殺処分減に各自治体が数値目標

殺処分減に各自治体が数値目標

東京都のハルスプランは日本の動物愛護を一歩進めましたが、各県の自治体も徐々にですが殺処分数を減らす目標を立てています。
東京の都心では、野良犬はいなくなりました。しかし河川敷や、郊外ではいまだに捨て犬があります。都内のセンターに収容されるのは不要として持ち込まれた犬や猫が大部分です。
産経新聞に日本の動物愛護の進捗状況を示す記事がありました。殺処分0の日が一日でも早く来ることを願って止みません。(2008/2/13)(LIVING WITH DOGS)


致死処分減に本腰 自治体が数値目標 動物愛護(青森県)

全国の都道府県が新年度から、動物愛護行政に本腰を入れる。10年後の犬・猫の引き取り数を半減するとともに、致死処分も減少させる。各自治体の「動物愛護管理推進計画」の中身をみると、致死処分数減少の取り組みには、それぞれ違いがあるようだが、飼い主の意識の変化も求められている。

青森県動物愛護センターは平成18年度、計1809匹の犬と猫を引き取り、捕獲・収容されたものを含め計3348匹を致死処分した。

処分が決まった犬たちはその日がくると、ケージから出され狭い空間に追いやられる。職員がスイッチを押すと、密閉された室内に二酸化炭素が注入される。30秒もすると、口の周りを舌でペロペロとなめ、不安を示す行動をとるという。1分後には、背の小さい犬から順に瞳孔を開き、バタッと倒れる。「できればみんな生かしてあげたい…」。職員はこう話す。

ごく一部の動物は新しい飼い主や元の飼い主に譲渡・返還され、命拾いする。
犬の場合、人気の高い(1)子犬 (2)純血種の小型犬 (3)中型犬 (4)大型犬−の順に、上位約20頭が選ばれる。また、特に人なつっこい動物は訓練を受けた後、学校や社会福祉施設で子供や高齢者を癒す役目の「スタッフ犬・猫」に転身する。

15年度から独自に取り組んできた東京都は17年度当時、犬・猫致死処分数を14年度に比べ、41.7%減らした。
今年度から新たに実施している推進計画では、10年後の致死処分数55%減、犬の返還・譲渡率85%以上、猫の返還・譲渡率10%以上−を目指す。
都環境衛生課は「国の指針通り引き取り数を半減できれば、処分数も半減する。譲渡の拡大分を合わせれば、致死処分数は減らせる」としている。

具体的には、(1)終末医療など飼い主の責任の徹底  (2)野良猫の避妊去勢手術を行うボランティアを支援する市区町村への補助金  (3)譲渡への協力団体を増やす (4)けがをした動物なども譲渡対象とする−などに取り組んでいる。

協力者の負担が増えそうだが、同課は「純血種あるいは雑種が欲しいなど、団体ごとの希望に合わせて譲渡先を振り分ける」としている。

宮城県は致死処分数について、数値目標こそ挙げていないが「引き取りそのものを半減すれば、処分数も減る」としている。30%減を検討中の埼玉県は「これがぎりぎり可能な数字」と話す。

県民から意見を募集中の青森県の計画案は、10年後の致死処分数を犬30%減、猫40%減としている。

県環境衛生課によると、狂犬病予防法に基づき捕獲した犬や、ケガで収容した猫は引き取り数には含まれないことから、「可能な範囲として設定した」という。

同課は「この目標は達成して終わりではない」として、5年後には達成状況を確認し、計画の見直しを行うことにしている。
政府は来年度地方交付税に総額3億5000万円の「動物愛護管理推進費」を盛り込むことを決めた。引き取った犬や猫の餌やワクチン代に充て、譲渡拡大につなげるのが狙いだ。

しかし、現場が抱える問題は餌代よりも、施設のスペースが限られることと、譲渡成立までの職員への負担が大きすぎることだという。青森県動物愛護センターのFさんは「譲渡より先に、入ってくる数を減らす“蛇口を締める作業”をしないといけない。不幸な命をなくすには1人1人の自覚が大切。地道な活動を続けるしかない」と話す。

動物を飼うことの責任について考えてもらうため、同センターは昨年、処分施設の見学会を開いた。今後、その回数を増やす方針だ。
空前のペットブームが続く中、人間の都合で命を奪われる動物もいる。厳しい現実から、目をそらしてはいけない。

■動物愛護管理基本指針 改正動物愛護法(平成18年6月1日施行)に基づき、環境省中央環境審議会が平成18年10月にまとめた。不妊去勢措置や飼養希望者への譲渡を進め、29年度末までの10年間で、都道府県や政令指定都市での犬・猫の引き取り数を半減することが明記された。このほかマイクロチップリーダーなど個体認識技術の普及、災害時の動物の救護体制の整備などが盛り込まれた。都道府県は指針を受け、10年間にわたる「動物愛護管理推進計画」を策定し、今年4月から具体的対策に乗り出す。(2008/2/13)(産経新聞記事より) 

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