プリズン・ドッグ・プログラム

プリズン・ドッグ・プログラム

1982年、ワシントン州でキャシー・クインさんと言う女性によって「プリズン・ペット・パートナーシップ・プログラム」は発案されました。
アメリカ、ワシントン州、女子刑務所において、捨てられたり、処分されようとしている犬を、シェルターから向かい入れ、囚人の手で障害者のためのサービスドッグとして訓練を行う、また囚人の退所後の職業訓練にもなっています。と言うものでした。

日本も昨年、盲導犬の育成として、プリズンドッグ・プログラムが始まりました。結果はまだ出ていないとは思いますが、このような試みは増やしていただきたいものです。

動物介在療法を利用した、障害者向けのサービスドッグの育成と、服役者の社会復帰の為の職業訓練が、アメリカではどんどん進化しているようです。

今回、重罪で長期服役中の女性囚人がトレーニングを行っている記事がありました。これまでは比較的軽い刑での服役者が対象かと思っていましたが、重罪服役者の為にも、このプログラムは良い効果が出ているようです。やはり犬が側にいてくれるだけで気持ちが豊かになるからですよね。オレゴンにお住まいのHollyのママが翻訳して下さいました。
(2009/10/16)(LIVING WITH DOGS)



オレゴン州のCCI活動
 
オレゴン州ウィルソンビル市にあるCoffee Creek 刑務所では、重罪を犯し長期服役中の女性囚がCCI(Canine Companions for Independence=独立を助けるコンパニオン犬という意味)という全国的な組織に所属するパピーたちにアシスタントドッグとなるためのトレーニングを行っている。

CCIではラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバー、またその二種のミックス犬をブリードし、2年間のトレーニングの後に、身体障害、認知障害、発育障害、または聴覚障害のある人々に無料で提供している。CCIの犬達は50以上のコマンドを習得しており、ドアを開けたり、危険を知らせたり、照明をつけたり消したりすることのほか、心を穏やかにする精神的なサポートを飼い主たちに与えている。

パピーたちはまず4ヶ月令になるまでボランティアの手でトイレトレーニングを受け、自分の名前を覚えたりして過ごす。その後何匹かが刑務所に送られてくる。アメリカ国内で1000人以上のCCIパピー飼育者がいるが、オレゴン州では1995年からCoffee Creek刑務所内でこれらのパピーを飼育、トレーニングしている。犬達は個々の習得の速さにもよるが、刑務所内で約一年ほど過ごすのである。その後それぞれの地域にあるCCIトレーニングセンターに送られ約6ヶ月の最終仕上げ訓練が行われる。

Coffee Creekにいる間は、犬は担当の囚人の監房で寝起きを共にする。
「閉じ込められた空間で一緒に過ごすことはアシスタントドッグとなるためには効果的であり、囚人をトレーニングに使うことは長時間犬と一緒にいられるためにコマンドの訓練にもとても都合がよい」と囚人にトレーニングを施すトレーナーは言う。
アシスタント犬の全国的な合格率は30から35%だが、この刑務所卒業の犬の合格率はなんと45%もあるそうだ。

このパピー飼育プログラムはまた囚人が釈放されたあと二度と犯罪を犯さないようにするためにも役立っている。そして刑務所にはこのプログラムのための費用が一切かからないというのもまた魅力である。
ポートランド地区の獣医師が犬の治療を無料で施してくればかりでなく、必要物資は寄付され、CCIが犬の搬送やそのほかの経費を持つ。このプログラムは犬を実際にトレーニングする囚人の社会復帰に役立つばかりではなく刑務所全体の雰囲気も変えてくれる。

「刑務所では通常自分のことしか考えないという気風が蔓延しているが、犬のトレーナーたちのグループではお互いにアドバイスを与え合っている」と殺人の罪で21年刑務所暮らしのある女囚はいう。彼女はすでに15年間このプログラムに携わっている。また同じく殺人罪で禁固刑があと14年残っている別の女囚は「このプログラムのおかげでコミュニケーションが上達し、物事に集中することもできるようになった。今では犬のいない生活など考えられない」といっている。

このプログラムは誰でも参加できるわけではなく申し込んでから何年も待たなければならない、いわば特権である。そして囚人たちは本来の労働の上にこのトレーニングを行うこと、そしてその犬たちがいずれ彼らの助けを必要とする人々の役に立つと考えることで自分の犯した罪の謝罪の一つの形と認識しているようだ。

2006年4月にイラクで負傷し、右足の膝から下を切断した兵士は身体をかがめて物を拾うことができない。しかしこのCoffee Creekで訓練を受けた4歳のラブミックスPhinnのおかげで、「Retrieve(あれを取って)」というだけでよい。しかしPhinnの力はそれだけではない。元兵士は「Phinnがいつもそばにいてくれることでいかにおおきな精神的サポートをもらっていることか。彼はもう家族の一員です」と語る。

またある12歳の自閉症児Taylorは、以前は両親のつきそいなしでは別の部屋にさえ一人でいけなかったのにSelaというイエローラブがCCIから贈られてきてからは彼の生活は一転した。Selaはこの自閉症児に勇気を与え、彼を落ち着かせるのにとても役立っていると母親は言う。今では犬と一緒ならどこへでも行けるし、状況に圧倒されたときでも数分で自分を取り戻せるようになった。Taylorいわく「Selaには一つだけ問題があるんだ。それはいびきがすっごくうるさいこと」だそうである。(2009/10/16)(アメリカ Y.Mさん翻訳)

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