動物孤児院 (92)“動物の愛護及び管理の推進に関する件”と、発想の違い

“動物の愛護及び管理の推進に関する件”と、発想の違い

動物愛護運動をしている友人から翻訳を頼まれて、「動物の愛護及び管理の推進に関する件」という書類に目を通しました。私は法律英語の専門家ではないので、法律については苦手というより手を出すべきではないのですが、一応日本文を読んではみました。理解困難な単語が並んでいるわけではありません。しかし、どうにでも取れるような文章や主語のあいまいさに、やっぱり私には無理です。私は「あまりにもあいまいで、翻訳不可能です!」と言ってしまいました。

そして、ドイツとの発想の違いに驚いています。例として第六項目の本文を挙げてみましょう。

「動物の愛護及び管理の推進に関する件 六」

犬猫の引取り数の減少が殺処分頭数の減少に寄与することに鑑み、引取りの要件を厳格化し、引取りを繰り返し求める者や不妊去勢手術を怠ってみだりに繁殖させた者からの引取りを拒否できるようにするなど、引取り数の更なる減少を目指すこと。また、飼い主の所有権放棄により引き取られた犬猫も譲渡対象とし、インターネットの活用等により譲渡の機会を増やすことを通じて、殺処分頭数をゼロに近付けることを目指して最大限尽力するよう、各地方自治体を指導すること。」

まず、「引取り数の減少が殺処分頭数の減少に寄与することに鑑み、引取りを厳格化し…」の部分です。
引き取った犬猫を殺処分しているのだから、人が犬猫を連れてこなければ殺処分の数も少なくなる。そりゃそうでしょう。しかし、そんなに単純に考えてしまっていいのでしょうか? 「処分してください」と犬猫を連れて来るような人たちのことです。要らなくなった犬猫をどこかに捨てなければならない、しかし自治体が難しいことを言うようになった。そこで、そのような人たちは不要になった犬猫をどうするでしょうか? 山に捨てるなり、川に沈めるなり、他の方法で処分するでしょう。引取りが厳格化されたから、もう繁殖は止めよう、ほかの金儲けを探そう、と思うようになるでしょうか? 哀れなのは犬猫たちです。殺処分でガス室で殺されるか、(たぶん)川に沈められるか山に捨てられるか、繁殖屋の手で殺されるか、の選択しか残されていないのですから。

引取りを繰り返し求めたり、もしくは不妊去勢手術を怠ってみだりに繁殖させたりしてブラックリストに載るような人間によって増やされた犬猫は別の方法で「処分」されてしまう、ということです。これは犬猫の動物のためを思って書かれたのではないと言えます。


 ドイツでは引取りの際、説教などしない

ドイツの動物保護施設の考え方は逆、と言っていいかもしれません。なぜなら:

● 犬猫を連れて来た人を責めるということは決してありません。

● 犬猫を連れて来た人に質問するのは犬猫の名前や、性格や、健康状態や、飼い続けることのできない理由であって、それは犬猫に新しくファミリーを探すための情報として必要だからです。

● 引取りを繰り返す人は普通、背後に動物虐待などの悪徳事情があることが多く、虐待と見なされた場合は、法律で犬猫を飼うことが禁じられます。

ドイツでは夜間にこっそり来て、保護施設の玄関先に犬をつないで立ち去ったり、子猫を箱に入れて施設のゴミ箱の裏に隠して行く人がいますが、保護施設は、「私たちは決してあなたを責めませんので、動物をそのようにつないだり、隠したりしないでください。見えないところにつないであると発見が遅れたり、寒さで動物が死ぬ恐れがあるのですから、どうか放置しないで!」と強調しています。

尽力を尽くしますってどれくらい?

殺処分頭数をゼロに近付けることを目指して最大限尽力するよう、各地方自治体を指導すること。

最大限尽力って、どの程度? 政治家が好んで使う言い回しだなあ。「最大限尽力を尽くします」。「がんばります」。「一生懸命努力します。」
でも私は具体的な内容を知りたいのです。最大限の尽力はつまりどのようにすればゼロに近くなるのか?ということを、です。
店頭販売しない、繁殖は法律で規制する、放し飼いの犬猫や野良猫はひとまず税金でこれ以上の増加を食い止める、などというような内容のほうを知りたい。

それから、誰がどのように「各地方自治体を指導する」のでしょうか? 
まず指導されなければならないのは動物愛護について無関心の政府〜政治家なのでは? 日本国中、すばらしい活動家がたくさんいらっしゃって、中にはご自分の被爆の危険を冒して福島の動物を救おうとしている方や、ご自分の財産を投げ打って動物を保護している方もいます。そのような方たちこそが一番どのようにすれば殺処分がゼロになるかよく知っているのです。そのノウハウや実際の問題を最も知らなくてはならない人たちは政治家や地方自治体の無関心なお役人たちだと思うのですが。

全部で11項目あるのですが、この勢いでいくと本1冊分になる可能性もあるので、今日は1項目だけにしておきました……。

サブコンテンツ

カテゴリー

このページの先頭へ