「老犬介護セミナー」事前質問への回答


事前質問への回答

1. 老齢性の症状・痴呆症について

(質問) 18才♀5kg ミックス (Nさん)、13才♂15kg 雑種 (Iさん)、12才♀8kg シーズー (Oさん)、4才♀11kg コーギー (Kさん)から

(回答) 植松先生
顔面麻痺、旋回するワンちゃんは、残念ながら脳に腫瘍がある可能性があります。MRI、CTで治療が可能かどうか診察しますが、犬の脳の腫瘍の場合、髄膜腫は治療は可能ですが、18才の犬に手術は無理でしょう。
また昼夜逆転等、いわゆる犬の痴呆症という症状もありますので、手術をしてもすべて改善すると言うことはないでしょう。
あとはどのような介護を行うかとなってしまうと思います。確実に効果がある治療法はありません。メラトニンという時差ボケの薬剤がありますが、一時的に効果がありますが、しかし症状が進行することもあります。

2. 甲状腺機能低下症を持つワンちゃん、外でしかトイレをしないワンちゃんの室内トイレ・トレーニングについて

(質問) 11才♂30kg 秋田 (Tさん)、12才♀40kg GR (Hさん)、12才♂19kg 雑種 (Uさん)、8才♂6.2kg ミニシュナ (Yさん)から

(回答) 植松先生
甲状腺機能低下症は、良性の病気で血液検査で判りますので、血中濃度を測られて投薬していくことでコントロールできます。てんかんのワンちゃんの場合、なぜか甲状腺ホルモンを投与することでてんかん発作が治まることが希にあります。
膀胱結石の場合、手術で取るか、手術も内視鏡で石を取ることが出来る獣医師もいます。また、薬で溶かす方法があります。リン酸カルシウムは薬で溶けますが、薬で溶けない石(シュウ酸カルシウム)が増えています。これは、手作り食をあげている犬に見られますが、アクの強い野菜をあげている為か融けない石が増えています。検尿をたまにして下さい。

(回答) ごしま先生
食の基本を知らない人が多い、野菜が良いからと言って生で食べる、あくの強い野菜は茹でてあげるなど基本的なことをしてからあげることをしっかり考えて下さい。食品・材料をちゃんと知った上で調理して下さい。
秋田犬の飼い主さんへの回答ですが、この子は在来の日本の土着犬であることから、ドッグフードよりは日本食をあげて欲しいです。日本の昔からのごはんの食生活をさせてあげて下さい。柴犬とか秋田のような日本犬には日本食をあげて欲しいですね。
またこの子もスキントラブルがあると言うことですが、アレルギー検査をしっかり受けてみて下さい。2万円前後で検査が受けられます。合う食事を与えることでアレルギーは回避できる場合もあります。アレルゲンを知ることが必要です。
私は、ドッグフードは出来合のものですから常用食とはせず、非常食として考えています。愛犬を一番良く知っているのは、獣医さんでも訓練士でもなく、飼い主さんです。自分の子にとって、何が良いか悪いかは、ウンチや尿に結果として出てきます、それをきちんと観察してこの子にとって良い食事はと考えてあげて欲しいです。

備考 : アメリカで行っているアレルギー検査
スペクトラム・ラボと言うアメリカの会社で、人と馬・犬・猫の検査で特許を持っています。日本の代理店はス
ペクトラムラボジャパンです。すべて動物病院からの依頼になります。
ホームドクターに相談していただければ、検査してもらえます。(植松獣医師)

室内でのトイレ・トレーニングについて

(回答) ごしま先生
大型犬の飼い主さんに多いんですが、1才を過ぎて、外でトイレをするようになり、室内トイレを片付けてしまい、年をとったらトイレ・トレーニングをどうしたら良いかと言ってきます。そういう飼い主さんにとって、室内でしないから、朝夕のお散歩は排泄の為の散歩となっています。
生活するスペースにいつでもトイレを置いてあげるのは必要なことです。
子犬のトイレ・トレーニングをしたときは室内でした。8才からでも9才からでも室内で排泄を再開することは出来ます。犬が自分自身で室内ではもう排泄しないと決めている訳ではないんです。人が勝手にもう室内でしなくなったと決めているんですね。そして人が犬に我慢させるのは可哀想だからとかでなかなか徹底できないんです。
ある飼い主さんのところで、1日中付き合ったことがありましたが、犬もママの顔を見て「お外行かないの?」と言いますが、「雨だからいけないの」と返事すればいいんです。
ちゃんとトイレを用意して、いつでもここでして良いよと言っているんですから、犬もわかっています。
膀胱炎になるほど犬は我慢をしません。そしてこの犬はちゃんと室内でトイレをするようになりました。
「良くやったね〜」と誉めてあげましたら嬉しそうにはしゃいでいました。たくさんお水を飲ませて、人が我慢することです。「ママいかないの?」と促してきますが、そこは我慢です。

3. 足・腰が弱ってきて、飛び降りたりが出来なくなったのですがどのようにしたら良いですか?

9才♂32kg LR (Sさん)、5才♀12kg コーギー (Hさん)、5才♀4.4kg パピヨン (Hさん)から

(回答) ごしま先生
愛犬が大好きなソファーから降りる時が心配なSさん、スロープが気に入らない子には、そのソファーが大好きであれば、犬の体長を考えて座椅子を置いてあげて段差をつけてあげればどうでしょう。小型犬にも体長に合わせた段を置いてあげることで安心出来ると思います。

4. 白内障、歯石の除去について

7才♀16kg MIX (Aさん)、2才♂3kg弱 狆 (Tさん)、11才♂35k GR (Sさん)から

(回答) 植松先生
白内障は良性の疾患です。残念ながら予防法はありません。紫外線をたくさん浴びると、早くなります。アウトドア犬にとっては宿命でしょう。小型犬が早く白内障になる場合、また左右アンバランスで起こる場合は何か内分泌の疾患が考えられますから検査をした方が良いでしょう。
白内障は、犬は、新聞を読むわけではなく、視力に頼った生活をしていません。
生活の質から言うとプライオリティーは高くありません。
IさんのGRのように50の言葉を理解している犬や、ボーダーコリーで260の言語を覚えた犬がいますが、そういう理解力の高い犬にとっては、視力で認識して物を見極めていますから、視力の衰えはストレスとなると思います。
その子のキャラクターと生活に合わせて必要であれば手術をすることが良いでしょう。
眼科の腕の良い専門医も出てきておりますから、ホームドクターから紹介してもらいましょう。症例を若い獣医師にたくさんこなしていただくことで成功率も高くなっていくと思います。
予防ですが、はっきり言ってあまり効果はありません。唯一点眼が若干効果があるとは思いますが。ブルーベリー・ジュースが効くとか言われていますが、経済的に余裕のある方が試して効果があったら報告下さい。

(回答) ごしま先生
目について一言、犬は生まれたとき、嗅覚で親を判ります。次に聴覚、最後に視覚なんですね。目が見えなくなった犬の場合、ママであることを判らせるために、オリジナルの鈴を作ってあげました。違った大きさの鈴を3つ合わせて、ママの鈴を作ったら愛犬が、この音はママと判るようになりました。
昔は、人は年を取って視力が衰えたとき、やつめうなぎを食べたりしますよね。犬にもたまには、うなぎのシロ焼きなんか食べさせてあげたらどうでしょうか。

(回答) 植松先生
歯ですが、歯石は取ってあげた方がもちろん良いです。3才を過ぎて口の中を触らせないような犬は出来ません。そのような子はどこを触って怒らないような犬にしつける必要があります。
子供用のモンダミンなどを大型犬はテニスボールに浸して咬ませる、小型犬はスポンジに浸して遊ばせる。手袋に浸して口の中を拭いてあげる。理想はどんな器具を口の中に入れても飼い主さんならば大丈夫という犬にしていることです。また、このようなことは歯肉炎になっていない状態でなければ出来ません。痛い思いをさせたら犬は嫌がります。歯肉炎になってしまったら、麻酔をかけて歯石を取っていただくしかありません。

(回答) ごしま先生
昔、犬に歯磨きなんてことはしなかったんですよ。近ごろ歯周病だ、歯石だと騒ぎだしたかと思うんですけど、いつ頃からか、骨をあげると消化が悪いからいけないという風潮になって、歯石がなぜ貯まるかは、ドッグフードをそのまま食べさせているからじゃないですか? 犬に骨が悪いとはあり得ないんです。
シェパードの繁殖をしていましたが、一ヶ月過ぎてから生の鳥の頸骨をナタで割ってあげていました。子犬の骨格を作っていました。骨を食べさせないから歯石が貯まる、顎を使わないと顎の筋肉が鍛えられない、ある程度堅い物を食べさせないと歯石がついてしまうんです。
どこを触っても噛みつくような犬に育てないことです。親がいじれない、目も歯も触れないような子にしないことです。今から遅いとは思わず、やってみることです。

5. 咬み癖のある犬ですが、痴呆になったときどうしたらいいですか?

9才♀24kg イングリッシュスプリンガースパニエル (Tさん)から

(回答) ごしま先生
系統的に噛みつく犬種もいます。結構そう言う子が多いんですが、年を取った時、噛みつく犬は、人に歯をあてるような機会を作らないことです。自信のない人が対応しないことです。
まずはエリザベスカラーで防御して、次に口輪を出来る子には口輪をした方が良いでしょう。

(回答) 植松先生
咬み癖のある犬は、痴呆になっていくと咬まなくなる場合があります。しかし反射的に咬むことはありますので、そう言う状況を出来るだけ作らないようにすることが大事です。

6. 食事について

7才♀7.4kg キャバリア (Aさん)、12才♂11kg ミニチュア・プードル (Kさん)、1才5ヶ月♂7.6kg ケアンテリア (Kさん)から

(回答) ごしま先生
人と共に暮らしてきた犬は、人の最も身近な動物で人と同じ物を分け合って生きてきたんですね。エスキモーやイヌイットの食生活は、今もメディアで紹介されていますが、そうして食べ物を分かち合っています。最近学者が日本人は日本食が一番合っていると言ってますが、何を言っているのか当たり前のことですよね。欧米から簡単で早く出来る食料が入ってきてそういう食生活が文化的なのよ見たいな風潮があるのはおかしいと思うんですよね。それを考えてみれば判ると思うんですけど。
どなたかが、生食について書かれていますが、生食を推奨している獣医さんがいますが、何でも生食でと言ってるそうです。私は、子犬の離乳食をはじめるときは生の肉をあげる、大人になって食欲がないときに生の肉をあげる、と言ってますが、すべてを生でとは言ってません。 


すべての質問への回答ができなかったことをお詫びいたします。
尚、ごしま先生が気になっている質問事項がいくつかありますので追って掲載して参ります。

(2005/02/23)(LIVING WITH DOGS)

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