補助犬と教育

補助犬と教育

娘は幼稚園を1回移ったことがあります。年少で入ったのは、神奈川県の○○○学園幼稚園でした。カソリックの厳しい幼稚園です。

我が家は、ボランティアで、盲導犬のリタイヤ・ウォーカーとして、デキスターを迎えました。

夫が娘を幼稚園に送りに行くときに、デキさんも一緒に登園していました。

しかし、帰るときに先生から「ご注意」が入り、犬は連れてきてはいけないと言われました。夫は幼稚園の門の向かい側の電信柱にデキスターを係留し、シット&ステイさせていました。

後日、夫と共に先生方とデキスターについて話し合いをしました。

先生は「犬がいたら子供達が走るかもしれないので危ない」と。デキスターは盲導犬だからと言ってもまったく聞く耳を持たず、帰ってきた言葉は「そんな人、ここにはいませんから」でした。

そんな人ってどんな人でしょう? 要するに、この学園には視覚障害のある父母の子供は入れませんってことですかねぇ?

視覚障害者がいないから盲導犬について知る必要がないという勢いでした。カソリックで、マリア様アーメンと祈り、人々の平和を祈っている割には笑えます。そういう祈りや、信仰心自体が、ニセモノに思えて情けなくなってしまいました。

夫は、心を込めて「働く犬がいることを子供達に教えなくてはならない」と話しました。そして、障害者が積極的に社会参加出来るように、盲導犬や介助犬、聴導犬などの障害者を助ける(補助する)犬が、日本の社会が受け入れるために、障害者補助犬法が改正されました。
それは公共の場所に補助犬が入ることを断ってはならないという法律です。こういうことを丁寧に説明して、やっと「では働く犬について教えます」というお返事にたどり着きましたが。

その後、娘は辞めさせたので、実際に、働く犬について子供達に教えたかどうかは判りません。

*○学園幼稚園というところに転入のご相談に伺ったとき、園長先生とは様々なことについて語り合いました。特に、盲導犬については、とても喜んでくださり、子供達が毎日盲導犬と触れ合えるなんて素晴らしい!とさえおっしゃってくださいました。

過去に耳の不自由なお子さんが入園希望され、先生方がひとつにまとまるまで考え、結果、受け入れをされたそうです。
手話が子供達の間で学ばれ、助け合いながら小学校に上がられたそうです。真の教育とは、こういうことではないでしょうか。欠員待ちでしたので、しばらく待っていましたが、入園のご案内をいただいたのが今年の春でした。残念ながら年長から転園させるのもかわいそうなので辞退しました。本音を言えば、私はこの幼稚園に進ませたかったです。

それでは、今の幼稚園はというと、様々な意味で「自由」です。遠足には、お母さん方がアルコールを持って行かれたり。何をするのも自由、みたいなところがあります。

送り迎えの時にデキさんと一緒に行ってみました所、先生方が道路に係留しているデキさんを門の中、門の脇に入れてくださいまして、子供達もとてもかわいがってくれていました。
しかし、やっぱりいました。「犬は困る」「アレルギーがあるから困る」と言い出すお母さんが。
また、デキスターを見て、何を勘違いしたのか「うちにもペットはいるわよ!」と、ゴールデンからフェレットまで連れてきて、幼稚園の園庭の中にまで入り込んでいくお母さんが何人か出てきたらしいのです。

それで「どうしてあの犬だけはいいんですか!?」と食って掛かった人がいたそうです。園長先生は犬好き、特に黒ラブ大好き、そしてデキさんが盲導犬であるということで特別にはからって下さっていたのですが。「あの犬は盲導犬をリタイヤした犬だから」と説明しても、頭の悪いお母さんには通じなかったそうです。

「盲導犬だからよくて、ウチの子はダメなんですか!!」って。

「盲導犬についてもっと勉強していただけませんか」と心の中で叫びました。

盲導犬には『絶対』が条件です。
絶対に噛まない、絶対に威嚇しない、絶対に人に迷惑をかけない。この『絶対』ができる犬でないと、試験にパスできません。信号待ちでお仕事中の盲導犬にタバコの火を押し付けた馬鹿な人間がいたそうです。でも、その盲導犬は鳴くこともなく、じっと耐えたそうです。

盲導犬の試験では、尻尾を踏まれても吠えないで我慢すると聞きました。満員電車で踏まれても耐えられる子じゃないと盲導犬になれないのです。

デキさんは幼稚園児に囲まれて、耳を引っ張られたり、背中を叩かれたり(撫でているつもりでも)泥水をかけられたりしても、じっと我慢することが出来ました。

そういう厳しいカリキュラムを通して、見事にすべてを合格した犬が盲導犬なのです。

「盲導犬」と「ウチの子」を一緒にしてはいけませんよね。

結果、園長先生が「すごく残念だけど・・・」とデキスターを園内に入れないようにと。身体障害者補助犬について、一体、いつどこで学んだらいいのでしょうか?

私は、そのチャンスがあったらいつでも学ぶべきであると思います。
大人でも知らない人がたくさんいます。大人の価値観を子供に押し付けず、未来を作る子供達に新たな社会のルールを学ばせてほしいと思います。日本の犬に対する意識が非常に低いのには、こういう無知な大人のおかしな価値観があるからではないかと思うことがあります。

動物達が安心して暮らせる社会こそ、人間も安心して暮らせるのではないかと思います。
日本は、障害者に冷たく、自分勝手な人が多く、慈悲の心がどんどんなくなっていくようでとても残念です。

三つ子の魂百までもといいますから、子供達に、動物をかわいがることや、小さな動物にもかけがえのない命があること、そして弱い者や動物、お年寄りを守ってあげられる強さを育むことを教えて行きたいと切に思うのは私だけでしょうか。(2009/9/19)(神奈川県 M.Hさん)

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