動物孤児院 (61)ドイツのペットショップの取り決め

ドイツのペットショップの取り決め

                 「犬を飼おう→買いに行こう」から「犬を飼おう→引き取ろう」に
 
日本から遊びに来た知人の幸子ちゃん(16歳)が「犬を飼いたいの」と言った。チワワがいいけど、ミニ・ダックスフントでもいいそうだ。
「管理センターに連れて来られた犬を引き取ってあげて。チワワもミニ・ダックスフントもいるから。」と私が言うと、幸子ちゃんは不思議そうな顔をした。案の定、殺処分のことを知らない。
「えっ? なあに、サツショブンって?」

                                               ☆  ☆  ☆

「そうなの。知らなかったわ。うん、犬を飼うときは管理センターで引き取るよ!」と約束してくれた。それまでの彼女の図式によれば、「犬を飼う=ペットショップで買う」。

日本中、どこにでもあるペットショップ。靴がほしければ靴屋に行って買うのと同じ乗りで、子犬を買いにペットショップに行く。
犬が病気をしたり、世話が大変になれば、まるで流行遅れになった靴を捨てるように、殺処分するとわかっている管理センターに連れて行ったり、「犬出し日」に犬を指定の場所に出す人がいる。
ところで、「犬出し日」が実在することを知ったのは最近のことだ。帰国していたときに行ったお寿司屋さんのカウンターで、横に座った人からその話を聞いたとき、私は始め、からかわれていると思った。もし、「犬出し日」の様子がドイツの新聞なりテレビで報道されたらどうなるだろう。ドイツ人の友だちにそのことを話しても、「まさか、そんなのあるわけないよ」と笑って信じない人もいる。

                      子犬を売らなくてもペットショップは繁盛する

私が住むドイツの町にも大型のペットショップが何軒もある。こんなにあって、しかも隣接していて、よくまあ倒産しないものだといつも思う。いや、倒産するどころか、従来の店を、小動物(うさぎ、ねずみ、小鳥、熱帯魚の)と小動物用フード&グッズ専門店に変更して、近所にもう一軒、犬猫用フード&グッズを専門とした大型店を増設したペットショップさえあるくらいだ。
ドイツのペットショップでは犬猫を売らないが、犬猫以外の小動物はドイツでも店で売ることができる。うさぎや、ねずみたちのためにスペースが広々と確保してあり、とても清潔だ。なにしろ、恐〜い客の目が光っているのだから! 清潔でなかったら、もしくは、スペースが十分でなかったら、当局に通告されること間違いなし!ドイツでは「お客様は神様」ではない。「監視人」だ。

 ドイツのペットショップに行くたびに、日本でも子犬を売らなくてもビジネスとして十分にやっていけるのでは?と思う。
「犬を店で売らない」という取り決めを実行しているドイツやオーストリアやスイスの動物保護の水準に日本が到達するには、まだ時間がかかりそうだ。知り合いに、日本は500年かかるだろうと言う人がいるが、それを何とか短縮させたい!

「子犬が今のように気軽に買えるというシステムがあるかぎり、気軽に捨てる人が後を絶たず、殺処分もなくならない」と主張してくれる政治家が出現したらいいのだが。

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