動物孤児院 (66)「形成外科手術で新しい顔をもらった犬」(台湾編その3)  

形成外科手術で新しい顔をもらった犬 (台湾編その3)

 パトリシアとの散歩から帰ったときは、すっかり暗くなっていた。マンションの前に犬を連れた長身の男性の人影があった。動物愛護協会(TAIWAN SPCA)の会長であるイギリス人ショーンだった。彼に私を紹介しようとパトリシアが電話をしてくれていたのだ。
ショーンは黒くて小さな犬「小黒」<シャオヘイ>を連れていた。暗かったので、はじめはよく見えなかったのだが、しゃがみこんで「小黒」をなでようとして、顎の上半分が欠落しているのに気づいた。「おそらく誰かに蹴られたのだ、それも力まかせに」ということだったが、真相は年を取ったこの小さな犬「小黒」にしかわからない。外部からの強い衝撃で、鼻の上部の骨が吹っ飛んでしまっていた。下顎の歯はむき出しになっている。虐待された可能性が大きく、犯人に関する情報を求めているそうだ。
「来週、台湾大学動物医院で手術を受けて顔を作り直してもらうんだよ」とショーンはさも愛おしそうに犬を撫でた。気道を食道から分けた後、下顎のむき出しになった歯と上顎の歯を何本か抜歯して、口元と鼻梁に自然収縮させる、という治療らしい。手術に備えて、今は体力づくりだ。変形した口元のせいで物が食べられなかったためにやせ細っていたが、保護当時に比べると1キロ増えたそうだ。鍼灸もしてもらっている。


ご心配なく。野良犬ではありません。野菜市場のおじさんが飼っているラブちゃんで、いつもそのへんを勝手に走り回っています。(台北市の双連市場にて)

大学病院の獣医師のところに「小黒」を診察してもらいに行くと、「もしかして、この犬のこと? 新聞でたくさんの人が虐待された犬のことで意見を述べていたけど」と言われたそうだ。
「小黒」は傷を受けてから保護されるまで、すでに数ヶ月たっていた。もし早い時期にきちんとした治療を受ければ治りも早いので、台湾の虐待防止動物協会は、「虐待された犬を見たらすぐに協会か地元の動物愛護グループに報告してほしい」と人々に伝えている。気になる「小黒」の手術代だが、十分な寄付金が集まったそうである。
 ドイツに帰ってからも「小黒」の手術のことが気になり、ショーンにメールを出すと、「手術はうまくいきました」という嬉しい返事が来た。

 送ってくれた写真をここに紹介したい。上は手術前。下は手術後である。

http://www.facebook.com/album.php?aid=112555&id=149123754312

http://www.facebook.com/album.php?aid=121392&id=149123754312&l=29db337f64

 

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