フォスターファミリー体験記 – Licorice(4)

Licorice(4)

Licoが我が家にやってきて10日経ちました。
16年ぶりのパピーの出現に、私も主人もパピーってこんなに大変だったっけ?と初めは少し困惑しましたが、HollyとNoahという2匹のお抱えベビーシッターのおかげでLicoはあれあれという間にすっかり落ち着きました。もちろんパピーですから多少のいたずらと失敗はありますけれど。

下痢と吐き気が治まってからは食欲も出てきて、好き嫌いもなくなりました。HollyとNoahに負けじと食べかたも大分早くなりました。

飛びつきもほとんどしなくなりました。手を噛むことも直りました。たまにじゃれて噛んでもOuch!というと止めます。代わりに骨やKongをあげています。また以前はLicoの手足をタオルで拭いたり、ブラシをかけようとすると、タオルやブラシに噛み付いて遊ぼうとしていましたが、今ではちゃんとおとなしく拭かせてくれます。

ベッドやソファーには招かれた時しか乗りません。もともとフローリングやカーペットのほうが好きなようです。これはシェルターでの暮らしが長かったせいかもしれません。

シェルターと言えば、オシッコをフローリングの床やカーペットでしてしまうのもそのせいだと思います。シェルターの檻の中ではオシッコやウンチもその中でせざるをえなかったのでしょう。でもこの2-3日は一度も失敗をしていません。庭に出して一緒に芝生のところまで歩いて行き、“Go shishi”  というとちゃんとしてくれます。本当にいい仔で助かっています。

うちに来てから、Sit (90%)とDown(これは50%)とStay (これは私が後ずさりすれば80%、でも後ろを向いて歩き出すと30%しかできませんが)ができるようになりました。また、おもちゃを目の前において、“Leave it”で待たせて、“Take it”で取らせ、“Give it to me”で私にくれるように訓練しました。

さて今朝は雨が降ったので庭がドロドロでした。朝ごはんの後NoahとLicoは外で追いかけっこと取っ組み合いをやったおかげで2匹とも見事に泥だらけになってしまいました。今日はPetcoの里親募集会にLicoを連れていかなければなりません。こんな姿では付く貰い手も付かなくなってしまうと思い、急いでお風呂に入れました。初めてのお風呂もさほど手こずることもなくいい仔で洗わせてくれました。こうやって世話をすればするほど手放したくなくなってしまうのも困りものです。

そして12時から4時までLicoと一緒にPetcoで過ごしました。本気でペットを探しに来る人もいれば、かわいいパピーたちをただ見に来る人たちもいました。今日は私が2週間前に一時預かりをしたあのRubyのパピー7匹のうち6匹がサークルに入れられていました。Rubyがわりと小さめなのでこのパピーたちも30ポンドぐらいにしかならないと思います。やはりパピーは人気が高く、今日は6匹のうちの3匹がもらわれていきました。パピーの引き取り料は250ドルです。この金額を高いという人もいれば、ペットショップに比べて安いという人もいました。でも私はこう説明しました。「この金額はこの仔の価格ではないのです。こうして集めたお金でまた新しい仔たちがシェルターから救い出され新しい飼い主を見つけることができたり、避妊や去勢手術の費用をまかなったりできるのです。」と。命を買うというよりは、命を救うための手助けをすると考えれば決して高い金額ではないと私は思います。

LicoはPetcoでの4時間、本当にいい仔でした。HollyやNoahでも今日のLicoにはかなわなかったと思います。ケージやサークルもありましたが、私はLicoをリードで繋いでほとんど椅子に座っていました。Licoは人間にも犬にもフレンドリーで要求の少ない仔です。Hollyだったらとっくに飽きて吠えたり、大きな男性が近づいてきたら吠えていたと思います。Noahだったら通りがかりの犬に怯えて吠えていたことでしょう。Licoは手のかからない申し分のないパピーでした。正直なところ、うちにずっとおいておきたいくらいなのです。でも今朝お風呂に入れる前に体重を計ったら、40ポンドもありました。6-7ヶ月でこの大きさですから成犬になったらおそらく60ポンドぐらいになると思います。これからますます歳をとる私達にとっては、ちょっと手に余る大きさです。

途中で何回か外にも連れ出しました。外の芝生を歩いていると、隣のStarbucksから年配の男性が3人出てきて、Licoを見つけるや近づいてきてその中の一人が飼っていた犬にとてもよく似ていると言いました。その男性はお財布の中から昨年安楽死をさせたという犬の写真を取り出して、しみじみ「いい犬だったよ。辛かった。」と言いました。3人でLicoをひとしきり褒めて撫でてくれました。一人が食べかけのサンドイッチの最後の一口をLicoにくれました。皆こうして、人間よりも短い生涯を終えた犬達をいつまでも忘れないのですね。

さて、Licoは今日は貰い手がつきませんでしたが、私は沢山の人たちと話をしました。その中で4組Licoに興味をもってくれた人たちがいました。日系人の女性がLicoを見て、「私の友達が飼っていたサミーにそっくりだわ。昨年死んでしまったんだけど。彼女が見たらきっと欲しくなると思うわ。」と言って、Marieという友達を呼んできました。Marieは携帯電話の中のサミーの写真を見せてくれました。ブラックラブの美男子です。4匹飼っていたのですが、サミーが死んでその数週間後に仲良しだったシーズーが後を追うように死んでしまったそうで、今は2匹だけになってしまったそうです。

また別の人たちは、今飼っている犬の遊び相手を探していて、Licoなら丁度良さそうだと言っていましたが、250ドルはちょっと高すぎると言いました。郊外に1エーカーの庭があるそうなのでいいかなとは思いましたが、私はあんまり気乗りがしませんでした。

それから日本人の30歳代ぐらいの男性が、さきほど奥さんと6歳の子供がさっきLicoのことを見て気に入ったらしく話を聞きにきました。私はLicoが今はおとなしくしているけれど、やっぱりパピーなので子供に飛びついたり追いかけたりしてしまうことがあること、一人ぼっちの留守番では退屈していたずらをすることがあるかもしれないこと、特にこの犬種は身体も頭も充分な運動や刺激を必要とすることなどを説明して、毎週末ここでアダプションが行われるので何度か足を運んで本当に自分達に合う犬を探したほうがいいと提案しました。正直Licoにまた同じ目に合わせたくなかったのです。

もう一組は、里親としてとっても可能性のあるケースです。25歳前後と思われる姉妹らしき二人がやってきて、そのうち一人は獣医のアシスタントをしているそうで仕事帰りでユニフォームを着ていました。お父さんが最近ブラックラブを病気で亡くしたこと、今飼っている4歳の犬もシェルター出身でその遊び相手を探していること、パピーからトイレトレーニングなどをするのは大変だからある程度トレーニングのできている犬が希望なこと、お父さんはSalemの先の、ここから1時間半ほど離れた田舎に広い庭(もちろん塀で囲まれた)のある家に住んでいること、家族皆犬と一緒に生活してきてその扱いには慣れていることなどを話してくれました。二人の女性はLicoを今からでも連れて帰りたいほど気に入ってくれて、「お父さんはきっときっと気に入るはず」と太鼓判を押しています。早速お父さんに電話をして「とにかくいい仔なのよ。すっごくかわいくて、トイレトレーニングも90%できているとフォスターマザー(私のこと)が言ってるし、お座りやお手(これは教えてないけどあえて訂正はしなかった)もできるし、他の犬とも仲良く遊べるとフォスターマザー(また私のこと)が言っているし。。。。」とLicoのことをべた褒めで、結局明日の12時にお父さんを連れてくるということになりました。私はこの人達のお父さんならかなりの犬好きで、そんなに広い庭でもう一匹のとてもフレンドリーな大型犬(なんとうちと同じMaxという名前)との2頭飼いならLicoもきっと幸せになれるという気がしています。明日は本当にもらわれて行ってしまうのかと思うと足元で疲れきって眠っているLicoを抱きしめたくなってしまいます。今度こそ泣かずにLicoを送り出さなければ。(2008/3/4)(Holly&Noahのママ)

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