フォスターファミリー体験記 – Ruby(1)
「フォスターファミリー」をやってみようよ!
保護犬のリトレーニングのための一時預かりというボランティアは日本でもずいぶん普及してきました。しかし、まだまだ捨てられる犬は多く、殺処分される犬もいます。一時預かりボランティアが増えれば、救える命も増えます。
愛護団体に保護された犬も、一時預かりの家庭で温かい愛情に包まれることで凍った心もすこしづつほぐれていきます。正式に飼い主さんが決まるまで、家庭犬としてのリトレーニングをしていたら、より里親さんに出会える可能性は高くなります。是非、皆さんも一時預かりのボランティアをしてみませんか?1頭の幸せから、日本の動物愛護運動を進めていきましょう。
さて、シェルターからHollyとNoahを迎えたママが更なる試みを発信しました。
フォスターファミリーに登録し、早速、一時預かりのRubyがやってきました。ママのお気に入りの牧羊犬オーストラリアン・キャトルドッグです。
まだ若い犬なのに出産直後の雌犬です。これから数回に渡って、Rubyの社会化の様子、同居犬達とのコミュニケーション、オレゴンの里親募集のシステムなど、Rubyが正式に里親さんに出会うまでを報告をして下さるそうです。
ママの報告を読んで、日本でフォスターファミリーになっても良いと思って下されば幸いです。日本中の良識ある犬の飼い主さんがフォスターファミリーになって下さったら生き残れる犬が増えて行くでしょう。(2008/2/11)(LIVING WITH DOGS)
フォスターファミリー体験記 – Ruby(1)
2004年8月にHollyを、そして2006年11月にNoahをそれぞれボーダーコリーのフォスターファミリーからアダプトした経験から、自分もいつかそんなふうに一時預かりをしてみたいなと考えていました。HollyやNoahの例で、シェルターから直接ではなく一旦フォスターファミリーの家で他の犬や家族達と過ごすことにより家庭犬としてふさわしい犬に育て直してくれるフォスターファミリーの影響力の大きさを私は痛感していましたから。
そこでちょうど一週間前、地元のペットショップ(もちろん生体展示販売はなく、毎週末アダプションが行われているところ)にボランティアとフォスターファミリーの申込書を提出してきたのです。でもどうせそうすぐには返事は来ないだろうと思っていました。
ところがその機会は以外にも早くやってきました。昨日2008年2月9日(土)OFOSA(Oregon Friends of Shelter Animals)から初めての一時預かり犬としてRubyが我が家にやってきたのです。
昨日は珍しく青空の見える春を感じさせる日でした。どろどろの芝生でボール投げを楽しんだNoahがどろだらけになってしまったので、この際だからとHollyとNoahをお風呂で洗い終わったところで電話が鳴りました。OFOSAのSherlyからでした。フォスターファミリーを探している犬が3匹いると言うのです。2匹はコッカースパニエルの1歳と4歳。もう一匹はレッドヒーラーの9ヶ月の仔でした。私はコッカースパニエルよりはレッドヒーラーのほうが慣れているのでそちらが希望であることと、Noahが大きな犬には怯えて仲良くできない可能性があるので事前に会わせて様子をみたいことを伝え、午後二時にHollyとNoahを連れてOFOSAの会長の自宅を訪ねました。Rubyはレッドヒーラーのまだ9ヶ月ぐらいの雌犬でしたが、6週間前にパピーを出産したそうで、乳房がまだ垂れていて年齢を知った私にはなんとも不釣合いな感じに見えました。10日前から授乳を止めて、パピーたちは別のフォスターファミリーのところにいるそうです。あと10日ほどしたらRubyに避妊手術を施し、正式にアダプションに出すことになっているそうです。下記のリンクでRubyの写真と説明が見られます。
まだ自分自身の身体も充分に成長していない頃に身ごもってしまったRuby。何も分からないまま7匹のラブラドールに似たパピーを出産し、10日前にパピーたちから離れてOFOSAの会長の家で過ごしていたそうです。一番心配していたのがNoahとの相性でしたが、Rubyはとても服従的な性格なので、NoahとHollyとRubyをガレージを改造した犬猫の用具・フード倉庫兼処置室で(会長の奥さんは看護婦なので犬猫の簡単な怪我や薬などは彼女が処置しています)オフリードでしばらく様子をみましたが、NoahはRubyに対して歯を見せて威嚇するようなことは一度もありませんでした。30分ほど犬達を遊ばせ、書類に署名しRubyを車に載せて帰宅しました。
Rubyはドライブが苦手な様子で車の中ではオロオロと落ち着きませんでした。後部座席から運転席の私の膝の上に乗ろうと大変でした。家に着いて庭に放すと3匹は走り回り、RubyはNoahとHollyの日課のレスリングにもどうにか割り込もうとしていました。慣れるにつれてパピーらしさが出てきて、手を使ってNoahに遊ぼうと飛びついて催促します。Noahはまだ少し緊張気味で、尻尾を振っていたかと思うと、時々尻尾が直角に上がったりもします。それでも口を開けて噛むマネをしながら少し遊べるようになったのは大きな収穫でした。
私ひとりで3匹一緒の散歩は無理なので、まずはHollyとRubyをいつものBike Path (遊歩道) に連れ出しました。Hollyは最近ではリードを弛ませて上手に歩いてくれます。Rubyも初めての散歩にしては申し分のない歩きかたで、私は嬉しくて鼻歌まじりで2匹を連れて歩きました。ところが道路に差し掛かったところで、高校生ぐらいの男の子がスケートボードをやっていて、その音を聞くやRubyが急に怖気づいて今来た道をリードをグイグイ引っ張りながら帰ろうとしました。私は無理強いしてこの散歩コースが嫌いになってしまうより、今日のところはUターンしたほうがよいと思い戻り始めると、今度はHollyが怪訝な顔で私の顔を見上げていました。Hollyは自転車やスケートボードも怖がりませんが、NoahはRubyよりももっとひどい反応をします。他にもRubyの怖いものは、車です。たぶんいままでの彼女の9ヶ月の犬生であんまり外の世界の物音に慣れる機会がなかったのでしょう。
夕ご飯は、今は亡きMaxのフードボウルを出してきて久々に3匹分の用意をしました。RubyもHollyとNoahにつられて一粒残さず食べてくれました。そして私達の夕食の間は、離れたところで伏せをして待っていられたのには感心しました。いつもちょっと控えめなRubyです。
さて夜はいつものようにHollyとNoahと一緒にゲームを始めましたが、RubyはまだSit(お座り)も習っていないようです。Rubyにお座りを教える間Hollyは“もういい加減にして早くトリートをちょうだいよ!”とかなりじれったそうです。思えばNoahもうちに来た時はお座りしかできなかったのに、よくここまで来たものです。Rubyだってうちで一時預かりをしている間に一通りのコマンドは教えたいと思っています。
実はRubyは昨日2回今朝1回うちの中でおもらしをしてしまいました。たぶん初めての家で、まして老犬Maxがあっちこっちでおもらしをした形跡があったからなのかもしれません。でも庭に出して、“Go shishi(おしっこしてごらん)”というとちゃんとしてきました!明日からはきっと大丈夫よね、Ruby?
昨夜はユーティリティールームのMaxの寝場所だったところにMaxの布団を敷いて、3匹朝までぐっすり寝てくれました。しばらく私が3匹を撫でてあげていたのですが、そのときでさえもHollyがMaxの場所に、NoahがHollyのベッドに寝ていたので、結局誰がどこで寝たのかは不明です。
さて、今日は2日目なので3匹はずいぶん慣れてきました。庭ではRubyがキャトルドッグ(牧畜犬)の習性を見せてすごい勢いで走るNoahをHerd(群を集めるように追いかける)しています。ブルーヒーラーのほうがボーダーコリーよりもその習性は強いのかもしれません。部屋の中では昨日のぎこちなさが大分薄れ、HollyとNoahの壮絶なレスリングにRubyが入り込んだり、NoahとRubyが口を使ってガウガウやるのを安心して見ていられるようになりました。今朝方ボール取り遊びをしているときに、私が1回間違って2匹の丁度間に投げてしまったときに、Noahが初めて歯を出してRubyをSnapしました。私は一声“Hey (こら?)”と怒ったら、Noahはすぐさま私のところに飛んできて、“やっちゃった!ママごめんなさい”の撫でて撫でてのしぐさで謝りました。でもこの1回のけんかで2匹の間の関係がはっきりしたと思います。犬は人間が思うよりずっと賢いと思っています。Rubyはそれ以来Noahに一目置いているようです。
今回私が一時預かりに踏み切ったのは、はじめに書いたように不幸な犬にセカンドチャンスを与える手助けをしたいということだけではありません。正直に言えばもっと自己中心的なメリットも考えての決断です。
まずは、Noahにとってよい経験だと思うから。Noahはおそらく他の犬との社会化が大切な時期に充分な経験をせずに育ってしまったのだと思います。ありがたいことに人間に対してはとても従順で甘えん坊の性格に育ってくれていました。でも他の犬が苦手で、特に大きな犬だと怖がって攻撃的になってしまうので、Rubyのような犬とたくさん遊ばせることでだんだんに他の犬との付き合い方を学んで欲しいと思ったのです。
次に、私自身犬の行動や犬同士の関係、また犬と飼い主の関係などにとても興味を持っているので、他の犬を知るよい機会になると思いました。Rubyのように苦手なものがある場合にはどうやってそれを乗り越えさせるか、また犬のトレーニングに関しても実践的な練習になると期待したからです。
初めてのフォスターファミリーを経験するにあたり自分に言い聞かせていることがあります。それは、“この仔とは、一時的な関係に留めること。本当の飼い主さんを見つけてあげること。そのためには、私が手放せないようになってはいけないこと。”
まだうちに来て30時間と少ししか経っていないけれど、別れる日のことを思うともう涙が溢れてしまいます。遊び疲れて足元で安らかな寝息を立てているRuby。いろんなことがあったけどまだたったの9ヶ月しか生きていないRuby。これからはきっときっと幸せになろうね!(2008/2/11)(Holly&Noahのママ)