愛のしっぽ(vol.16) 日本一の犬不法投棄現場

日本一の犬不法投棄現場

日本という「美しい国」が捨て犬の多い国だということは誰だって知っている。しかしゴミの不法投棄のように、飼い犬や売れ残り犬の不法投棄現場が日本全国に散らばっていることを知っている人は少ない。私も知らなかった。

 これらの現場には不思議な共通点がある:犬たちを集めている人は変なおじさん、不妊手術はしない、集める目的はよくわからない。

 その悪名の代表とも言える不法投棄現場は山梨県にある。これほど悲惨な状況におかれている犬たちを今まで見たことはなかった。地元の不動産屋が所有している4、5カ所の土地に、いらなくなった犬たちを集めていた。目的は定かではないが、町の噂によると、土地がらみの嫌がらせに犬を使われたという話もある。ピーク時には400頭前後の犬がいた。11年前、私が初めてあの現場を見に行ったとき、廃材で造ってあった犬小屋のほとんどが雪や風の被害を受け、犬たちを悪天候から守るものはなかった。雪に埋もれたり、雨に打たれたりの生活だった。そして夏のあいだ、日差しから逃れることができずに、犬たちは土に残っていたほんのわずかな水分をなめながら命をつないでいた。このような過酷な状態に置かれた犬たちに、不動産屋は1週間や10日に1度も水をあげないことがしばしばあった。もちろん、餌らしいものも見あたらなかった。数カ所にハエがたかっている腐った鶏の生肉が地面に散らばっていただけだった。水もなく、餌もなく、犬たちが死と背中合わせに生きていた。法律で義務づけられている登録も狂犬病予防もせず、動物虐待ともいえるような状況にもかかわらず、県行政は臭いモノに蓋をするかのように、犬たちが集められている場所を「多頭飼育現場」とよんでいた。

 近くに住んでいる住民にとっても迷惑。臭い、うるさい、恐いという理由で苦情は絶えなかった。しかし地元の保健所も、市役所も、警察も、そして県も知らぬ顔。そうしているあいだ、自己繁殖や現地へ犬を捨てにくる無責任な飼い主によって犬の数が雪だるまのように増え、日本一の犬不法投棄現場に拡大した。

◎今は山梨県と帝京大学の学生たちの協力によって、犬たちの生活環境が改善され、数も大幅に減少した。


死と背中合わせに生きている
不法投棄犬

Ext_link動物愛護支援の会
                      
  (2007/04/20)(足立朝日 連載記事より)

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