愛のしっぽ(vol22) 不要犬国 日本
不要犬国 日本
「判決が出ました。被告人、立ちなさい」。
「被告人が犬に生まれたという理由で、8年間、鎖でつながれっぱなしの刑に処する。その後、不用とみなされ、窒息死による死刑を宣告する!」
もし、あなたがそれを言われたら……どうする? 何だって? 人間だから、そんな不合理な話はあり得ない?
そうとも言い切れないぞ。もしも、来世にあなたが犬に生まれ変わって、正確に言い直すと、日本の犬に生まれたら、このような不合理な結論は大いにあり得る。なぜかというと、日本には身勝手な飼い主によって「不要」というレッテルを貼られている犬が驚くほど多いからだ。
野良犬や野犬がほとんど消滅した現代の日本では、毎日、行政によって悲惨な方法で殺処分されている犬たちの大半は飼い犬だ。つまり飼い主に持ち込まれた「不要犬」。
長年生活を共にした愛犬を何のためらいもなく殺してもらうという心境、普通では考えられない。当然だ! 普通では考えられない! でも日本は普通の国ではない。日本は世界に例をみない「動物後進国」だから、飼い主の身勝手な判断のひとつで、愛犬が突然、不用犬に変身してしまう。
今、我が家で元気にしているラブラドールのジョンも、こうした不用犬の1匹だ。8年間飼われたにもかかわらず、不要と決めつけられ、保健所に持ち込まれる運命だった。
ジョンは狂犬病の注射を受けたものの、ワクチンもフィラリア予防も受けずに、8年間、ほとんど散歩されないでのつながれっぱなし状態だった。そして手放す理由もワケの分からない説明だった。
春に犬嫌いな息子が家に戻ってくるからという話もあれば、やはり大きすぎて飼いきれないと気がついたという言い訳もあった。けっきょく何が本当なのか、何がウソなのか、さっぱりわからない。はっきりしていることは、自分の身勝手な理由でひとつの命が消されそうになったことだ。
毎日、ペットを持ち込んでくる無責任な飼い主の相手をしなければならない保健所の職員も大変だ。国の方針だから、断ることができない。彼らの精神的な苦痛、そしてガス室の中で苦しんで暴れている動物たちの苦痛、総理にも環境大臣にも分かって欲しい。
◎ジョンを助けてくださった保健所の優しい職員に親子共々、心から感謝申し上げます。
不要犬ジョン!
動物愛護支援の会
(2007/10/20)(足立朝日 連載記事より)