動物孤児院 (53)ドイツ流「犬と森を歩こう」
Inge Buttner-Vogt さんの、ドイツ流「犬と森を歩こう」
11月のある日曜日。森の入り口のカフェ前に犬を乗せた車が次々に到着しました。犬と一緒に森を歩く日です。リーダーは、犬のしつけ方の本を先月出版したばかりのビュトナー・フォクトさんで、しつけ教室のベテラン教師です。定期的にしつけ教室を開くほかに、日曜日の午後は生徒さんたちと森歩きをしています。
ミルク色の霧に包まれた森には、メルヘンの小人とばったり出会うのではないかというような幻想的な雰囲気があります。しかし、じめじめした天気の続く晩秋から冬のあいだは集まりが悪く、今日も5人と5頭だけ。(天気のいい夏の日だと20人と20頭以上が集まるのですが。犬たちが群れをなして森を走り回る様はちょっとした見ものです)。
ビュトナー・フォクトさんの愛犬である銀色の大型犬「シャドー」は、さすがにどんなコマンドにもすぐ反応してお手本を見せてくれます。ウルフハウンド系ミックスで、「動物ホーム」出身です。失業で経済的に飼い続けることのできなくなった人が「動物ホーム」に引き取ってもらったのだそうです。当時(4年前)は人や他の犬にかみつく問題犬だったそうですが、現在の「シャドー」からは想像できません。
犬たちに森を思い切り走らせることのできるドイツ。犬たちは風のように木々の間を走ります。積もった枯葉を蹴り上げ、倒木をジャンプし、(或いはフォクトさんの合図で、くぐり抜け)、清流に跳びこみ…。これこそ自然の広大な「ドッグラン」です。一体どれだけ走ればこの犬たちは疲れというものを感じるのでしょうか…。
もちろん、コマンドに従えることが基本です。ビュトナー・フォクトさんは、自転車やジョガーや散歩している人が見えたら、すぐにコマンドを出します。飼い主の足元に犬をつかせて、人が通り過ぎるまで動いてはならないのです。散歩の人たちも、「まあ、なんてお行儀いいワンちゃんたち!」と賞賛して通り過ぎて行きました。