フォスターファミリー体験記 – Chloe, Beni(1)

フォスターファミリー体験記 – Chloe, Beni(1)

昨年の10月11日午前2時半、カリフォルニアBakersfieldにあるHigh kill(安楽死を頻繁にする)シェルターからいつものようにRescue Express Transpot(通称RET http://www.rescueexpress.org/)という犬猫レスキュー専用のバスで、安楽死を免れた犬や猫がたくさん運ばれてきました。私は家から約7マイルほど離れたショッピングモールの駐車場までOFOSA(Oregon Friends of Shelter Animals)あてに送られてきた30匹の犬を迎えに行きました。そのうち8匹を自分の車に積み込み、10マイルほど離れたOFOSAの施設まで連れていき、その晩はケージに入れて帰宅しました。



翌朝(といっても数時間後ですが)その30匹の中から特に臆病な生後4-5ヶ月の2匹の姉妹パピーをフォスターとして家に連れ帰りました。初めは1匹だけのつもりでしたが、ケネルが一杯なので2匹してくれないかと言われ引き受けたのですが、後にそれが大きな間違いであったことに気づかされました。



この2匹は仲良く遊ぶかと思えば、私の注目をめぐって噛み付き合いの喧嘩をするのです。最初の喧嘩は、2匹をシャンプーしたときでした。黒と白の仔をChloe(黒い)、Brindleと白の仔をBeni(紅)と名づけましたが、洗い終えずぶ濡れのChloeをバスタブから出した途端、BeniがアタックしてChloeも応戦しました。どうにか2匹を離してChloeのシャンプーも終えると、また2匹で唸りあいです。こんなことが私がいるときに限って何度もあり、一度はBeniの耳から出血するほどでした。耳と言えば、この仔たちの耳の内側は2匹ともかさぶただらけで、どうしてだろうと疑問に思っていましたが、後にカリフォルニアのシェルターから送られてきた写真を見て納得しました。彼女達の耳の中に何十匹というダニがついていたのです。それをピンセットで一匹ずつ引き剥がした後のかさぶたでした。



シェルターに入るまでの詳しい過去は分かりませんが、このダニの多さから見ても、2匹は家庭で飼われていたとは思えませんでした。極度の怖がりで、お互いの不安を感じあい、すぐに精神的に不安定になるのです。そして不安から来るAggressionを相手にぶつけるという、Redirected Aggression(転嫁攻撃)が毎日繰り返されました。この不思議な行動を理解しようといろいろ調べた結果、Littermate Syndrome(同腹兄弟シンドローム)という定義に出会いました。 同腹の仔犬を同時に飼う場合(特に同性の場合)、いろいろな問題が起こる可能性があります。例えば、2匹の間の力関係から、一方が常に他方を苛めるような関係が一旦できあがってしまうと、バランスのとれた社会化ができなくなります。また常時一緒に過ごすことから2匹間が親密な関係になり、人間との望ましい関係の確立が難しくなったり、あるいは2匹を離すと分離不安になったりしてしまうことが多くあるそうです。 ChloeとBeniの場合には、このLittermate Syndromeとは別に、捕まえられたときのトラウマ、あるいは人間との接触がその月齢になるまで全くなかったからか、人間に対する不信感があるような気がしました。どういうわけか私のことだけは信頼してくれ、私をめぐっての嫉妬心からのいさかいがよくありました。 そうこうしているうちに、11月5日にChloeが、11月14日にBeniがそれぞれ別の人にもらわれていき、私もほっとしました。別々の家庭で、今までの分を取り戻して人間との信頼関係を築いていって欲しいと思いました。2匹の喧嘩から開放されたのは嬉しかったけれど、やっぱりあれだけの怖がりなので、アダプトされたあとも、それぞれの人との連絡は絶やしませんでした。Chloeは怖がりではあったものの、Aggressionは全くなく、新しい飼い主の愛情と努力でとてもいい仔にしているとのこと、おまけにDNAテストまでしてくれ、ChloeはAmerican Staffordshire Terrier(俗にいうピットブル)とRat Terrierのミックスと分かりました。ところがアダプトされてから6週間以上たった12月末、BeniがOFOSAに返されてきたのです。

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