動物孤児院 (56)かみつく犬はどうする?
動物孤児院 (56)かみつく犬はどうする?
問題犬は訓練士の手に
動物ホームに連れられてくる犬たちの中には、人にかみついたことのある犬や、いったん与えた玩具を人が取ろうとすると攻撃的になる問題犬もいます。たいていは、もとの飼い主が犬を家族扱いしていなかった場合です。
たとえば:
蹴られたり、殴られたりの虐待を受けていた犬(ドイツでは犯罪と見なされ、犬を飼い主から取り上げます)。
庭の小屋で飼われていた犬(田舎では、そのような飼い方をするドイツ人もたまにいます)。
短い鎖でつながれていた犬(ギリシャやスペインの田舎ではつないだまま散歩にも行かない飼い方が多いのです)。
そのように飼われていた犬の多くは社交性に欠けています。「飼い方が間違っているとそうなるのだ」と、犬のせいにしないのがドイツ。犬は人間の犠牲者なのです。
問題犬の再教育には訓練士が呼ばれます。どれだけ時間がかかっても忍耐強く、家庭犬として譲渡可能になるまで訓練を行うのです。
「人にかみついたから」と、すぐに保健所に連れていく飼い主の多い日本…。
将来、「殺処分がない管理センター」が日本にできたとき、訓練士が活躍する機会が増えることを願っています。
動物ホームに、訓練士と獣医師が出入りして、避妊去勢と、問題犬に再教育をしてから、新しい飼い主を探す…。日本でそれが実現するまで、まだまだ時間がかかりそうですが。
危険犬種も再教育
どの動物ホームにも必ずいるロットワイラーや、ジャーマンシェパード、そして彼らの血が入った大型の雑種に新しい飼い主を見つけるのはそう簡単ではありません。
ロットワイラーは、2009年1月1日から「危険な犬種」と見なされています。危険犬種を飼う人は割高の犬税を払うほか、「性格テスト」を受けさせる義務もあります。「性格テスト」とは、犬の横で通りがかりの人間が突発的な動きをしたり、乳母車を倒したり、他の犬をけしかけたりして、その犬が攻撃的になるかどうかチェックするテストです。(不合格になったら安楽死させますが、私の住む市では、去年そのテストに不合格だった犬は一頭もいなかったそうです。)