動物愛護センターの見本

動物愛護センターの見本

日本の犬猫の殺処分数は20年前、10年前に比べて格段に減っています。減った要因は、地域での犬の飼い主の底上げが大きな力になっていると思います。

日本中で、野良犬はかなり減っていますが、殺処分される犬達の大部分は、野良犬ではなく飼い主から持ち込まれた不要犬が主です。

持ち込む飼い主は、その理由を「年を取って病気になったから」「引越で犬を飼えないから」「飼い主が病気で世話が出来ないから」「知らないうちに子犬が生まれてしまったから」です。

子犬や子猫は里親さんが見つかりやすいのですが、老犬や成猫はなかなか里親さんは見つかりません。

不要動物を持ち込む飼い主さんに対して、持ち込み費用を取るという施設も出てきました。

熊本市では、獣医師が、動物の命の重さをとことん語って、安易に持ち込みを受けないようにしているそうです。

この獣医師と職員の方々の、一人一人に対応する努力に敬意ですね。

その結果、殺処分数が10年前の10分の1になったそうです。素晴らしいですね。

各県の愛護センターの担当者の方々に、熊本市を見本に殺処分数減の目標を頑張って達成して欲しいと思うのですが、この愛護センターのような厚い説得までもしなくても、手間がかかるかもしれませんが、安易に不要犬を受け入れないと言う姿勢を持って「動物の命の大切さ」をより説明できるようなツールがあったら、思いとどまる飼い主さんが増えるかもしれませんね。(2009/3/29)(LIVING WITH DOGS)


命の重さ説き犬殺処分激減…熊本市動物愛護センター
「安易に引き取らない」他県注目

引き取った犬を抱きかかえるセンター職員  飼い主の都合などで捨てられた犬の殺処分数が、熊本市では10年前の10分の1に減っている。市動物愛護センター(熊本市小山)に持ち込まれても簡単には引き取らず、時に職員が声を荒らげてでも飼い主に命の大切さを説き、思い直してもらうという異色の対応の成果だ。
2004年にセンターに配属されたK所長(獣医師)が、動物愛護管理法で「所有者は終生飼育に努め、自治体は飼い主に必要な助言を行うこと」とされていることに着目したのが取り組みのきっかけ。市はそれまでも、動物を安易に遺棄しないよう啓発活動を行っていたが、ほとんど効果がなかった。そこで、法律を根拠に、「安易にセンターで引き取らない」という異例の方針を打ち出した。職員には、飼い主に大きな声を出してでも、すぐには引き取らないような対応を求めた。
センター愛護係長のKNさんがある時応対した親子連れは、「年を取り、番犬の役に立たないから」と老犬を連れてきた。KNさんは「命を何だと考えているのか」とどなりつけた。そのうえで、「あなたがやっていることは、命のあるものでも年を取ったら捨てていいと子供に教えているのと同じだ。それでもいいのか」と詰め寄り、犬を連れて帰らせたという。
こうした対応を不愉快に感じる市民もおり、「やりすぎだ」「捨て犬が増える」との苦情が市の窓口に寄せられることもあった。しかし、K所長は「命について話をしているだけで問題ない」と気に掛けなかった。
取り組みの結果、持ち込みが激減し、97年度に946匹だった殺処分数は、07年度には78匹にまで減った。「安易に動物の命を考えないでほしかった。成果は出ている」とK所長は胸を張る。
やむを得ず引き取った犬の譲渡方法にも徹底してこだわっている。市は、市獣医師会、愛護団体などでつくる協議会と協力して月に1回のペースで譲渡会を開催。譲渡を受けようという人には、捨てられた犬がガス室で処分されるビデオを見せ、飼い主としての適否を判断するために面接を義務づけている。譲渡後の去勢、不妊を約束させ、一生育てるとの誓約書も出させる。「動物の幸せを考えると、簡単には譲り渡せない」とKNさんは力を込める。
福岡県が動物の引き取りに手数料を設定するなど、各地の自治体が持ち込みに歯止めをかけようと工夫している中で、この「熊本方式」は注目を集め、自治体による視察や職員の派遣が行われるようになった。08年度から1年間、山口県下関市から派遣されていた獣医師のSYさん(27)は「職員の動物を救おうという意識が高い。貴重な経験を積むことができた」と話している。(2009/3/29)(読売新聞記事より)

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