フォスターファミリー体験記 – Beau (3)

Beau (3)

Beauを預かり始めて、ちょうど2週間になります。

毛並みもだいぶ艶がでてきて、元気そうになってきました。下半身の脱毛はどうやら以前の生活環境からくる不安が原因の自慰行為だったようです。体中に噛み癖からできた瘡蓋がありました。最近では自分の身体を噛むこともなくなりました。この家に落ち着いたことと、他の犬達との暮しで退屈する暇もなくなったからでしょう。これからはどんどん毛が生えて今に見違えるように立派なボーダーコリーになってくれることと期待しています。

うちでの生活のパターンにはすっかり慣れ、うちの仔達のように早食い、早ナントカ(笑)の習慣もできました。雨でない日は4匹で庭を走り回っています。そしてこれはあまり感心できませんが、Beauもうちの3匹に交じって塀越しの隣家のボクサーに吠えまくっています。こうして見ているとすっかり普通の犬のように見えるのですが、一旦外に出て知らない人に出会うと急に尻尾を巻いてあわてて逃げようとしたり、うちに息子や娘が遊びにくると、怯えてオシッコをちびり、部屋の隅に固まってしまうのです。以前相当人間から虐待を受けたことがあるのでしょうか。それとも家の中だけに隔離されていて、飼い主の女性以外の人間に接したことがなかったのでしょうか。

いずれにしてもBeauが今のところ心を開いてくれている人間はたったの3人です。私と、うちにホームステイしている陽美さん、そして近所のりんごちゃんのママだけです。毎週末帰ってくる主人には、どうにかそばにいけるようになりました。こうやって根気よく一人ずつ信頼できる人間を増やしていくしかないと思っています。

先週の(日)の朝、Beauの左前足のちょうど肘のあたりに、ぽっかり穴が開いているのを見つけました。出血はしていませんが、中の筋肉が見えそうなほど深い穴です。昨夜まではなんともなかったのに、なぜそんな傷が突然できたのでしょうか。OFOSAのCathyに電話で相談したところ、おそらく膿瘍だと思うが場所が場所だけに関節に感染してしまうと、最悪の場合肢の切断ということになる恐れもあるので翌々日の(火)の朝一番に獣医さんに連れていくことになりました。

(火)の早朝出勤前にBeauを獣医さんに落っことし、会社の帰りにまた迎えに行きました。Beauは関節にドレンを埋め込まれ、エリザベスカラーをつけて出てきました。私が呼んでも聞こえないほど、パニックに襲われています。車のドアを開けると一目散に飛込み、やっと少し落ち着きを取り戻しました。家に帰ってからもカラーを取ろうともがいだりもせず、おとなしくしてくれています。ただカラーの大きさに不慣れなBeauは家中あっちこっちぶつかりながら歩きます。特に私が動くとすぐに後を追うため、私のふくらはぎはBeauのカラーがぶつかって痣だらけになってしまいました。初めの2日だけ私が会社に行って留守の間はカラーを装着しましたが、3日目からは古い長袖のシャツを着せています。シャツの上からドレンのところを舐めようとしても、私が「ダメ(Leave it)」と言うとすぐに止めてくれます。Beauはとっても聞き分けがいいので助かっています。抗生物質の錠剤はハムに包んで食べさせています。

この2週間の間に、Beauができるようになったことをあげてみましょう。もちろん、どれもなーんてこともない、ごく当たり前のことかもしれませんが、Beauにとっては大きな進歩と言えることばかりです。

1. ガス台や、テーブルやカウンターに手をかけなくなった。
2. 食事中おとなしく伏せをして待っていられる。
3. Beauという名を覚えてくれて、呼ぶとすぐに飛んでくる。
4. 4匹の犬の食事の準備中は座って待っていられる。
5. 自分のボウルの場所に一目散に走っていき、私がそばについていなくてもガツガツと食べられるようになった。
6. 車の中では伏せをして目的地までおとなしく乗っていられる。
7. いつものルートの散歩の途中で、ウンチとオシッコができるようになった。
8. ベッドには乗らない。ソファも犬用のものにしか乗らない。
9. 何かしてはいけないことをしても「ダメ」というとすぐに止める。
10.私を見ると尻尾を振ってくれる。
11.午前中、午後と各5-6時間は粗相もなくいい仔でお留守番できる。
12.身体中どこでも私に触らせてくれる。傷の消毒も大騒ぎせずにさせてくれる。
13.うちの仔たちに交じって、お座り(Sit)、伏せ(Down)、お預け(Leave it)、待て(StayあるいはWait)、来い(Come)ができるようになった。
14.骨を齧って遊べるようになった。(おもちゃやボールにはまだ全く興味がない。)
15.以前は怖がってオドオドと私の陰に隠れていたけど、最近はちゃんとまっすぐにリードを引っ張らずにお散歩ができる。

こう並べてみると完璧な犬のように見えますが、実はまだまだ難題があります。今のところ一番のネックはどうやってBeauに人間は怖いものではないことを分かってもらえるか。無理強いせずに根気よく社会化を積んでいくしかないのでしょうか。(2009/6/5)

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