都立駒沢オリンピック公園のドッグランについて考える

都立駒沢公園のドッグランについて考える

都会で暮らしてない人にとって公園っていうと町内にある児童公園みたいな空き地を連想すると思う。けど、東京の公園っていうのはとにかく馬鹿でかい。大きな木がたくさんあって都会のオアシスという形容がピッタリである。

世田谷の駒沢オリンピック公園もそう。総合スポーツ施設を中核とするこの一帯は、犬のコミュニティとしても機能している。たんに土があるから散歩させてるわけではなく、そこには犬同士、飼い主同士のさまざまな関係が在る。

犬飼いは、いくつかのポイントに自然と集まる。体育館の裏手の低い石垣に沿った場所、第二球技場正面入口の前の広場などいつの間にかそこに集まるようになった。

園内は基本的にはオフリード禁止だ。スピーカーから時々注意のテープアナウンスが響く。しかし、多少のイザコザは無いことはないだろうが、なぜか微妙なバランスの上に成り立つ公園なのだ。

おそらくその微妙なバランスは、古くからこの公園を根城にしているポイントに集う犬飼いのコミュニティだと思う。組織化こそされていないが、このコミュニティの存在が犬と人間が渾然一体となる駒沢の微妙なバランスを作り出しているのではないだろうか。が、最近この微妙なバランスが揺らぎ始めてもいる。

その大きな原因は、犬ブームだ。そんなにうるさくも言われない公園ということで犬飼いが集まるのはしかたがないが、そこには当然マナーにうとい人間もそれも週末利用者という他地区からの人間である場合もある。ポイントに集まるコミュニティも、その数に押され機能しずらくなってきているのは事実ではないかと思う。

そんな駒沢の微妙なバランスをゆさぶることが起きた。

駒沢を古くから根城にしていたある人が「駒沢公園にドッグランを作る準備委員会(仮称)」を立ち上げ、今年の秋から1年間の試験的ドッグランを駒沢公園内の33m四方のフェンス内に設置するというのだ。(実際には半年である)
 

駒沢公園のドッグラン試行予定地

サイクリングコース側から撮影。地面はコンクリートブロック。猫やハトに餌をやる女性がいた。 (撮影日 : 2002/08/31)

公園中心部から撮影。カップルがベンチでおしゃべりしていた。 (撮影日 : 2002/08/31)

サイクリングコース側から予定地横を撮影。ホームレスの人のビニールシートがあった。 (撮影日 : 2002/08/31)

 


■以下は、駒沢公園の飼い主向けに配布されたドキュメント
 


先日皆様に署名頂いた陳情書により今秋、駒沢公園に犬のためのスペースが出来る予定です。
東京都は2ヵ所の設置を予定しており、区内では駒沢公園に約300坪を予定していますが正式決定まで場所の公表はお待ちください。

番犬から家族へ、犬の飼い方も時代と共に変わりペットショップも増え、どこのお店でも常に子犬が売られているように犬人口も増加しています。
現在の都条例は番犬時代からのもので当然考慮が必要であるとともに東京を初め各地でドッグランの要望が高まっていますが欧来諸国に見られるようなドッグランは現在の日本では100年早いと言われるほど飼い方、飼い主のモラルが問われています。
信じられないことですが、犬の糞をビニール袋ごとトイレに流してしまう飼い主がいることも現実にあるようです。
行政もこのような状況下でドッグランを開設する事は不可能でしょう。

そこで、地域住民に管理運営を委ね、飼い主の意識向上と試行錯誤を重ね欧米諸国に一歩でも近づけるようにと、当初1年間を予定し試験的に公園の一部をドッグスペースとして解放してもらえることになりました。
このことにより、現在大きなトラブルもなく犬を遊ばせていた方には、場所の制限がでてくるなど様々な変化が生じるため、逆に不自由な状況や、ドッグランに反対している人たちからの風当たりが強くなることも予感されますが行政が第一歩を踏み出した事、そしてこれは全国から関心を持って注目される事であり、成功すれば各地に犬のためのスペースが誕生することに繋がります。

日本の愛犬家達が長年切望していた欧米並みの犬との共存社会を実現するための貴重なワンステップとなるためにも開設と運営に向けで委員会を置したいと思います。
公園を利用する皆さんにご理解頂き成功のためのご協力をお願いします。
期日も追っておりますので、取り急ぎ概略までご多忙かと思いますが、ご賛同ご参加ご協力をお願い致します。


駒沢公園にドッグランを作る準備委員会(仮称)

東京の公園をめぐる攻防では砧公園の例が新しいけど、今回は東京都を巻き込んだ話だから気がおけない。

今回駒沢で行われる1年間の試みは、はてどういうビジョンを想定しているのだろう?
ドッグランの必要性をどのように認識しているのだろう?
また、公園を利用する犬飼い人口の何パーセントの陳情なのかの調査なくして実施されるこの試みを行政や世間様に勘違いさせることなく、成功させる力量、もしくはアイディアがこの「駒沢公園にドッグランを作る準備委員会(仮称)」にあるのだろうか?

石原氏が東京都知事になった時、「この東京から日本を変えてやる」といった。その怪気炎には熱くなるものがあったが、その反面恐さを感じた。

その恐さは「議論なき政治」だ。実際、東京発のアイディアが全国に飛び火したことも少なくはない。が、そこには右にならえや、東京の前例という書類があるだけでアイディアも議論もない。本質が失われるのだ。

この団体が1年間の試験のあと、失敗したと大きな声で言える覚悟はあるのだろうか?
失敗を形だけの詭弁で多い隠し、それが全国の自治体に飛び火したときではもう遅いんじゃないだろうか?

犬を自由にさせて叱られない場所がドッグラン?ドッグランは共存なのか? それとも棲み分けなのか? それとも棲み分けをしなきゃならないぐらいに駒沢公園の危機はせまってきているのか?

(2002/08/24)(兵庫県、K.Nさん Ext_linkDOG FREAKS

工事開始前の都立駒沢公園
駒沢公園のドッグラン試行予定地に行ってみた。予定地内に掲示があり、工事期間は、10/28〜11/28と書かれていた。工事内容は、周りの柵、ベンチの撤去、縁石、地面、植木、犬用のトイレ、水飲み場、出入り口の設置、等である。
気になるのが、敷き詰められているデコボコなコンクリートブロックである。詳しく、地面をどう工事するかは記載されていない。
犬が走り回る場所の地面がこのようなデコボコのままであって欲しくないと考えるのは愛犬の安全を考える飼い主だったら当然のことだろう。
どのような工事が行われるのかをウォッチしたいと思う。
(2002/10/26)(LIVING WITH DOGS)

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