聴導犬・介助犬と一緒に「隅田川クルーズ」

聴導犬・介助犬と一緒に「隅田川クルーズ&浅草・吾妻橋周辺クリーンアップ」


11月12日、東京の早朝は雨です。冷たい雨の中、中央区晴海の朝潮桟橋が集合場所です。
このイベント、主催者は「住友商事」「アサヒビール」で、社会貢献事業として両社社員のご家族を招いて毎年行っているそうです。
これまで(福)日本聴導犬協会のある宮田村まで訪ねたりとされていたそうですが、今年は水上バスの上で補助犬のデモンストレーションとゴミ拾いを行います。

徐々に参加者の皆さんが集まってきました。しとしとと降る雨の中、たくさんの人が集まっています。
デモ犬のしろ君、しんちゃん、クロちゃんもいつも通り元気一杯です。そして現役犬のかよちゃん、認定試験待ちの夢ちゃんともりちゃんはユーザーさん御家族と一緒に参加です。
 

水上バスに乗船する前に枯れ草のところでみんなで用を足します。
さて乗船です。補助犬達がずらりと並んで、参加者の皆さんをお出迎えします。
雨のため、隅田公園でのクリーンアップ活動は中止となり、急遽、補助犬のデモはアサヒビールのロビーホールで行うことになりました。

補助犬達は、水上バスの後ろのスペースで各々くつろいでいます。たくさんの方が、補助犬にご挨拶をしにきます。
ある女の子は、犬を触ったことがありません。ママは、補助犬候補生の夢ちゃん、もりちゃんのあごをなぜて「可愛いね〜」「触っても大丈夫だよ〜」と促しますが、なかなか触ることが出来ません。子供の頃から、身近に動物と接する機会がなかなか持てない状況ですから、ママは一生懸命、「犬は怖くないのよ」と伝えようとしています。おそるおそる手を出してやっともりちゃんの身体をなぜる事が出来ました。「あったかいでしょう。良かったね」「怖くないよね」。
 

水上バスは約1時間をかけて隅田川を、お台場のレインボーブリッジ、清洲橋、厩橋、駒形橋、吾妻橋、さくら橋。途中芭蕉の像を見たりしながら上っていきます。お天気はどんどん回復していきます。吾妻橋の水上バス乗り場に到着したときは、晴天となりました。
水上バスは「愛犬と共にクルーズ」があるようです。愛犬と共に隅田川クルーズが出来るなんて嬉しいですね。興味のある方は体験してみて下さい。

アサヒビールのホールに向かいます。あの黄金の巨大なオブジェの横、泡立つビールジョッキをイメージしたビルです。

これから補助犬のデモが始まります。

最初に介助犬です。落とした物を拾ってくれる、「水、テイク(持ってきて)」で冷蔵庫を開けて持ってきてくれる。などの犬の動きに参加者の皆さんは拍手です。
介助犬の認定試験を前にした夢ちゃん、ユーザーさんの名刺入れを拾ったり、犬にとって拾いにくい紙やカードを拾ったり、ペンを拾ったりと大活躍です。
ユーザーさんから、「この犬は物を拾うだけの犬ではないんです。この犬が側にいてくれることで張り合いもあるし、素晴らしいパートナーなんです」そんな素敵な言葉を下さいました。認定試験合格すると良いですね。

次に聴導犬のお仕事です。耳の不自由な方の耳になる仕事ですから、銀行で呼び出しようの鈴を聞き取り教えます。ドアチャイムが鳴ったら、玄関のところへ、FAXが鳴ったらFAXのところへ。目覚ましが鳴ったら寝ているユーザーさんの上に、犬の大きさによって上に乗って知らせるか、乗らずに手をかけて知らせるかを教えるそうです。
この場には、聴導犬の実働犬、候補犬、デモ犬がいますが、音がするとみんなが一斉に反応するんですね。その様子に参加者の皆さんはまたもや拍手です。

危険な音がしたときは、音源にユーザーさんを導くことは危険ですから、その音の場合はユーザーさんの側で伏せをします。
聴導犬のかよちゃんと通勤しているユーザーさん、満員電車の中でもしっかり側にいます。会社でも、事務所からのアナウンスでユーザーさんの名前を呼ぶと、教えてくれるそうです。暮らしの中での大切なパートナーとなっているんですね。
聴導犬の認定試験を受けるもりちゃんがデモをしたがって、ヒュイン、ヒュインと鼻を鳴らすと、それをかばおうとして家族みんなで触っているので「触ると、鼻をならすのが『良いこと』となり、強化されますので、触らないでね。やめてほしい行動は、無視してくださいね」と、有馬さんがアドバイス。もりちゃん、家族みんなから愛されているのが伝わってきます。
さて最後に聴導犬協会の有馬さんが参加者からの質問にお答えします。

Q:実働する期間は何年くらいですか?
A:盲導犬の場合、大型犬ですが、聴導犬は中型か小型犬です。
小型なので、介助犬でも重い物を持たせたり、車椅子を引かせるような仕事はできません。
動物は一般的に、大型になればなるほど長生きなんですが、残念ながら犬の場合は小型犬の方が長生きです。盲導犬は、通常、7歳くらいから、毎年身体チェックがあり、ほとんどの協会で11歳くらいで引退になります。小型犬の場合は、大型犬よりも長く働けるようです。マルチーズなど、20歳くらい長生きな子もいますし、15,6才位まで元気に働くことが出来るようです。
小型の介助犬の場合は、 車椅子のユーザーさんのヒザの上に乗ることが出来ます。込んだ場所で、他の方に踏まれたりしないように、駅の階段を駅員さんが数人で車椅子ごともちあげる時もヒザの上なら、補助犬がじゃまにならないように、場所をどこにするかとか問題になりませんし、また、軽いので、駅員の方にも負担が少ないですね。小型介助犬のメリットは、大型犬よりも、医療費や食費も 少なくて済みますし、ユーザーさんが おっしゃるには、ウンチの量が少ないのも良いということです。

Q:盲導犬は働けなくなると協会に戻りますが聴導犬や介助犬はどうなんですか?
A:日本での盲導犬育成は50年ちかい歴史があり、現在1000頭近い盲導犬が輩出されました。年齢や病気などで働けなくなった盲導犬は、ほとんどの場合、盲導犬協会にいったん、戻ります。ユーザーさんは、視覚に障害をお持ちの方に、ラブラドールのような大型犬の老後の世話をしていただくのは、負担になりますし、自宅で老犬がゴロンと寝転んでいて、ユーザーさんが足を躓かせたりしたら、危険です。なので、ユーザーさんのためにも、引退犬のためにも、協会に戻して、里親ボランティアさんや老犬ホームなどで世話をしてもらうんですね。聴導犬は、日本に導入されて約20年。介助犬は10年くらいですね。聴導犬の場合は、小型で、ユーザーさんが目も見えられますし、肢体にも障害をお持ちでないことから、老後もユーザーさんのお宅にいる子が、英国では90%以上を占めいます。介助犬も、中型から大型犬の老後の世話の面から、協会に帰るケースが大半ですが、小型介助犬でしたら、世話の面で楽なので、ユーザーさん宅で生涯を終えられる子もいます。でも、ユーザーさんの気持ちが第一なので、協会がいくすえを決めるわけではなく、盲導犬でも、介助犬でも、一生を同じユーザー宅で終えるケースもあります。

日本聴導犬協会の補助犬候補生は捨てられて保健所に保護された犬たちから、引き取って訓練しています。育成された補助犬は障害者の方に貸与しています。

たくさんの参加者の皆さんは、聴導犬・介助犬のユーザーさんと犬の素敵な関係を感じたことでしょう。もっともっとたくさんの人が補助犬に対する理解を深めて下されば良いですね。

今回のイベントは、企業が社会貢献の為に企業内向けに開催されたものですが、実際に実働犬、候補犬、デモ犬と多数の犬たちとユーザーさんが一同に介してデモンストレーションが出来ることは素晴らしいと思います。このような機会を作って下さる社会貢献を考える企業がもっともっと増えていくと良いですね。

今日のデモをしてくれた補助犬の皆さん!お疲れさま!!!とっても素敵な笑顔でした。
(2005/11/17)(LIVING WITH DOGS)

参考:社会福祉法人日本聴導犬協会
主催:住友商事(社会貢献)
        アサヒビール(文化社会貢献活動)

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