動物孤児院 (42)マルタ島の犬保護情報
マルタ島の犬保護情報
毎週日曜の夕方6時15分から1時間にわたって、ペットのファミリー募集番組がある。その放送局WDR(西ドイツ放送)は、日本のNHKと同じくコマーシャルがない。NHKもこのような番組をレギュラーでやってくれたら、NHKのファンは確実に増えると思うのだが。
WDRにように、行き場のなくなった犬猫を紹介するほか、10分おきに3分ほどのニュースを流す。新しいファミリーが見つかったペットたちの幸せな暮らしぶりや、ペットの健康に関するヒントや情報、国外の動物ホームの紹介など。
先回は、地中海に浮かぶマルタ島にある犬のシェルターの紹介があった。隣はゴミ処理場だから、「百頭を超す犬たちがどんなに吠えてもだいじょうぶだよ」と経営者のマルタ人、フレディ・フェネシュさんは笑っていた。費用は主にドイツからの寄付だ。
「この犬小屋を見てください。金網がこわれて使えなかったのですけど、ドイツからの寄付金で新しいのに変えたので小屋が使えるようになったんです」と、ボランティアのマルタ人女性がうれしそうに小屋を見せる。以前は陽光が入らず、暗くてじめじめしていたが、屋根を修理して、小屋も新しくしたため、光が十分に入る快適な環境になったそうだ。
フェネシュさんは又、寄付金で購入した中古のバンで毎日街を走り、けがした犬、飼い主のわからない病犬を連れ帰る。野良犬は去勢避妊するが、野良として虐待されることなく生きていける環境であれば、あえてシェルターに留めておくということはしないで、再び同じ場所に放す。もちろん、水やえさを与える人がいることを確認した上だ。フェネシュさんは、カトリック教会のマリア像の足元で毎日新しい水とえさをやってくれる青年を、「彼のおかげだよ。ここの犬たちが生きていけるのは」と紹介した。
子犬ばかりの「保育園」もあって、野良犬が産んだ犬、捨てられていた子犬、ブリーダーのところで売れ残って殺される予定だった子犬たちを保護している。
「このかわいい子犬たちを見てください! 人間にこの犬たちを殺す権利があると思いますか?」とフェネシュさんは訴える。
「まあ、かわいそう…と言うのは簡単だ。誰でも言うことができる。しかしそれだけでは不十分だ。行動が伴わないと!」と、彼は最後にしめくくった。
病気の犬や、手術が必要な犬、避妊去勢はドイツから派遣された二人の獣医が定期的に訪れて治療、手術をする。彼らの給料はETN「ヨーロッパ動物・自然保護団体」から支給される。動物愛護の点で関心の薄い国々(スペインの離離島、ポルトガル、イタリア、クロアチア、ギリシャ、マルタ、そして東欧の国々)への援助を目的とした団体で、10万人以上の会員がいる。(会費は毎月5ユーロ)。南欧、東欧のお金に困っている動物ホームを援助したり、獣医を派遣したり、避妊去勢の援助、キャンペーンの手伝いもする。日本にも来てください、と要請したらどういう返事が返ってくるだろうか…。(あれれ、日本はお金持ちの国ではなかったですか?と言われるかも)