微笑みの国の路上犬 (6)事故で背骨を折った野良犬をひろって
微笑みの国の路上犬 (6)事故で背骨を折った野良犬をひろって
愛犬のダイちゃんは、めでたくもタイの女王様の御誕生日8月12日に生まれた。この日はタイの『母の日』で休日であるが、ALEXはまさに母の日にダイちゃんを出産し若葉マークのママになった。ダイちゃんの誕生日は休日なので、なぜかいつも動物病院にでかけるはめになる。今年も2匹の血清を英国の研究所に送り、狂犬病検査証明書を更新入手するため、いきつけの動物病院に血清採取にでかけた。採取後、即日3重包装してEMSで送付した。1ヵ月後の結果は、ALEXは基準値以上で合格。ダイちゃんは0.5IU/ml(血清1mlあたり0.5国際単位)にわずか足りず不合格。実は2年前もダイちゃんだけ不合格で再検査したのだ。 |
狂犬病検査証明書はタイの研究所で入手しても国際的には認められない。タイから犬猫を海外に移動する場合の輸出時に必要なのは、まず国際標準化機構(ISO)11784及び11785に適合するマイクロチップを装着して、規定に沿い狂犬病ワクチンを施したあとに採取した血清を、指定の国の研究所で検査した抗体価の証明書が必要で、発行後2年間有効である。証明書発行後も6ヶ月は犬をタイから輸出することはできないので、常に1年半毎に更新のために検査の準備をする必要に追われる。いつペットと共にタイ国外に出国するかもしれない人は、このような準備をきちんとしておくべきである、というのが私の考えだ。この準備をせずに、急遽、本帰国になりペットを置き去りにした外国人も多いのだ。(農林水産省 動物検疫所http://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/import-other.html ) |
10月最終土曜に、ハナを応援してくださったバンコク在住のKさんがボランティア活動をしているSCADとエンポリアムデパート協賛のペット愛護のイベント『PET a POTER』に出かけて来た。 |
SCAD(Soi Cats And Dogs)はバンコク在住の欧米の方が中心になり立ち上げた犬猫保護の団体とのことで、会場にはタイ人だけでなく、たくさんの欧米人も訪れていた。 |
昨年はエンポリムデパートがSCADのスポンサーになりデパート周辺のエリア一帯の路上犬の去勢手術を施したとのこと。当日はペットも入場可能とのことで、たくさんのペット自慢がコスチュームで飾った愛犬を連れてデパート内を歩いている。ステージ会場の吹き抜けの上階まで子犬の吠え声が交響楽のように響く。特設ステージでパトリック氏による仕付けのショーがはじまると大勢の人が観客席に集まった。英語をタイ語に訳しながらショープログラムは進められた。モデル犬はタイの雑種だが小柄でとても美しい犬だ。 |
翌日の日曜に病院へハナの見舞いにいった。その前の週に見舞いに言ったときに気になったことをトン先生にメールでお願いしておいた。 |
1.ハナの麻痺した脚のつま先は、甲のが丸まってしまいひっくりかえった状態で、床とすれて腫れているが、感染症を起こさないか心配です。できればサポーターなどでカバーするか、バームを塗るなど処置ができませんか? |
ハナの後脚と腿はだいぶ筋力が回復して、腰をさげずに立っていることができるようになった。走る早さもかなりのものである。トン先生は、麻痺している右後足のつま先は、これ以上劇的に回復するのは難しいとの見解を述べられた。しかし、神経が死んでいるわけではないし血液も通っていて筋肉もついているのだから、麻痺した脚の甲の裏が地面にきちんと着くように、鍼灸治療などなにか特別な治療方法を探して施してあげられないか、とシロウトながら考えるのであった。 |
トン先生は,ハナはまだ7ヶ月くらいの年齢の犬だという。ワクチンもすべて施したので、11月中旬には避妊手術をしましょうね、と勧めてくださった。そうそう、ハナにもマイクロチップを装着してあげなくてはいけない。ハナの背中の毛がきれいに生え揃うころには、トン先生の病院を卒業しないといけないのかな、とぼんやりと考えたが、まだその先は見えない。 |