安全な犬連れ飛行機の旅を

安全な犬連れ飛行機の旅を

ここ数年、航空会社各社がペット連れの需要を促進するために様々なサービスを打ち出し愛犬と共に空の旅という選択肢が増えました。

しかし、この8月、犬が熱中症で亡くなったという悲しい報告が入りました。

このままでは飛行機を利用しない以前の状況に逆戻りです。せっかく広がった愛犬との空の旅なのにそんな状況になってしまったら悲しいですよね。

また、愛犬と共に移動手段を飛行機としている方もいらっしゃるでしょう。不安を持ったまま飛行機を利用するよりは、安全をしっかり確認し、飼い主の心構えも再確認して安心して利用したいものです。

1. 飼い主として出来ること

ある小型犬の飼い主さんから貴重な情報をいただきました。この方は沖縄に犬連れで何回も往復しています。ご夫妻は、V君の事故の後、10秒毎に温度・湿度を自動収集し、記録するUSBインターフェイス付きの温湿度計を購入し愛犬のクレートの窓の内側に装着してリアルタイムのデータを採りました。

8月29日JAL1922便 那覇 16:35発
この日は那覇から「JALペットとお出かけサービス」利用の10番目と言うことが判ります。ちなみにサービスでは、クレート利用が無料になる。5回利用したら1回無料になるなどの特典があります。利用料金が無料の時はこのチケットは発券されません。平日の那覇便で10件以上の利用者があると言うことです。

温度・湿度記録グラフ1 : 当日の計測結果




温度・湿度記録グラフ2 : フライト時間帯における犬の状況と計測結果

出発 : 今回は夏場の夕方、ちょっと曇りでしたので、気温はそれほど高温ではありません。しかし湿度の変化で外にいる間が判りました。
実際には11分間、外にいました。しかし機内に入ってからいくぶん湿度は下がりましたが、おそらくハッチが開いたままと思われます、気温は外気温と変わりません。5分後ハッチは閉じた模様、湿度は下がり始めます。離陸はその25分後でした。その間、温度は外気温と同じ31度でした。離陸後、エアコンが利き始めるまでそれから約10分かかりました。外気温と同じ状況にいた時間は、50分間です。

出発前に出来るだけ静かに水分補給も充分に行っていましたので、当初の30分くらいは問題ないと思います。那覇空港では、最低でも機内に搬入されてから空調が効くまでの20分間位は高温に耐えなければならない時間があると言うことが認識できました。

到着 : 着陸後、ハッチが開くまで11分。その間温度湿度共に大きな変化なし。3分後機外に搬出。7分後、建物内に。気温は夜になっているので大きな変化はなし。6分後受取。
到着してから約27分で受取をしています。


■読者の皆様にお願いです
そこで、愛犬と飛行機で旅行をしようと思う方に、是非、この温湿度計でデータを記録していただけないでしょうか?
今回のみのデータだけではなく、様々な路線、飛行場、季節、時間帯で集めたいと思います。

・温湿度計(USB 温度湿度 データロガー ELUSB-2)は、以下で購入できます。
株式会社 エムケー・サイエンティフィック

・もし、ご協力いただける場合は、温湿度計の貸出しも検討しています。
まず、どのくらいの要望があるかを調査致したく、
こちらのフォームからその旨をお知らせ下さい。

飼い主が出来る最低限の安全対策
1) 夏場の旅行は控える。(特に短頭、短足犬種は控える)
2) 出発30分前(出来る限り直前)にチェックインする。炎天下での待機時間を極力減らすためです。
3) 直前まで出来るだけ水分補給と40分前にトイレを済ましておく
4) コックピットに犬が乗っていることを連絡し、カーゴルームの温度調節をお願いする。
(機長が犬と暮らしていたら配慮してくれる可能性がある)
5) 到着後、即水分補給をする。
6) もしも異常が見られたら、すぐ獣医師に見せる。
(目的地の獣医事情を事前に調べておくことも必要でしょう)


2. 航空会社が安全対策として示して欲しい事項

1) 安全性についてのガイドラインの見直し
   夏場に短頭犬種、短足犬種を乗せることには疑問がある。たとえば、ユナイテッドエアラインでは夏場は乗せない  というポリシーをガイドラインに記載しています。

ユナイテッド航空では、皆様の愛犬の安全のため7月15日から9月30日までの期間は、下記の短頭犬種は、チェックイン・ラゲージ扱い、カーゴ(貨物)扱いともに受付いたしません。
来年は、この制限を6月1日から9月30日までといたします。ただし乗客と共にキャビン内でお客様と一緒に同行されるご愛犬についてはこの制限は適用されません。

Boston Terrier、Boxer、English/French Bulldog、King Charles Spaniel、Lhasa Apso、Pug、Shar-Pei、Shih Tzu

AVMA(アメリカ獣医師会)およびユナイテッド航空では、飛行における精神的なトラブルについては予期出来ない部分も多く、AVMAは短頭犬種は高温多湿天候時には、ストレスが悪化する恐れがありますので、飛行機での旅行をすべきではないと思われます。
したがって7月15日から9月30日までの期間は、短頭犬種は、預け荷物扱い・カーゴ扱いともに受付いたしません。2007年、来年以降の制限は6月1日から9月30日までといたします。

2) 各飛行場の担当者全員に、マニュアルを徹底してほしい。
3) チェックインから搭乗までの犬の様子をモニターで見れるような仕組み(実際に犬が積まれるカーゴルームを客室から遠隔で監視できるモニター設備を含む)を作ってほしい。
4) キャビンへの同乗の許可 (複数便ある航路での一部の便のみ数席可と出来ないものか料金は割高でも安全性を望む飼い主さんが多い為)
5) 安全性確認のためのユーザー見学会の実施

このような要望を今後、航空会社にしてみようと思いますが、そのためにも何例かのデーターを収集したいと思いますので、よろしくご協力をお願いします。

(2006/9/3)(LIVING WITH DOGS)

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