動物孤児院 (39)日本の殺処分の現状を広めよう
動物孤児院 (39)日本の殺処分の現状を広めよう
今日、次のようなメールを郷里の友人から受け取りました。本人の了解を得ましたので、そのメールをご紹介します。
今日は、知り合いが子犬を欲しいということでしたので、市の愛護センターに行きました。ミニチュアダックス4匹、子犬2匹、シュナウザー2匹、黒レトリバー1匹、ゴールデン1匹、中型柴雑種多数。相変わらずの現状です。泣くまいと決めていましたが、やはり駄目でした。
市の愛護センターにいるこの犬たちは県の管理センターにいる犬たちよりも、殺処分される可能性は低いのですが、それでも信じていた飼い主に裏切られた哀しみ、沢山の犬と檻の中にいる恐怖を考えるとつらくなります。
譲渡前の事前講習会では殺処分ビデオを見せられました。かなりきつい内容ですが、効果はあると思いました。
講習会後に犬の譲渡が始まって、子犬2匹とダックス1匹、中型犬1匹がもらわれていきました。知り合いが子犬希望でなかったら、残っている成犬を勧めるのですが、オスの子犬が希望なので、次に県の管理センターに行くと、またまたいるわ、いるわ、子犬の山。
生まれたての手のひらサイズの子犬が10匹くらい1〜2ヶ月位の子犬がまた10匹くらい
あと20匹以上の成犬。
今日明日にはこの犬たちはみんな殺処分されるかと思うとたまらないのですが、その中から1匹、苦渋の選択で保護してきました。
昨日の愛護センターの職員さんの話が印象的でした。
「・・・ガス室に送った後、死んでいるかどうか、聴診器で心音を聴きます。ある犬の心音を聴いていたら、まだトク、トク、トクと鳴っていて、その後、駆け足のように早くトクトクトクと鼓動が早くなって、止まりました。
ああ、この子は最後まで頑張って生きようとしたんだな・・。と涙が止まりませんでした。こういう仕事は慣れてはいけないと思いました。みなさんが今日、引き取られて、その犬をここに持ってきたら、僕が本当に怒ります。」
もう号泣。
もし、あの犬たちを全部救ったとしても、次の日にはまた檻の中は犬たちでいっぱいになるかと思うと、ため息です。日本がドイツのようになるのはいつの日なのでしょうか。
読み終わって、苦しくなりました。彼女が見た犬たちのために今、ドイツにいる私ができることは、「殺される時に、彼らができるだけ恐怖を感じませんように」「なるべく早く、死に至りますように」と祈ることしかないからです。
これは日本のある地方都市の、ほんのひとこま。氷山の一角です。日本全国で毎日毎日、繰り返されていることなのです。
職場や、学校で、次のような人に出会ったら、どうか彼らに、この事実を教えてあげてください。これを今読んでいるあなたは、動物を愛しているし、捨てたりしない人です。しかし、世の中には、平気でペットを見捨てる人や、売れ残りの犬を「殺処分」してもらう人がいるのです。「殺処分」という事実を知らない人がどんなに多いことでしょう。
●ペットショップで犬を買おうとしている人(売れ残った犬たちの多くはどうなっているのかという現実を教えてあげる。ペットショップで犬を買う人はそこまで考えていないのです。友人から来た上記のメールにあるダックスフントや、シュナウザーたちは、ペットショップから「殺処分」のために連れて来られたのです。)
●殺処分のことを聞いたことがない人(意外に多いのです!)
●血統書付きの犬を増やして売ればお金儲けになると思っている人
積極的に話題にすることによって、殺処分の現状が巷に知れ渡るのです。このパワーはあなどれないとお思いになりませんか?
お暇なときは私の住んでいる町にある動物ホームを訪れてくださいね!
http://www.tierheim-wiesbaden.de/start.htm
左をご覧ください。
HUNDEは犬。
KATZENは猫。
Notf(e)lle とあるのは、緊急に新しいファミリーを探している犬猫たちです。
(高齢、病気、動物ホームに長年いる、などの理由)。
動物管理センターの話。いつ聞いても、何を聞いても泣けます。
実際、ガス室のあと焼却されてできる灰は、産業廃棄物として業者が収集するのですが、その何個も並んだ麻袋を前に、去年「ドイツでの調査を絶対有意義なものにするぞ!」と決意したことを思い出しました。追加のパラグラフにもありましたが、動管センターで働く獣医師はものすごい葛藤の中で生きています。(動物を助けるために獣医になったのに、その命を奪うことにたずさわる、という矛盾・・・)
千穂さんのおっしゃるとおり、これからもっとこの現実を伝えていかねばならないと思います。研修の発表をした時、通常動物に触れ合う機会のない人たちが、たくさん、この現状を知る機会を得てくれたので、とても意義があったと思います。