フォスターファミリー体験記 – Annie, Angel(1)

フォスターファミリー体験記 – Annie, Angel(1)

フォスターファミリーを始めて早7年目になりましたが、フルタイムで働く私は今まで3ヶ月半以下のパピーを預かったことがありませんでした。ところがひょんなことからトイプードルの母親と生後たった3週間のパピーのフォスターをすることになりました。

お隣ワシントン州のシェルターからOFOSAの会長のCathyが引き取ってきたトイプードルの母犬アニーは、怯えとベビーを守るためから、近づく人は誰彼かまわず吠えまくって噛み付いていました。たまたま次にフォスターする犬を探しにOFOSAに行った私は、できればこの母娘をフォスターしてくれないかと頼まれたのです。

母親が授乳中なので、パピーの食事と排泄物の掃除の心配のないことから、主人が長期出張中でも一人で出来そうだと思い、この2匹をフォスターすることにしました。とは言っても、近寄れば噛みつかれそうで初めのうちはタオルで母親をくるんでからでないと抱くこともできませんでした。

Cathyは「噛み付くピットブルは引き取らないけど、噛み付くトイプードルは引き取る、なんてね」と自分のダブルスタンダードぶりを苦笑していましたが、その気持ちは私にもよく分かりました。実はこのパピー、前足の一つが肩の根元からほんの少ししかないのです。3本足のパピーでした。

大きな猫の砂箱に毛布を敷き手のひらに乗りそうなパピーと母犬を入れてうちへ連れ帰りましたが、この2匹をどこにおけばいいのか迷いました。
いままでのフォスター犬は、見ていられないときにはユティリティールーム(洗濯室)に入れておきましたが、この調子で母犬のAnnieがうちの仔たちに吠えまくったら、彼らにとってもストレスになります。かといって2階の空いている寝室ではあまりに隔離されてしまいそうです。
そこで普段はあまり使わない一階のバスルームを彼女達の住処にすることにしました。ドアを閉めておけば安心して授乳もでき、私も度々見に行けますし。まずはバスタブの中に猫の砂箱ごと入れて、空いているところにオシッコシートを敷き、バスタブの外には出られないように簾で仕切りを作りました。

この親子2匹がどういう事情でシェルターに持ち込まれたのか、またどうしてパピーが一匹だけしかいないのかは分かりません。母親のアニーの毛は伸び放題で尻尾は毛布のように毛がフエルト状に固まっていてどこまでが尻尾なのか分からない状態でした。見るからに長いこと放浪していたか、飼育放棄されていた様子でした。

Annieは一旦抱いてしまうと、噛み付いたりせずに大人しくしてくれますが、バスルームのドアを開けるたびにすごい形相で私やうちの犬や猫たちに吠えまくるので、うちの仔たちはバスルームには近づきません。
彼女が安心して育児に専念できるように、初めの2週間はバスルームの中だけで過ごしてもらいました。生後3週間のパピーはまだ目も見えていないようです。パピーが人間に抱かれることに慣れるようにAnnieの食事中は「ママ、ちょっとパピー借りるわよ」と言って抱っこしたり、次第にバスルームの外に連れ出したりもしました。初めのうちはパピーを抱き上げるとAnnieはあせって取り戻そうとしたのですが、私のことを信頼するにつれて安心して預けてくれるようになりました。

さてベビーの名前は私がつけることになりました。OFOSAでは母犬の頭文字と同じ頭文字の名前をベビーたち(通常は同胞犬が複数いる)につけています。そうすることで同胞犬が見分けやすくなるからです。私はAnnieのパピーをエンジェル(Angel)と呼ぶことにしました。3本足でも元気で優しい仔に育って欲しいとの願いを込めて。エンジェルの頭には、まるで天使の光輪のような白い輪がありました。


 

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