動物孤児院 (45)ドイツの動物ホームはNPO運営
ドイツの動物ホームはNPO運営
*ドイツに800以上もある動物保護施設(いわゆるペットたちを収容するホーム)は、どこが運営しているのでしょうか?
● 犬猫の保護は行政でなく、VEREIN「協会」が行うのです。
(VEREINはフェラインと発音)。
日本のNPOに相当する個人の団体です。ドイツでいうところの「協会」を知りたいかたは次のサイトでご覧ください。
「ドイツの代表的なNPOであるVEREIN「協会」とは何か」
という、日本政策投資銀行フランクフルト駐在員事務所がまとめた文書です。全部で37頁です。
ドイツの「協会」は、同じ目的を持った人たちが集まって作る団体です。
犬猫を保護して世話する人たちも当然、犬猫を幸せにしたいと願っている人たちだけです。(ドイツの大きな保護施設では犬猫だけでなく、モルモット、うさぎ、ねずみ、馬、ロバ、鳥も保護して、新しい飼い主を探します。)
* 収容施設に、具体的な基準があるのでしょうか?
●新しい飼い主を探すための犬猫保護施設の経営者やブリーダーは自分の判断で犬を飼うことはできません。法律で具体的に詳細(飼い方、スペースなど)が決められています。
たとえば、こんなふうに:
○ 犬が一匹だけ隔離されている場合、世話人は、毎日、何度もその犬と長時間、接触しなければならない。毎日、少なくとも2回、散歩に連れ出さなければならない。(毎日、最低1時間)。
○ 社会性を持たせるために、基本的に犬は仲間と一緒に収容する。世話人は犬たちと毎日、接触しなければならない。職業として犬を繁殖している人は、10頭ごとに1人、専門知識を有する者を付けなければならない。
○ 母犬と子犬とのコンタクトは保障されなければならない。6週間未満の子犬を母犬から引き離してはならない。
○ 檻(犬小屋)に収容する場合に、保障されなければならない最低限のスペース
1頭につき:
犬の大きさ 50センチ以下 6平方メートルか、それ以上
50から65センチ 8平方メートルか、それ以上
それ以上 10平方メートルか、それ以上
追加として;
子犬のいる母犬は、3平方メートル追加。
ここには簡単に書きましたが、実際はもっと細かく記されています。
実施しなければ法律違反です。
行政から検査員が来てチェックします。抜き打ち検査もあります。
5月某日:一時帰国していた私は、某市で個人が経営している犬猫収容施設を訪れました。静かな住宅地の一角にその「ホーム」はありました。外観は普通の家で外からはわかりませんでしたが、中には檻がぎっしりと並んでいて、強烈な悪臭が漂っていました。1メートル弱の檻に入れられた小型犬はヒステリックに吠え続け、見るも哀れ。ストレスがかなり溜まっているようでした。ドイツだったら、即、犬猫没収です。これでも経営者は、捨てられた犬猫たちをかわいそうに思って保護しているのですが。知り合いの愛護家にそのことを話すと、「個人でやっているところって、その程度のところが多い」と言われ、またまたショックを受けました。犬猫を収容する施設も行政が基準を決め、法律化して監督しないかぎり、不潔で狭い檻に閉じ込められる犬猫は減らないと思います。