Barry Eatonの「聴覚障害犬のトレーニング」part2

 Barry Eatonの「聴覚障害犬のトレーニング」part2

社会化

犬を教育する場合もっとも大切なことは、犬に日常生活における様々な場面にどのように対応すべきかを習得させることです。犬は家庭の中だけでなく外の社会でも、老若男女を問わずあらゆる人間やそのほかの動物に慣れ、そしてそれらに対して正しい行動がとれるようになることが必要です。これはすべてのパピーにとって非常に重要なプロセスですが、おそらく聴覚障害を持つパピーであればさらに重要と言えるでしょう。様々な刺激やいろいろなタイプの人間にも慣れさせなければなりません。そうすることでパピーは“僕はちゃんと見たし、やってもみたし、本も読んだし、記念品のTシャツだってもらっちゃったよ”という自身満々の態度で日常生活をなんなくこなせるようになるのです。

人間との社会化のためには、パピーが生後3週間ぐらいになったら、抱き上げたり、やさしく触ることを始めるべきです。この週令でこのような軽度のストレスに慣れさせておくと、後に他のストレスにも対応しやすいようになります。人間との社会化の機会が与えられずにパピーが12週令まで育ってしまうと、将来の行動に弊害をもたらす可能性があります。またこれと同じくらい重要なのは他の犬に対しての社会化です。他の犬達に対しどのような行動をとればよいか、またどのように付き合うべきかを学ばねばなりません。それを怠るとそのパピーは大きくなってから他の犬を怖がるようになってしまうことがあります。

ですから、パピーの社会化を始める責任はブリーダーにあることになります。そしてパピーが新しい飼い主のところにやってきてからは、その飼い主によって社会化が引き継がれなければなりません。しかし新しい飼い主のところに来たころには、予防接種の効力が出来上がるまで外出禁止という“独房監禁”の期間がやってきます。だからといって社会化ができなくなるわけではありません。友達や親戚、近所に人たちなど子供も含め、家に来てもらい、パピーを紹介してください。髭を生やした男性、ユニフォームを着た人、杖や傘を持った人にも出会わせたり、普段とちょっと違うような状況を経験させるのもよいでしょう。

あるいはパピーを短いドライブに連れ出すのもいいでしょう。車に乗ることに慣れるだけでなく、自分の家の裏庭よりももっと広い世界を見せることができます。街中を抱いて歩けば、外の世界が見え、その匂いにも触れることができます。

動物診療所によっては、“パピーパーティー”を開いてくれるところもあり、これは飼い主たちにとって社会化のプロセスを続けていくための絶好の機会になります。パピーパーティーとは通常動物看護士が催すもので、予防接種過程のパピーたちが集まります。看護士がパピーの世話の仕方や快適な生活について説明する間、パピーたちは一緒に遊んだり、お互いの接触の機会が与えられます。後に予防接種がすべて終了してからパピートレーニングクラスへと進級することになります。パピークラスでは他のパピーや飼い主たちに気を取られながらも、パピーは社会化の続きを、そして飼い主のほうはトレーニングのテクニックを練習することになります。

グルーミングと手入れの仕方

大部分の飼い主はグルーミングが必要な時だけ手入れをするようですが、これでは犬がグルーミングやその道具に慣れ親しむためには、その頻度が不十分かもしれません。その程度だとブラシや飼い主の手を噛もうとしたり、床を這いずったり、落ち着かずにそわそわするかもしれません。結局飼い主と犬との戦いになってしまい、簡単にグルーミングを済ませる結果となり、通常犬側の勝利ということになります。聴覚障害犬には声を使って犬をコントロールするのは不可能だということをしっかり覚えておかなければなりません。ですから早いうちから手入れをされることに慣れさせるに越したことはないのです。こうすればブラッシングが本当に必要な時に、犬は問題なく受け入れてくれます。

ですからブラッシングが必要でなくても毎日ブラシをかけましょう。最初はほんの何秒かでもかまいませんからやさしく手入れし、終わったらトリーツや遊びのご褒美をあげることで、パピーはグルーミングをすることと、何かいいことが起きることを関連付けることになります。パピーのグルーミングは子供を含む家族全員がするようにします。ただし子供がする場合には親が見ているときのみにします。

遅かれ早かれ犬の診察が必要なときが必ずやってきます。検査しなければならないしこりができたり、足の間に草の種が挟まったりすることがあるからです。

トレーニングクラス

残念ながらすべてのドッグクラブが聴覚障害を持つパピーを受け入れてくれるわけではありません。私の考えでは悲しいかな、そこのトレーナー達のトレーニング技量が限られていることの現われかもしれません。犬が聴覚障害をもっているからといって、トレーニングクラスに入れずに、いろいろなアクティビティーにも参加できないという理由にはならないと思うのですが。

私が自分のクライアントにするアドバイスの一つとして、彼らが一対一のトレーニングを受けに来る場合でも、その犬をトレーニングクラスもに入れるように勧めています。私は以前私の生徒の一人を、彼女の飼い犬であるダルメシャンのパピーと一緒に理解のあるトレーニングクラスに送り込みました。なんと彼女はこのコースを、いままでのどんな犬でもできなかったような最高の成績を収めて終了することができたのです。その後更に上級のクラスに進みましたが、ここでも最高の成績で卒業しました。

聴覚障害を持つ犬を受け入れないクラブもある一方、受け入れてくれる良質のパピートレーニングクラスもたくさんあります。しかしクラスに入学する前にトレーニングがどのように行われているのか一度授業を見学することをお勧めします。もしも見学を受け入れてもらえない場合は、別のクラブに行くべきです。理想としては、12週から24週令のパピー専用のクラスを見つけるのが最適です。グループとしてできるアクティビティーと、一人一人の授業料のバランスを考えた場合、受け入れるパピーの数に制限があるはずです。誰でも制限なく入会可いう方針は、収拾が付かない騒ぎになってしまったり、次に何かするのに自分の順番を待つ時間が長くなってしまうという結果を招きます。トレーニングは犬にやさしく、かつ公平であり、小さなトリートやおもちゃをご褒美とする陽性強化の方法であるべきです。飼い主やインストラクターがチョークチェーンを使っているようなところには入ってはいけません。インストラクターと話をして、彼らの経験や資格、さらに聴覚障害のパピーに関して彼らがどのような助けを提供してくれるのかを質問してみましょう。

あなたのインストラクターが聴覚障害をもつパピーのトレーニングの経験をもっていない限り(ほとんどの人が持っていないでしょうが)、自分なりのやりかたでやるつもりでクラスに出席し、あなたのパピーになんらかの問題行動がある場合には、特にそれについてのインストラクターのアドバイスに耳を傾けるとよいでしょう。(2008/1/21)(Barry Eaton)

Barry Eaton’s WEB  

翻訳:MaxHolly&Noahのママ

 

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