フォスターファミリー体験記 – Rosie(3)

フォスターファミリー体験記 – Rosie(3)

Rosieのケネルコフは少し良くなったかと思いきや、鼻水がだんだん緑色のドロドロしたものになり、犬は人間のように鼻をかんだり手でくしゃみを覆ったりすることができないので、くしゃみをするたびにあちこちに飛び散るようになりました。私が在宅のときは、Rosieのくしゃみの跡を拭いてまわりますが、会社にいっている間は、しかたなくRosieだけをユティリティールームに隔離することにしました。かわいそうですが仕方ありません。

もちろんRosieはこの何時間にもわたる隔離が大嫌いで、吠えたり、ドアをガリガリとかじってしまいました。ドアは昨年15歳でこの世を去ったMaxが若い頃何度もかじった古いドアですから別に大した被害ではありませんが、このことをRosieに興味を示してくれた人達に話すべきかどうか迷いました。これを分離不安と呼ぶのはRosieにとってフェアーではないでしょう。ほかの3匹と猫が家の中を自由に歩き回っているのにRosie一人が閉じ込められていたのですから。

PetfinderにRosieを載せたので、 2組の家族がRosieに是非会いたいと連絡してきました。最初に電話で話した家族はChristyとGaryという再婚同士の夫婦で、14歳の息子と16歳の娘が二人います。Rosieの病気のことを説明し、今すぐにはアダプションに出せないと伝えました。何度か電話やメールで話すうちに、この家族ならRosieにぴったりかもと思えるようになりました。もう一組の家族は、4歳半の雄ラブ(未去勢なのが気に入りませんが)と猫が二匹、子供はまだいない家族ですが、こちらにはChristyが先にRosieを望んでいるので、彼女に先決権があることを率直に伝えました。このJenniferという女性は心よく理解してくれました。

肝心のRosieの容態が一向によくならないばかりか、(水)には最悪の状態になってしまいました。まるで洟垂れ小僧のように緑色の鼻汁が鼻の穴から二本たれているのです。おまけに食欲はゼロ。誰とも遊ぶ気にもならないらしく廊下の端っこで小さくなっています。さすがに心配でOFOSAのCathyに電話を入れ指示を仰ぎ、翌日の朝Rosieを連れていくことになりました。鶏のささ身をゆがいたものを一本とその茹で汁を飲んでくれました。

翌朝は昨夜に比べて少し元気が出たようで安心しました。鼻の周りがカバカバになっています。でもまだくしゃみをすると緑がかった乳白色の鼻汁が飛び散ります。出社前にRosieをCathy宅に預けに行き、退社後に迎えにいきました。抗生剤を別のものに変え、咳止めもシロップは飲ませづらかったので錠剤にしてもらいました。

さて今日(土)の朝は、まだまだ咳もくしゃみも出ますが、Christy一家がどうしてもRosieを引き取りたいというので片道35キロ離れたForest GroveまでRosieを見せに行きました。Rosieは車の中でもとてもいい仔にしていてくれます。Noahをアダプトした直後のあの涎ダラダラの車酔いを思うと、ドライブ慣れしていることですら、当然と思ってはいけないと自分に言い聞かせました。Rosieは病気さえ治れば本当に手のかからない仔です。

Christyの家にはご主人のGaryとChristyの息子のSeanが首を長くして待っていました。ChristyはRosieを見るなり“She is adorable! (なんてかわいいんでしょう)”の連続です。ご主人のGaryもRosieが飛びついたり吠えたりせずに、少し遠慮気味ですが尻尾を振って挨拶するのを見て“She is a good dog (いい犬だね)”と言ってくれました。息子のSeanはと言うと、私が“Sit”や“Down”や“Stay”を披露するとびっくりして大喜びです。私はSeanにトリートを手渡しながら「Sean, Rosieにトリートをあげるときには必ず何かのコマンドをつけてね。そうすると練習になるからね。」と頼むと早速Rosieにコマンドを与えています。

ChristyとSeanと私の3人でRosieを連れて短い散歩にでかけました。この2週間私は毎晩Rosieに引っ張らずに歩く練習をさせていましたので、そのやり方をSeanに教え、実際にリードを持ってやってもらいました。「Sean, Rosieが引っ張ったら、今来た方向に数歩戻ってね。Rosieは付いてくるから、またUターンして“Easy(ゆっくり)”と言いながら歩き出すのよ。」Rosieは練習の甲斐あって、リスさえ見なければかなり上手に歩けるようになりました。リスもそろそろ冬眠するのでこの分なら大丈夫でしょう。(笑)

Rosieはまだくしゃみをするので、Christyの家でもそのたびに私はウエットティッシュを持って床を拭きまわりました。Christyは「心配しないで。Seanがちゃんと世話をするから。」と言い、Rosieがくしゃみをすると家族3人でRosieに“Bless you!(お大事に)”と言ってくれます。私は自分の家でRosieがくしゃみをするたびに「ああ、また鼻が飛び散った!汚いなぁ」と心の中で思ってしまっていたことを恥かしく思いました。この家族の優しさと寛大さに頭が下がる思いでした。

そんなわけで、この家族はまだケネルコフが直っていないRosieをこのまま受け入れてくれ、できれば今日にでもアダプトしたいというので午後から書類の手続きをすることになりました。私は一旦家に戻りRosieの薬を持って丁度中間地点のPetcoで待ち合わせ、かなり好き嫌いのあるRosieのフード選びや必需品の買い物に付き合いました。3人のティーンネージャーをもつ30代後半の夫婦は決して裕福な暮らしではありません。ステインレスの食器は1つ14ドルもします。250ドルのアダプト料を払った後なのでなるべく出費を抑えるために、フードはPetcoのクーポンで無料でもらえることや、フードの容器もプラスチック製のもので充分なこと、水入れは100円ストアのものでも当初は用が足りることなどをアドバイスしました。

さて、いよいよRosieとお別れです。Rosieが一家の車に乗り込むのを見ても今回は不思議と涙が出ませんでした。それよりもRosieのために、心から嬉しかったのです。Rosieは本当にいい仔です。でもうちには彼女の居場所がなかった。Holly, Noah, Daisyという3匹の先住犬たちの仲間に入れず、私も充分な世話もできず、思う存分かまってもあげられなかったのです。あの家でならみんなに愛されてRosieはその名のとおりきっと大きなバラの花のように見事に花開くことができると信じています。

でも、今私の足元にRosieがいないことが寂しくて、あのくしゃみの音さえ懐かしく感じる。人間って本当に勝手な生き物ですね。

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