Page 22 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼野外からの病気、特にエキノコックス症から... いわき 03/8/12(火) 1:44 ┗Re:野外からの病気、特にエキノコックス症から... いちこ 03/8/12(火) 13:04 ┗地域によっては狂犬病の危険も いわき 03/8/23(土) 23:12 ┗Re:地域によっては狂犬病の危険も える〜! 03/8/24(日) 11:08 ┗Re:地域によっては狂犬病の危険も いわき 03/8/24(日) 17:21 ─────────────────────────────────────── ■題名 : 野外からの病気、特にエキノコックス症から... ■名前 : いわき ■日付 : 03/8/12(火) 1:44 ■Web : http://vpcserv.vetmed.hokudai.ac.jp/index.html -------------------------------------------------------------------------
はじめまして。皆さんの長いツリー・スレッド読ませていただきました。私は子供の頃(30年前)に犬を飼っていましたが、今はいません。ベテラン飼い主さんの皆さんに比べてマナーやしつけについてはほとんど知りません。ここではそれらとは別の点から意見を書かせていただきます。 私は北海道に住んでいますが、皆さんも御存じのとおり昨年12月末に、主に室内で飼われていた犬がエキノコックス成虫に感染しており、飼い主や家族への感染の可能性があった、というニュースがありました。幸い飼い主さん達は検査陰性でしたが、この病気は進行がゆっくりなので定期的な再検査が行われると思います。 読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news_i/20021227so15.htm 日本獣医師会 http://group.lin.go.jp/nichiju/mag/05603/06_6.htm エキノコックスの生態や病原性の細かい点は他のホームページを見ていただくこととして、肝心なのは、エキノコックス幼虫が寄生した野ネズミを食べたキタキツネに感染するだけではなく、同じように野ネズミを捕食した犬にも感染するという事です。普通の飼い犬が野ネズミなんか捕まえて食べるはずがないと思われるかも知れません。 (念のため補足しますと、ここで野ネズミと言うのはヤチネズミ、アカネズミ、ハタネズミなど森林や野原に棲むネズミのことで、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミなどの家ネズミとは区別します。家ネズミ類にはエキノコックスはほとんど寄生していません。) しかし、北海道の田舎へ行くと、多くの犬が夜間、ときには日中も放し飼いになっています。そういった犬の糞を調べると、たまに野ネズミの骨・歯・毛が出て来ます。また、札幌などの都市でも郊外には緑が多く、キツネや野ネズミは多数生息しています。こういった事から、都市周辺でも、もしもエキノコックス寄生野ネズミを犬が食べれば、犬の体内で成虫となり虫卵をばらまいて、今度は人間が危険に曝されます。 昨年12月末の感染犬の飼い主さんは、ときどき郊外の広場や河川敷で散歩(おそらく放していた?)させていたそうで、いつどこで野ネズミを捕食したかは特定できませんが、キツネや犬にはそれ以外の経路でのエキノコックス感染はありえませんから、食べたのは確実です。 前置きが長くなりましたが、こういった危険のある地域では、ノーリードでは管理が不十分で犬が感染してしまい、さらに飼い主さんへも知らないうちに感染するという事態が起こるのでは?というのが私の懸念です。「うちの子は呼べば戻るし、変な物拾って食べないから絶対大丈夫」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、調査では犬の約1%が感染またはその可能性がありました。少しでも不安があるなら、犬の行動をしっかり管理しないと、飼い主さん自身や家族、周囲の人の健康にも影響しかねない場合があることを考えていただきたいと思います。また、エキノコックスに限らず、自然の中から色々な病気(例えばダニ媒介性の病気)を拾って来ないためにも必要と思います。 「エキノコックスが関東地方に上陸」のニュースはこちらのHPでも取り上げられていますが(http://www.living-with-dogs.com/jp/living/ekino-j.html)、野生動物の調査によれば、まだ本州に定着したという証拠はありません。しかし、エキノコックス症について知識の少ない本州の方が犬と一緒に北海道へ来て、自然の中で楽しく遊ばせ、エキノコックスを一緒に連れて帰る、さらにその犬を本州の地元でも遊ばせて、エキノコックス虫卵がばら撒かれる、という事が何度もあれば、その土地への定着が起こらないとも限らないというのが現状です。 なお、エキノコックス成虫は条虫駆除薬で確実に駆虫できますので、排便された糞の殺卵処理をちゃんとすれば大丈夫です。あるHPでは「感染犬は安楽死しかない」などと書かれていましたが誤解です。また、高感度・高精度のELISA検査法も行なわれています。私も関わっているこちらのHPを参考にしていただければと思います。 北海道大学 獣医学研究科 寄生虫学教室 http://vpcserv.vetmed.hokudai.ac.jp/index.html |
▼いわきさんへ あらためてエキノコックスの勉強をしました。 ありがとうございました。 |
今日は、ある講演会で、ロシアなど外国船で船員と一緒にやって来る犬の話を聴きました。もちろん大半の船員は検疫制度も知っており、放す事はないのですが、ごく一部の不心得者の船員が犬を放したり、散歩させたりして、人が咬まれる事件がしばしば起こっているそうです。一方、日本周辺で最近、狂犬病発生の無いのは台湾だけで(北朝鮮はデータ無)、こうした外国船の犬が狂犬病をもたらし、それらの犬と日本の飼い犬が接触するという可能性が全く無いとは言い切れません。江戸時代や明治時代に日本でも大流行があったそうですが、始まりはやはり外国から連れて来られた犬だったようです。 東京や大阪など大都会にお住まいの方は、エキノコックスや狂犬病の感染の可能性はほとんど頭に無いのではないか、と思いますが、地方には地方の現状がある事を御理解ください。 (オフリードとは関係ありませんが、講演では、外国船員がペット動物を高く売れる日本で密売する可能性も指摘されていました。動物の由来には十分注意して欲しいものです。映画「アウトブレイク」でもペットのサルからウイルスが拡がりましたね。) |
▼いわきさんへ >今日は、ある講演会で、ロシアなど外国船で船員と一緒にやって来る犬の話を聴きました。もちろん大半の船員は検疫制度も知っており、放す事はないのですが、ごく一部の不心得者の船員が犬を放したり、散歩させたりして、人が咬まれる事件がしばしば起こっているそうです。 初めまして。横レスで申し訳ありません。 確か、以前北海道で狂犬病の抗体価調査を野犬で実施してると聞いた記憶があります。実施した理由は上記のようなできごとがあり、船から逃げた犬が野犬となっている可能性があるから、と言う事だったと思います。 その調査がどうなったか、もしもご存知でしたら差し支えのない程度で結構ですから教えてください。 日本ぐらい(ペットを含めて)国内での悪性伝染病の発生が低い国も少ない、と思うのです。だからこそ今は予防できるなら、それなりの手段を考えた方が良いと思うのです。 |
▼える〜!さんへ >確か、以前北海道で狂犬病の抗体価調査を野犬で実施してると聞いた記憶があります。実施した理由は上記のようなできごとがあり、船から逃げた犬が野犬となっている可能性があるから、と言う事だったと思います。 >その調査がどうなったか、もしもご存知でしたら差し支えのない程度で結構ですから教えてください。 上記の話は例えば次の記事ですね。元・道小動物獣医師会の先生の講演でしたが、調査結果については特に何もありませんでした。昨年3月からなので、まだ継続調査中かも知れません。ネット上ではそれらしい情報は見つかりませんでした。 狂犬病予防対策、上陸ロシア犬を監視(毎日新聞) http://www.med-apple.com/news/world/w2002.03/w03.20.02.html 講演では、 1) ロシアのウラジオストク周辺では、狂犬病が1999年には犬10頭・ネズミ1頭、2000年には犬7頭・猫1頭に発生。 2) ロシアの犬の狂犬病予防接種率は、飼育頭数の約25%。 ...というお話でした。ロシアの状況は次のページにもあります。 ロシア動物行政視察 http://www.i-p-c.co.jp/russian01.htm >日本ぐらい(ペットを含めて)国内での悪性伝染病の発生が低い国も少ない、と思うのです。だからこそ今は予防できるなら、それなりの手段を考えた方が良いと思うのです。 日本が本当に安全で清潔な国なのは良い事なのですが、侵入する病気に対する心構えが今一つと思います。SARSの際にもよく言われました。流行を防ぐためには、犬の狂犬病予防接種率は飼育頭数の70%は必要と言われますが、日本は実質的には50%以下ですから、万が一の時は危険でしょう。 |