方は、施設内の見学と写真撮影を快諾して下さいました。

ちょうど私達が到着した時、一人の男性が猫をケージに入れていました。
顔つきは明るくなかったので瞬間的に「捨てにきたんだな」と思いました。その人は「どれくらいで里親さんが決まるか、知らせてもらえますか」などと話をしていました。そして支払いを済ませ施設を後にしました。

オランダ中のどこの保護施設でも、犬や猫を捨てる場合、また里親になる場合、支払いの義務があります。

<この施設に捨てる場合>
猫 : 50ユーロを支払います。
犬 : 80ユーロを支払います。

子猫 : 10ユーロ+必要な予防接種43ユーロ
子犬 : 20ユーロ+必要な予防接種代43ユーロ
(生後7週間から3ヶ月まで、生後7週間未満は持ち込むことはできません。)
うさぎ : 10ユーロ

去勢手術費用
オス猫 : 52.50ユーロ
メス猫 : 105ユーロ

<この施設から動物をもらう場合>
猫 : 80ユーロ/子猫 : 105ユーロ
犬 : 140ユーロ/子犬185ユーロ
うさぎ : 25ユーロ

飼う事が決定し家へ連れて行った日から、1週間以内にペットの健康診断を動物病院に連れて行った場合の病院での検査費用は動物保護施設が負担してくれます。また、何らかの事情でペットを保護施設に返す場合は返金はしません。さらに3ヶ月以上経ってから返す場合はさらに料金を支払わなければなりません。
3ヶ月後から一日経過ごとに
犬 : 11ユーロ
猫 : 6ユーロ
加算されます。

壁にかけられている色とりどりの額には、この施設をサポートしてくれている企業や人の名前が載っています。

奥へ進むと、施設内はキレイに清潔に保っている事がよくよくわかります。まずはプレイルームです。

各部屋があり、大体ひとつの部屋で3畳くらいかな。一部屋に3匹くらいの猫がいます。
ドアの前には猫ちゃんの情報が書かれているファイルが設置されています。

猫ちゃんが登るための塔が後ろにあります。

通路を曲がると10個のケージの中に2匹の猫がいました。プレイルーム待ちです。
たくさんの猫を一緒にする事は喧嘩にもなりストレスになるので順番を待っています。

奥にはバルコニーを利用した庭が広がっています。この庭は全部のプレイルームと繋がっています。
奥にたくさんの猫が思い思いの時間を過ごしていました。ここにいた猫の数は17匹のみ。

一組のご夫婦が猫をもらいにきていました。スタッフの方とお話をしながら猫ちゃんを決めたようでした。
今日も私達がいる間のわずかな時間で、1匹の猫ちゃんが新しい飼い主の元へと行きました。

「HELP ONES」「私達を助けて」
犬は建物の外にいました。犬は飼う意志がなければ直接見る事はできません。なぜなら、たくさんの人が来ると犬たちはストレスを抱えてしまうからです。

ここにいる犬たちは飼い主に捨てられたので人間を信じれない子たちもいます。
人を見るとうなり声をあげる子もいます。また間違った躾をされ人になつかない、威嚇するような子達を、新しい家族が見つかるようにトレーニングもしています。

ちょうど散歩に連れて行く時間になったようで、1匹、1匹ずつスタッフの方が散歩させています。犬たちは尻尾を大きく振ってとても喜んでいました。

トッパーという犬がこの施設で一番長くいるそうです。2007年に外で見つけられ動物レスキューに連絡が入りこの施設へ来たそうです。トッパーの過去は何もわかりません。
トッパーはいい子ですが、ちょっと難しい犬なのできちんとしたトレーニングが必要だそうです。しかし、推定14歳なのでリトレーニングも難しく、「トッパーは死ぬまでここに居て構わないのよ」とスタッフは言っていました。

オランダ政府は捨てられた犬や猫に対して、一匹、2週間分の費用の援助をしています。
ですが、2週間以上たった犬猫達の飼育費はどうしているのでしょうか?

先ほどの、捨てる人、里親希望の人達からの料金の徴収も一つの財源ですが、多くの企業や個人の方、そして動物愛護団体からの寄付金で運営されています。十分な額とは言えませんが、オランダは「動物を愛する命の尊厳や重さを理解している人が多い」ので、日本のように殺処分することはあり得ません。

オランダで殺処分を施すときは、重病を患っていて、治る見込みがなく苦しんでいる場合のみ獣医師の元で安楽死をします。眠るように天国に逝かせます。

日本は残念ながら、未だにガス室による殺処分が行われています。そして福島第一原発の警戒区域内に残された動物たちの現実があります。
日本は海外の素晴らしい動物保護施設を参考にして、殺処分しない保護施設のあり方を模索し是非実現して欲しいです。(2012/10/21)(Animal Rights For Japan)

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