フォスターファミリー体験記 – Pasco(3), Daphne(1)

Pasco(3), Daphne(1)

(土)の朝晴天の中Pascoを車に乗せて20キロ離れたCaitlinという人のアパートに向かいました。Caitlinは同じく看護婦をしているルームメートのKatieと、ボーイフレンドのChrisと一緒にPascoと私を迎えてくれました。

KatieはKelpieの7歳になるメスJasmineをこのアパートで飼っています。アパートは4軒入っており、塀で囲まれた共同の裏庭がついています。早速裏庭にPascoとJasmineを出して様子をみます。JasmineはPascoよりも私のポケットの中のトリートに興味がある様子。
CaitlinもKatieも、そしてボーイフレンドのChrisも人懐っこいPascoをすっかり気に入ってくれました。Pascoのように社会化のしっかりできた犬は珍しく、私も安心してアダプションに出すことができました。一つ心配なのがあまりに警戒心がないために、開け放したゲートから出てしまったり、よその人に付いて行ってしまうかもしれないことです。しかも去勢がまだなので、その点はしっかり注意してもらうように念を押しました。

ドギードアの使い方もすぐに覚えてくれましたが、Pascoは2階のCaitlinの部屋へあがる階段が苦手でした。そういえばうちでも2階へは一度も行かせてなかったのです。ましてやこのアパートの階段は少し薄暗くて家の一部という感じがしません。おそらくPascoにとっては初めての経験だったのでしょう。あんなに怖いもの知らずのPascoが後ずさりして上ろうとしません。仕方なく私が抱いて上りました。下りるときは踊り場までは自分で下りましたが、急に怖くなって方向転換して2階に戻ってしまったのでCaitlinに抱かれて下りてきました。(笑)

私は3人にPascoについて知っていることを、すべて教えました。
マーキングをしてしまったこと、ケネルコフは完治したこと、目をシバシバさせていたが軟膏が効いているらしいこと、目の周りの脱毛のこと。点眼剤の入れ方も実際にやってみせました。

嬉しくて興奮すると飛びつくことに関しては、家族全員が同じように矯正しないとなかなか直らないので、特に甘そうなChrisには注意してもらうように! 実際PascoはChrisがとっても気に入ってしまった様子で私が話している間中ずっと撫でてもらっています。Chrisは猫を一匹飼っているのでPascoが猫とも仲良くできることを聞いて喜んでいました。たまにはPascoを連れてCaitlinが遊びに行ってもいいように。

さて、今度はPascoの良いところですが、まず一番に社会化がよくできており、初対面の犬達に囲まれても攻撃的になったり、逆に極端に怯えたりすることがありません。犬を見る目もちゃんとできており、すぐにSnapするNoahには近づかず、やきもち焼きのDaisyには適当な距離をおき、遊びを誘うのはもっぱらHolly姉さんに。HollyがPascoの誘いに乗って遊んであげようとすると、どこからかあのDaisyが飛んできて、ガウ!
Pascoは人間に対してもフレンドリーで甘え上手。間違ったことをしたときには「No」と叱ればすぐに止めます。呼べばすぐに飛んでくるかわいいヤツです。賢いのでコマンドも覚えるし、ボールやフリスビーもします。犬達の食事の支度中、それから私達人間の食事中は、ちょこんとお座りして行儀よく待っていられます。また私が会社に行くときは分かっているようで、玄関先できちんと座って見送ってくれていました。散歩の時は別人(犬)のようになって我先にとドアの隙間から逃走しますけど(笑)。

小一時間Caitlin達と話し、書類もすべて完了して、さあPascoともお別れのときです。私は最後にCaitlinにこう頼みました。「こんなことはないと願っているけれど、もし万が一、何かの事情でPascoを手放さなければならないことになったら、絶対に私に連絡してね。この仔がまたシェルターに戻されることだけはどうしても避けたいから。」と。

帰り道の私は寂しかったけど、こうやってCaitlinの家を訪ねてよかったと思いました。これでPascoがどんなところで暮していくのかが想像できますし、それになにより私にはもう次の仔が待っているのです。

というのは先週の(金)にすでに私のところに来る仔がシェルターから引き取られてきていたのです。この仔は6-8ヶ月のBorder Collieのミックスの女の仔で未避妊です。それでPascoがまだうちにいるので2晩だけ別のフォスターのBeckyのうちで預かってもらっていました。

(日)の朝Beckyの教会で待ち合わせ、この仔Dotを引き取ってきました。DotはPascoとは打って変わって、とても臆病でオドオドしています。Beckyも今朝はリードを付けるのに逃げ回ってしまい手間取ったと言っていました。私がトリートを見せても近づこうともしません。たまたまDaisyを一緒に連れていったので、Beckyからリードを受け取ってそのまま2匹を連れて散歩に行きました。20分ほど歩いて車に戻り、Dotを抱えて車に乗せました。ハッチバックの中で2匹はおとなしくしていました。運転しながら私はDotの名前をDaphne(ダフニー沈丁花)に変えようと決めました。Dot(点)なんてかわいげのない名前はこの仔にふさわしくないもの。

さて、家に着いてもDaphneは怖がって家の中に入ろうとしません。リードを少し引っ張りお尻を押して中に入れ、リードをつけたまま庭に連れ出しました。正直言って、「この仔をアダプションに出すのは大変だなあ」と思いました。人間との暮らしにまったく慣れていない様子なのです。おそらく外飼いか、クレートの中で長時間暮していたのでしょう。でも恐怖から噛み付いたりすることはなく、また他の犬に対しても攻撃的にはなりません。ただただオドオドと逃げ回ってしまうのです。こんな仔には無理強いはせずに時間をかけて家の中の生活や人間とのかかわり方に慣れてもらわねばなりません。もちろんトイレトレーニングもできていないようです。うんちとおしっこを廊下でしてしまいました。Beckyの家でもクレートに入れていた間は粗相はなかったそうですから、やはりクレート暮らしが長かったのでしょうか。

この日はたまたま長女が孫たちを連れて遊びにきていたので、Daphneは私、主人、末娘のほかに、この長女と3歳と8ヶ月の子供たちとも出会う機会に恵まれましたがDaphneはいつも隅っこで固まっていて誰のそばにも寄っていきません。でもこうやってうちにいる間になるべく沢山の人間や犬達と出会って社会化を積んでいって欲しいと思っています。そしてうちの犬達が人間とどのように接しているのかを見て、彼女も警戒心をだんだんなくしていって欲しいものです。その点でうちの仔たちは親善大使と言えましょう。夕方の散歩にはHollyと一緒に出かけ、Hollyが堂々と歩く様子をDotに見せ、夜は夜でNoahやDaisyが私の隣に甘えてくるのをDotに見てもらいました。するとどうでしょう、Daphneもだんだんに心を許してきたのです。うちへ来てわずか半日で私とソファーで転寝してくれました!

寝る時間が来たので、いつものように洗濯室に4匹を寝かせましたが、Daphneはクンクンの一声も啼きませんでした。これだけみてもいままで人間に甘えることがなかったことが伺え、胸が痛みました。Daphneこれから沢山甘えさせてあげるね。そしてあなたにぴったりの家族を探すからね!

<おまけ>3週間前にAnnieとJohn夫婦にアダプトされたSailorの近況と写真が届きました。Darwinと改名したのですが、それもまたちょっと固すぎる名前だと気づいて、Angusと再度改名したそうです。自分の水や食料を自分で運ぶようにAngusのバックパックを買い、ビーチやハイキングを楽しんでいるようです。またトレーニングクラスにも通い、彼はやっぱり優等生だそうです。「よかったね、Sailor、じゃなかったDarwin、じゃなくってAngus! もう名前は変えないで欲しいよね!」

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