動物孤児院 (12)ドイツ人が犬を捨てるとき

(12) ドイツ人が犬を捨てるとき

ドイツにも動物を捨てる人がいます。安心してください(!)、日本だけではありません。大きな違いは、捨てる人が日本より少ないことと、捨てられた犬も生きる権利があり、「殺処分」されないことです。捨てられたあげくに、殺されるか、生かされるか、この違いは大きいです。

犬が飼えなくなったとき、ドイツ人はどうするか。

心ある人は、新聞広告に出します。そのへんは日本と同じです。その場合も「無料で差し上げます」ではなく、「売ります」のかたちです。犬を買い取るお金さえない人には、とても犬を譲れないわけでしょう。ドイツには犬税があって、毎月2千円近く(市町村によって異なる。大都市ほど割高。)収めなければなりません。闘犬種はその何倍もします。

実験動物として売られることを恐れもあります。ブランド化粧品会社や実験ラボがこっそり犬猫を実験用に買い取るという噂があるのです。(動物実験していない会社は、していないことを誇りにしているので、瓶や箱にそのことが記してあります。)

スーパーマーケットや獣医の待合室にも写真付きで「譲ります」の張り紙を貼る人がいます。しかし、こういう努力をする人はもちろん心有る人たちで、要するに「捨てる」人もいます。

高速道路の休憩所につないで立ち去るのは昔からあるケースです。通報を受けた警察か、動物保護団体の車が犬を迎えに行き、犬は動物孤児院に収容されます。捨てられた犬は極度のショック状態にあって、かみつく恐れがあるので、人は慎重に行動しないとなりません。日本だったら、心有る人がその場で引き取って連れて帰らないかぎり「殺処分」のオリ行きは確実です。そのことを想像しただけで私はゾッとします。敬愛していた飼い主に見捨てられた上、処刑されるのです。殺されるまでの数日間の不安と恐怖、それこそ地獄の苦しみでしょう。日本では、この現実を話題にしたがりません。

夜中、人の出入りがないときを見計らって、動物孤児院の門につないで逃げ去るという例もあります。

それでも、やっぱり、ドイツでは動物孤児院に連れて行く例が最多でしょう。犬を引き取るときと同様、飼えなくなった理由や名前、いろいろ聞かれます。次のファミリーがその犬の性格や、しつけの情況、癖、そして、犬の名前を知る必要があるからです。

ドイツ人が多く住むスペインやポルトガルではドイツと違い、野山に捨てられた犬たちがごみをあさります。現地の人はそんな野犬を集めて、日本同様、ガスで殺したり、殴り殺します。黙って見ていられないドイツ人保護家たちは、何週間もかけて野犬に近づき、えさを与え、ある日、ようやく近づいてきた犬をつかまえる作戦をとります。

日本でも山に捨てられた犬がいると聞いています。ペット雑誌の豪華さ、犬用のお洋服の多種多様さ、ペット店の繁盛ぶりの、「裏の現実」を、いつ人々は語り始めるのでしょうか。

(2003/05/23) 

(小野千穂)

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