オレゴンの放棄犬の運命

オレゴンの放棄犬の運命

本日2月6日付け地元紙The Oregoniansの生活面に、地元のシェルターの比較とそれぞれの特徴が載っていましたので報告します。

私達の住むオレゴン州ポートランド市はコロンビア川を挟んで、ワシントン州バンクーバー市と隣接しているため、ポートランド・バンクーバー地区として扱われることがよくあります。しかし州によって異なる法律があるアメリカでは、シェルターひとつとってみても、違いが明らかになります。ちなみにオレゴン州は消費税がなく、所得税があり、ワシントン州はその全く逆で消費税のみで所得税がありません。

下記はこの地区にある3つの主だったシェルターの2006年の実績の比較です。(猫の数も公表されていましたが、犬に関するデータのみを記載します)

1)Humane Society for Southwest Washington(ワシントン州)
入所犬数 4493匹
安楽死数 1231匹(27パーセント)
捨て犬・迷い犬、飼育放棄犬共に受け入れ、受け入れ拒絶はしない方針。シェルターの建物や換気その他の設備も古く、暗いイメージで犬や猫の鳴き声が止まない。約550万ドル(6億6000万円)で建て替えを企画しているがまだ募金が200万ドル足りず、取り掛かれない状態。

2)Oregon Humane Society(オレゴン州)
入所犬数 3954匹
安楽死数 57匹(1.4パーセント)
原則として捨て犬・迷い犬は受け入れない。つまり飼い主による飼育放棄犬の持ち込みのみ受け入れる。ただし他のシェルターとの連携での捨て犬・迷い犬の受け入れは可能。施設が満員状態になった場合には受け入れ制限あり。1993年に計画開始、2000年788万ドル(9億5000万円)プロジェクトである現在の新施設が完成。清潔で明るく楽しい雰囲気のシェルターには訪問者が絶えず、1100人ものボランティアと80人のスタッフが年間に持ち込まれる13000匹の動物(猫、その他の小動物を含む)の安楽死ゼロを目指している。

3)Multnomah County Animal Shelter(オレゴン州)
入所犬数 4600匹
安楽死数 1257匹(27パーセント)
原則として捨て犬・迷い犬に限って受け入れている。放棄犬の持ち込みケースにはOregon Humane Societyを紹介して対応。

2)と3)の合計(オレゴン州)
入所犬数 8554匹
安楽死数 1316匹(15パーセント)
両所を合わせると1)と同様に捨て犬・迷い犬、放棄犬共に受け入れることになり、1)との比較が可能になる。安楽死のパーセンテージが1)の27パーセントに対し、15パーセントと半分近くになっている。

私が興味深く感じたのは、オレゴン州では捨て犬・迷い犬と飼育放棄犬が別々のシェルターで保護され、アダプションに出されている点です。前者は放浪していたために社会性を身につけていなかったり、あるいは捨てられたりしてもとの飼い主が引き取りに来ないことから、充分なケアを受けていなかった犬達。過去の記録もない犬達。それに反して、後者は飼い主が直接持ち込むために、それぞれの犬の病歴や問題行動の記録も把握できているわけです。更に持ち込み料として1匹につき45ドルから100ドルの寄付をしなければなりません。Oregon Humane Societyの経営は政府からの補助なしで、全て寄付金とボランティアのみでまかなっているのです。

“セカンドチャンスプログラム”に基づき、里子としてふさわしいかを見極めるテストに失格しても、なるべく多くの命を救うために犬種ごとの多くのレスキュー団体との連携やフォスターファミリーの協力という受け皿があることが素晴らしいと思います。我が家のHollyもNoahもそのおかげで命を繋ぐことができました。

日本にもこのようなシステムが一日も早く確立することを願っています。
(2007/2/8)(MaxHolly&Noahのママ)

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