フォスターファミリー体験記 – BENI(7)
9月2日(金)、私はBeniをCatieとJustinの住むアパートに連れて行きました。念のため彼女の慣れ親しんだドッグベッド、フードボウル、ドッグフード、トリート、おもちゃ、そして忘れてはならない薬Prozac。二階のアパートの部屋に入るときBeniは案の定尻込みしたので、抱いて入り、居間に落ち着きました。玄関には2匹の猫ちゃんたちが出迎えてくれました。Beniが我が家で遊んでいたトリート探しのゲームなどを披露し、しばらくおしゃべりした後、私は一番心配なことを切り出しました。それは、CatieたちがBeniにリードをつけてトイレに連れ出せるかどうかということでした。彼らはBeniにとってはほぼ初対面です。果たして首輪をつかんでもBeniが攻撃的にならないだろうか、そしてアパートの部屋から抱いて出ることができるだろうか。。。
とりあえず3人でBeniを散歩に連れ出してみました。何人かの人にすれ違いましたが、私のほうに注意を向けさせながらLeave it!でうまく通り抜けることができました。思えば長い道のりでした。。。といってもBeniのAggressionをきちんと見てもらわないことには、そういうときの対処の仕方を教えられないので、わざわざ道端に座って話し込んでいるティーンネージャーたちに、「この仔があなたたちに向かって吠えるかもしれないけど、無視してね」と頼みながらすぐ横を歩きました。案の定Beniはその子たちに向かって吠えながら向かって行こうとしたので、「さっ、こっちに行こうね!」と足早に通りすぎました。Catieたちにはなるべく人通りの少ないところを散歩してもらうように頼み、後ろ髪を引かれる思いでBeniを残して帰宅しました。
それから私たちは毎日テキストメッセージでBeniの様子を聞いたり、アドバイスをしながら、Beniが新しい環境にどう馴染んでいくのかを不安と期待の入り混じった気持ちで過ごしました。初めの数日は彼女に早く慣れてもらうために、食事の半分は手渡しで食べさせてもらいました。そのうちに撫でても震えなくなり、自分のほうから近づいて寄り添ってくるようにもなったそうです。車に乗せて落ち着いてドライブもできるようになりました。
そしてとうとうCatieがお風呂に入れることまでできるようにもなったのです。いつの間にか3週間が経っていました。でも私としてはCatieとJustinが自信を持ってやっていけそうと自分達で確信できるまではいつまででも待つつもりでした。ところがある日Catieからの「いつになったらBeniをフォスターではなく、正式にアダプトすることを許してもらえますか?」というメッセージで、彼女達は私からの許可を待っていたことに気づきました!バンザーイ!Beniにやっと自分のうちが見つかったのです!
9月20日アダプションが成立し、Beniは晴れてCatieとJustinの仔になりました。そしてPennyという新しい名前ももらいました。なんだか嬉しいような、心にぽっかり穴があいてしまったような、不思議な気分でした。Beniはきっとまた戻されてしまうだろうと心のどこかで期待していたのでしょう。
Beniが引っ越していってから、2ヶ月が経ちました。時々Catieたちからアップデートが届きます。いい仔で隣のワシントン州までドライブできるようになったこと。家の中ではすっかりリラックスできるようになったこと。でもまだ散歩では他の犬や人間に攻撃的になってしまうので、プロのトレーナーに頼もうと思っていること。私が「プロのトレーナーは高いでしょ。私でできることならなんでも協力するけど」と言ったら、彼女の答えは「そう、高いのは分かってるけど、Pennyには充分その価値があるわ。だって私達Pennyをとっても愛しているから。」私はありがたくて涙が出ました。Catie、 Justin本当にありがとう。問題を抱えた仔でも、ちゃんと生きる価値も、愛される価値もあることを証明してくれて。。。
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