NHK番組「追跡AtoZ」:【なぜ繰り返されるペットの悲劇】から
NHK番組「追跡AtoZ」:【なぜ繰り返されるペットの悲劇】から
2010年1月9日、新年を迎え日本の動物愛護の状況はこの不況の中でもペット業界だけは潤っていると言えるでしょう。
NHKが素晴らしい取材を通して現状を見事に報道してくれました。
NHKの取材班頑張っています。そしてゲストコメンテーターの江川昭子さんも適確なコメントでした。
見なかった方のために簡単に内容を残しますね。
動物虐待の現場
ストレスのはけ口として子犬や子猫をインターネットの里親サイトを利用して得、虐待したり遺棄したりする人間がいる。
悪質な引き取り手の実態が映し出された。
2年間で消えた子猫は30匹ほど、この犯人は50代の男、里親募集サイトから子猫を得、飽きて放棄していた。動物愛護団体の人が追求して見つけ出した。
しかし、このような行為が犯罪であるという事をこの男は認識していない。
日本の動物愛護管理法では、虐待では最高50万円の罰金、1年の懲役とは書かれていても実際に課せられた犯罪者はいるのかと言うほどだ。
1.法規制が脆弱であること
英国ではインスペクターがおり動物虐待をする飼い主を起訴することが出来ます。
日本は、人手が足りないことで虐待現場査察を頻繁に行うことが出来ない。
日本はボラティアに頼るしかない。
2.刑罰が軽すぎる。
日本は最高50万円の罰金、懲役1年、ドイツでは懲役刑3年。
3.ペットは物として扱われる日本
虐待は器物損壊、連れ去りは窃盗。
法制度が甘すぎる為に、動物にかかわる犯罪は減っていかない。
そして大量放棄、殺処分はなぜ減らないのか。
1.保健所に持ち込まれる理由
ある飼い主が飼い犬の問題行動で保健所に引き取って欲しいと依頼している。
この犬は、飼い主を噛み、危険だという。実際に保健所職員(獣医師)が訪問し、この犬がなぜ問題行動を起こすのかを飼い主と共に訓練士が解決策を探っていく。
子犬の頃の母犬から早期引き放しが犬の社会性を育んでない事を指摘している。
2.日本人消費者の子犬志向
六本木や新宿の夜間煌煌としたペットショップに群がる若い女性達、こぞって「かわいい〜!」を連発している。
このような子犬志向がもたらす害は、大量繁殖を行うパピーミルの産めや増やせの状況がある。
動物愛護先進国のドイツの取り組みが紹介された。
ドイツでは殺処分はゼロである。しかし飼い主が飼いきれず放棄する場合もあるが、ティアハイムという動物愛護施設がドイツ中にいくつもあり、毎週保護した犬達の里親募集の機会を作っている。その施設は清潔で素晴らしい管理状態である。里親候補は何度も面会を通して、この犬との相性を測られる。決定するまで、この犬の面倒を見れる余裕があるかどうかを確認する。
ドイツのペットショップは生体を販売していない。
ブリーダーが紹介された。あるシェパードのブリーダーは広々とした広場で何頭かのシェパードがのびのびと暮らしている。
ここでドイツと日本の繁殖業者の違いを紹介。
日本 | ドイツ | |
犬の繁殖業者 | 飼育頭数の制限無し | 成犬10頭まで |
母犬と過ごす期間 | 適切な期間 | 8週齢以降 |
ペットショップでの販売 | 可能 | 業者の自主規制 |
最後に「どう防ぐペットの悲劇」として結んでいる
「よりよいペット文化」
ペットの存在感が大きくなっている現在、虐待や遺棄する人も多く、また一方ではちゃんと意識を持って飼育している飼い主も多い。意識の格差が大きい。
その格差を縮めることが重要だ。また悪質な飼い主を取り締まる法律が必要である。
熊本市動物愛護センターで42回目の譲渡会で里親候補が現れなかったイノキに会いに行ったキャスター。
日本の動物愛護運動はここ10年ほどで少しづつではあるが確実に意識は高まってきています。確かにインターネットの弊害で、動物虐待をするために里親募集サイトを悪用して子犬や子猫を得る犯罪者もいます。
しかし、このインターネットの発達があったからこそ、優良な里親も育ち、日本中に動物愛護の輪を広めていけたとLIVING WITH DOGSは思っています。
熊本市の殺処分ゼロへの取り組みを核にして、日本中の保健所が、地域のボランティアと共に住民の動物愛護の意識の格差を縮める。動物愛護の意識の底上げを測っていくことが必要でしょう。
数年前の動物愛護法改正時に、まったくザル法としか言えないような内容で改正され、生体展示販売はそのまま継続と、飼育環境が少し規制が出たくらいでした。改正後も業者はいくらでも逃げ道がある状況を近頃の各メディアの報道では如実に映し出してくれています。
政権交代が、この動物愛護法改正に大きなチェンジの機会を創成してくれること期待したいですね。(2010/1/10)(LIVING WITH DOGS)