ペットの高度医療

ペットの高度医療

最先端の動物医療の現状を毎日新聞が取材しています。
その中で、果たして、最先端医療がすべての犬に可能かというと、高度医療を施せる病院が少ないのが現状なんですね。

また、一方で、常日頃、愛犬には安全なフードや、添加物のない食品のみ食べさせており元気だった犬が、突然、おなか周りがふくらみ、飼い主がおかしいとはじめて感じ、病院での検査の結果、おなかの中に腫瘍らしき物があることが判明。
2日後に開腹手術、手の施しようがなく閉じ、その1週間後に、虹の橋を渡った犬がいました。
この子の場合、半年に一回の健康診断、腫瘍マーカーなどの検査をまめに行おうが、未然に癌を防ぐことは不可能だったでしょう。
病気が判明してたった9日間で逝ってしまいました。

直前まで元気に渓流を泳ぎ、ボールをジャンピング・キャッチしていた犬に、そんな病魔が迫っているとはどんな飼い主も予想できないのです。

犬の病気は、どんなに厚い治療を行っても助からないこともあるのです。

高度医療は、CTやMRIによる検査、放射線治療を行うのに、必ず麻酔が必用です。犬の体力が充分になければ、そのような高度医療も受けられません。

川崎市に民間施設「日本動物高度医療センター」が開設され、年内には、微細ながんをとらえる最新鋭のPET(陽電子放射断層撮影)装置も稼働し、世界で初めて動物での利用を始めるそうです。これはすごい進歩ですね。(2007/11/14)(LIVING WITH DOGS)


<ペット>進む高度医療 MRI、CT、人工心肺…

犬や猫などペット向け医療の高度化が進んでいる。CT(コンピューター断層撮影)装置やMRI(磁気共鳴画像化装置)を使った詳細な検査、人工心肺装置を用いた心臓手術、放射線治療など人間と変わらない内容だ。現場はどうなっているのか。

診察台の上で、下痢が止まらないというダックスフントが腹を見せて寝ている。獣医が超音波検査用の機器を当て、画像をチェック。「消化管は悪くないようですね」。処置室では、ゴールデンレトリバーが元気に尾を振った。その横にあるエックス線検査の画像の前では、別の獣医が腕組みをして、「おなかに大きな腫瘍(しゅよう)があるようです」。
日本獣医生命科学大動物医療センターには、毎日40〜50匹の動物がやって来る。院内には、内科、循環器科、腎臓科、腫瘍科、神経科……など人間の総合病院のような診療科名が掲げられている。“患者”の大半が開業医からの紹介。病気は食べ物の中毒のほか、がんや重度の心臓病などさまざまだ。「動物は言葉を話せないので、飼い主からじっくり聞くことが不可欠。初診の場合、30分以上かかることもある。でも正確な情報を得られれば不要な検査をしなくて済み、動物の負担も軽くなる」とH院長は話す。

ペットが長生きするようになる一方、がんや循環器などの重い病気を患うケースが増えた。同センターのCTやMRIによる検査や手術予定は1カ月先まで埋まっている。高度医療を提供できる大学などの施設も検査や治療を受けるのに数カ月待つこともあるという。
高度医療に携わる実力のある獣医師育成や全国的な診療レベルの底上げを目指し、今年6月、川崎市に民間施設「日本動物高度医療センター」が開設された。センター代表のY東京農工大教授は「従来の獣医学教育は基礎研究に偏り、臨床教育が不足していた。獣医向けに実践の場を提供し、最新の医療に対応できる人材を育てたい」と説明する。
受診には基本的に開業医の紹介状が必要だ。45人の獣医が多様な症例に向き合う。年内には、微細ながんをとらえる最新鋭のPET(陽電子放射断層撮影)装置も稼働し、世界で初めて動物での利用を始める予定だ。

動物の高度医療では高額の治療費も課題だ。日本獣医師会の調査などによると、麻酔料、薬剤料などを除いたCT検査やMRI検査の費用は各平均約3万円、心臓手術は平均約6万3000円。人工心肺装置を使うと材料費だけで約30万円、心臓ペースメーカーを埋め込むと約150万円かかるという。最近は、動物向け“医療保険”も増え、大手の「アニコム」(東京都新宿区)は加入頭数約29万頭に達する。

飼い主は動物にどこまで高度医療を施すべきか。日本愛玩動物協会のI通信教育事業担当課長は「検査や治療が余命の少ないペットに負担になる場合もある。『病気』だけをみるのではなく、ペットにとって一番幸せな時間を作ることを考えて選択してほしい」と話す。日本獣医生命科学大のH院長も「再生医療やクローン技術などさまざまな可能性は広がったが、命には限りがある。できるからといって、何をやってもいいわけではない」と指摘した。(2007/11/14)(毎日新聞記事より)

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