日本の動物愛護と世界の動物愛護

日本の動物愛護と世界の動物愛護

9月20日から動物愛護週間ということで地域で様々な催し物が開かれます。

そこで、日本の動物愛護の現状をちょっと振り返って考えてみましょう。

日本の動物愛護は10年前と比較するとかなり進化しました。犬と暮らす人たちの意識が高くなったことが大きな要因だと思います。

日本で動物愛護運動がもっとも進んでいるのは東京です。愛護センターにいる犬猫は大部分が持ち込まれた不要犬猫です、東京には野良犬はほんの僅かしかいません。
そして譲渡される犬も増え、年々殺処分数は減少しています。しかし、日本全体で見るとやはり捕獲された野良犬、持ち込まれる不要犬猫の殺処分は年間30万頭以上という状況です。

そして、来年から待望の、行政が運営する殺処分しないリフォーミングを目標とした施設が2017年までに90の施設が全国に作られます。

アメリカは動物愛護が進んでいるかと言うと、全米が足並みを揃えて進んでいるわけではありません。各州によって動物愛護法は異なります。従ってペットショップで生体を売っている州もあれば、いわゆる悪徳ブリーダーもあり、未だにパピーミルと言われる場所も残っています。そして犬余り状況から大量の殺処分もあります。また飼い主のレベルも日本と同じように、素晴らしい飼い主もいれば、最悪の飼い主もいます。

アメリカだけではなく動物愛護の進んだ英国やドイツでさえも良い飼い主、悪い飼い主がいると言うことでしょう。

1年前、LIVING WITH DOGSが取材した、オレゴン州のポートランドは、おそらく全米でも最も動物愛護の進んだ州でしょう。オレゴン・ヒューメイン・ソサエティーは、飼い主が飼いきれなくなった犬や猫を持ち込むシェルターです。

以前、テキサス州で猫が209匹と増えすぎてしまい、周辺からの苦情で愛護団体が引き取ったという記事がありました。日本の多頭飼育現場とまったく同じです。

日本は良きに悪しきにつけアメリカをまねてきました。良きにはアメリカの犬との暮らし方、悪しきには過剰なペット・ビジネスや繁殖ビジネスです。近年では、日本のドッグ・ビジネスの方が悪徳度を増していた時期もあり、レンタルドッグ等という非常識なビジネスは日本からアメリカに渡ったビジネスでした。さすがに犬のテーマパークは欧米では受け入れられませんでしたが。

そして動物愛護の進化した英国やドイツも、かつては動物虐待などの事実があったからこそ、動物に優しい国へと進化をしてきたのです。

日本の動物愛護はもちろんまだまだ進化の途中です。

20年前から殺処分数は、犬に関しては確実に減っていますが、猫は残念ながら横這い状態です。犬の飼い主のレベルアップが進み、すこしづつ捨てない飼い主が増えていることは事実です。

しかし、殺処分の数が減っているから良しと、甘んじてはならないのです。

安易に購入できるような日本の流通の仕組みがある限り、犬は過剰供給状態を続けています。売れ残った犬、障害を持つ犬は殺処分されていることは疑いようのない事実でしょう。

需要と供給のバランスという言葉は、犬を欲しいと思う人の数と、犬が生まれる数です。
ペットショップ等の生体展示販売やインターネットでの通信販売が、安易な飼い主を増やす温床でしょう。個人の自家繁殖だけで犬の供給がされているとは思えません。

生体を売るペットショップがすべてが悪とは言えないのではないかと言う人もいます。

しかし、このペットショップは優良だから良し、悪質だからダメ、それを評価する基準はどうでしょうか?そうやって良いペットショップと言われるショップからも生まれすぎの過剰供給は続いています。そして、どんなショップでもいくらでも抜け道があり、生体販売をし続けます。
東京の悪質で有名なペットショップは、区が抜き打ち査察をし続けています。それを予期して、ペットショップはそれなりに基準を保っています。だから良しではないのです。やはりその場にいる子犬達は煌々とした店内のショーケースの中で小さな体をふるわせています。

ペットショップで生体展示販売を許可する限り、抜け道はいくらでも出来るのです。

そんな抜け道も通用しないような法律を作らなければ過飽和状態の供給は収まりません。
要するにまずは、どんなに良いペットショップであっても生体を展示販売することを禁止する法律を作らなければ過剰供給は防げないのです。それと見もしないで販売するインターネット通信販売も禁止しなければなりません。どんなに扱い業者の規制を厳しくしても実際に禁止として、犬を簡単に買えない状況を作らない限り、この過剰供給は止まりません。

動物愛護週間である今月に、日本の更なる動物愛護の進化、殺処分0の日が遠い未来でなくすぐに実現することを願いましょう。(2008/9/13)(LIVING WITH DOGS)

オレゴン・ヒューメイン・ソサエティ訪問記

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