破綻したレスキュー?(オレゴン州)

破綻したレスキュー?(オレゴン州)

オレゴン州はアメリカ全体から見ても動物愛護が進んでいる州ですが、州内で大がかりなレスキュー、全頭保護が実施されました。OHSだからこそ、出来た内容でしょう。アメリカ全土がOHSのシステムを踏襲して欲しいですね。日本はというと動物管理事務所は未だに殺処分の場です。以前から比べれば、確かに犬の殺処分数は格段に減ってはいますが、動物愛護先進国にはほど遠い状況でしょう。特に東日本大震災の後の、福島の動物たちのことを考えると、これまで少しづつでも進化していると思っていたのが、仮想であったと思い知らされたのでした。また日本にもOHSのような強力な組織が必要ですね。(LIVING WITH DOGS )


2013年1月14日 (月) 、オレゴン史上最大規模の動物飼育怠慢のケースがセーラム市外の倉庫で差し押さえられた。Willamette Animal Rescueという名のもと、なんと149匹もの犬たちが小さなクレートに押し込められて、山積みにされていた。クレートの中には水もフードもなく、ほとんどの犬が栄養失調や寄生虫、皮膚病や眼病を患っており、中には怪我をしたまま手当てされていない犬もいた。

このレスキューは昨年5月に非営利団体として設立したが、法で規定されている慈善事業としての登録をするよう当局から何度も通告があったにもかかわらず登録の手続きがなかったため、ついに12月20日には警告状も出されていた。

この団体の責任者は24歳の女性、さらに取締役として19歳と21歳の女性が名を連ねており、現在までにこの3人は逮捕されている。

オレゴン州の飼育怠慢あるいは動物虐待に関わる法律では、個人・団体の別にかかわらず動物の飼育に関し次の4つの事項を義務付けている。

•充分な食料と水
•充分運動できるだけのスペース
•排泄物のない、適度に清潔な住処
•動物の飼育に適する温度をもつ環境

今回のケースでは、いくつかの通報をもとにマリオン郡保安事務所とOregon Humane Society (OHS) が正式な調査に入り、前述の最悪な動物飼育環境から149匹の犬たちを保護した。その大部分の110匹がOregon Humane Societyに搬送されたほか、Willamette Humane Society とMarion County Dog Controlが残りの犬たちを保護している。http://www.oregonhumane.org/news/stories/major_rescue_brooks.asp


しかしなぜ20歳前後の若い女性たちがこのような事件を引き起こしたのだろう。事情徴収の内容は明らかになっていないので推測でしかないが、彼女たちがレスキューを始めた動機は、単に動物を救いたかったからではないだろうか。そしてわずか数ヶ月でに破綻してしまったのはレスキューの運営の難しさを物語っているような気がする。私自身数年前からフォスターファミリーとなり、犬や猫の譲渡や募金集めを通して、レスキュー団体の運営を見てきた。すべてがボランティアによる無償のサポートと企業や個人からの寄付金に頼っているのだ。それらを集められなければかならず破綻する。一人で面倒の見れる動物の数は限られている。しかし有志による実働に頼るばかりではスムーズな運営はできない。様々な譲渡会の企画や、ウェブサイトなどでの広報、去勢・避妊手術や予防接種の手配、資金繰り、経営能力をもつ人材も必要だし、大きくなればなったで団体としての使命に則り所属する人々を纏めて同じ方向に引っ張っていく力も必要となる。今回の事件の全容、特に設立者たちの動機に関する報道が待たれる。

ところで今回私が感心したのは、Oregon Humane Societyの行動の早さと臨機応変さだった。
搬送した110匹の犬達の緊急医療処置から始まり、彼らの健康状態に応じて仕分けをし、ボランティアやフォスターたちにはこのように投薬が必要であったり、ストレス状態にある動物の世話についての特別講義を受けさせ、なんと2日後にはその中の80匹近くをフォスターファミリーに預けることができた。これだけの数のフォスターファミリーをこんなに早く手配できたのは、やはり常時1000人以上のボランティアが登録しているOregon Humane Society の組織力だと感心した。

それにしてもこの110匹の犬がOHSに運び込まれたのが月曜の夜。OHSはなんと翌々日の水曜日には更に114匹の犬たちを引き取っている。その中の70匹はこの事件がおきた時点ではすでにカリフォルニアからポートランドに搬送される途中であり、OHSはこれらの犬を引き取ることにあらかじめ同意していた。いっきょに220匹以上の犬を引き受けることになってしまったOHSでは、館内の空いているスペースを急遽レスキュー犬たちの部屋にし、フォスターファミリーに預けることの可能な犬たちを一時的に預かってもらい、新たに引き取った犬たちのためにケンネルを空けるため以前からOHSにいる犬の中で1歳以上の犬の譲渡料を$50に下げて譲渡を促進したり、様々な工夫を凝らしてこの場を乗り越えた。

今回の事件現場から保護された犬たちは一応飼育怠慢の証拠でもあるため、アダプションが可能になるまでには何ヶ月もかかるかもしれないと懸念されていたが、このほど事件から約一ヶ月ぶりに健康状態が改善した70匹が新しい飼い主を探すことになった。
http://www.oregonhumane.org/news/stories/Marion_County_Adopptions_Begin.asp

寒い倉庫の小さなクレートの中から、暖かい家庭のソファへの道のりは、多くのボランティアたちの手で支えられている。(2013/2/14)(米国 Hollyママ)

サブコンテンツ

カテゴリー

このページの先頭へ