世界の股関節形成不全(HD)の取り組み(家庭犬記事その2)

世界の股関節形成不全(HD)の取り組み(家庭犬記事その2)

JKC家庭犬に掲載されたJAHD陰山獣医師の「犬の遺伝性疾患について考える その2」から、興味深い内容を抜粋してご紹介しましょう。
股関節形成不全(HD)は、1935年にアメリカの獣医師によって初めて報告され、世界中に増加の一途をたどりました。
1950年代後半から、1960年代には、英国、スウェーデン、スイス、フィンランド、ドイツなどの欧州の主要国は検査・登録システムを作り上げています。
米国ではゴーデンリトリバークラブ、ジャーマンシェパードクラブ、獣医師が中心となって1966年に非営利団体OFAが誕生。
スウェーデンは公開登録制を実施、情報公開が進み、1989年にはスウェーデン国内のHD罹患率46%が23%にまで減少したとあります。
アメリカはというと、1990年に動物遺伝性疾患管理協会(GDC)が設立されて研究的データベースとして情報収集と情報提供が始まったとあります。

スウェーデンがHDの罹患率を減少させた1989年頃は、日本ではゴールデン・リトリバーが流行する走りの時期でした。89年から93年頃、日本はアメリカからたくさんのアメリカショーチャンピオンの種雄が輸入されていました。ちなみに我が家の愛犬のオス親は、その頃アメリカから輸入されたアメリカショーチャンピオンでした。
アメリカでGDCが出来て、情報提供が進んだとしても、検査が義務づけられていたとはありません。日本には、HDの検査をしていないショーチャンピオンが高値で輸入されていたと言うことですね。
欧米では減少の努力をしている最中、日本では乱繁殖で80%〜70%の犬がHDではと言われるほどの状態になり現在に続いています。

現在の欧米では、純血種の繁殖がスタンダードに沿って行われる限り、遺伝性疾患は出る可能性があるとして極力抑えながら、よい犬を作出するという考えに立って、各国が独自の基準を設けてHDに対応しており、その結果、HDの検査と登録を併せて行うことが、繁殖者の信頼度を高めることにも繋がっています。
米国、ドイツ、スウェーデンのケネルクラブが発行する、血統証明書にはHDの診断結果が記載されています。

日本は2003年に陰山獣医師がJAHDを設立するまで、意識の高い個人がOFAの検査を受けさせるケースはありましたが、全くと言っていいほどHD対策は講じられていませんでした。アメリカに遅れること40年です。日本中の犬たちにHDが蔓延したことはしかりと言うことでしょう。

しかし、日本にJAHDが出来、盲導犬の罹患率を短期間で数%と減少させた功績は大きいのです。繁殖する犬を全頭検査すれば、重度のHD罹患率は減少していくという明るい未来を予感させていただけました。日本のHD罹患率が高いと言われる犬種、ラブラドール・リトリバー、ゴールデン・リトリバー、ジャーマン・シェパードでの繁殖は、種雄、台雌共にOFA、PennHIPの検査を実施し、血統書に登録されることになれば、おそらく、加速度的に罹患率は減少するでしょう。
(2005/4/16)(LIVING WITH DOGS)

検査・登録を義務づけられるのはJKCしかありません。JKCが、日本の犬の未来を明るく出来る団体なのです。読者の皆様も是非、JKCに期待していることを伝えて下さい。

以下のように感想や質問をJKCに是非送って下さい。

● 今回の記事は参考になった。
● 遺伝性疾患削減の取組をJKCも行って欲しい。
● 欧米では診断結果が血統書に記載されているらしいが、日本も記載して欲しい。
● 次回の「遺伝性疾患について考える、その3」を楽しみにしています。
● どこにお願いしたら検査してもらえるのか。

社団法人ジャパンケネルクラブ 広報課 TEL 03-3251-1060、FAX 03-3251-1846

サブコンテンツ

カテゴリー

このページの先頭へ