動物孤児院 (4)ペットショップに犬猫がいない
ドイツでは、客へのサービスなんか時間の無駄と思っている店が多くて、「日本では”お客様は神様”と言うけど、この国では”お客様は敵”ね」と、私はドイツ人のサービス精神の欠如を表現しているのですが、動物に関しては、本当にドイツ人は偉いです。
(ドイツ人の名誉のために付け加えるなら、ドイツはどこよりも難民を受け入れてきました。サービス精神の欠如とヒュマニティーは別です。)
ペットショップに関して、ドイツと日本の一番の違いは、ドイツの店には犬猫がいない、ということでしょう。
理由は、ペットショップでは犬猫のストレスがたまるから、だそうです。10何年か前までは、デパートのペットコーナーに行くと、生後3ヶ月ほどの子犬が数頭いましたが、今は犬猫を店で展示販売するところはありません。
いるのは、ストレスはたまらないであろうと思われる動物だけ。うさぎや、フェレット、モルモット、ハムスター、ねずみ、爬虫類、魚類、小鳥だけです。
そういった動物たちも、十分な空間が与えられ、清潔で、飲み水が汚れていたり、糞を踏んづけているようなことはないのです。
私は、日本のデパートのペットコーナーに行くと、まず、匂いに息が苦しくなり、ケージの狭さに胸が痛くなり、糞を踏んづけている子犬たち、遊びざかりの子猫や子犬がそんなところに閉じ込められていることに、がっくりきてしまうのです。人々が、「わっ、かわいい!」と言っている横で、私は、ひとり、「かわいそう」とうなだれています。
そして、「最後まで売れない子はどうなるのだろう…」と思い、またまた気持ちが沈んでしまうのです。
(2002/12/26)
(小野千穂)